人生で初めて出会ったファシリテーターは“Psychology 101”心理学の教授
アメリカに降り立った日
今でも鮮明に覚えているのは、たまたま自分がその地に降り立ったのが1994年7月4日・アメリカ独立記念日の夜。飛行機内の窓越しに目に映る盛大な花火が自分を大歓迎してくれました。
希望に満ち溢れた自分にアメリカが大きな心で受け入れてくれたような、そんな気持ちになりました。
1994年のある日、アメリカはマサチューセッツ州ノースショアに位置するビバリー市(Beverly)。その町の小さな大学エンディコット大学に一念発起して留学しました。専攻はSports Management(スポーツマネージメント)。
Pshychology 101(ワンオーワン)
1年生の授業で心理学基礎クラスに入ったら、教授が生徒みんなにいきなり机を後ろに移動させ円になってと切り出したんです。いまいち早口の英語に付いていけない自分も、周りのアメリカ人やインターナショナルの生徒たちを追いかけるように真似ました。
いきなりネームトスというアクティビティが繰り広げられた
リチャード教授はボールを一つ持って、円になった我々学生の中からある学生の目をちゃんと見つめ
「Hi, my name is Richard」
「What is your name?」
教授は自分の名前を言ってニコッとして待ちます。その学生は教授に自然と自分の名前を発した。
「Hello, my name is John」
すると教授は、
「Thank you, John」
持っていたボールをその学生ボブに優しく投げました。教授はその後沈黙、特に何も言わずに黙って優しい笑顔で立っています。
ボールを渡されたジョンは、しばらくボールを持ったままどうしたら良いのか分からず戸惑いながら目をキョロキョロ。他の学生みんなも苦笑いしながら見渡すしかありません。
教授はニコッと優しい笑顔で黙って、立っています。
するとボールを持ったジョンは、自然と教授がやったように違う学生に向かって自分の名前を伝えたわけです
「Hi, I am John」
「What's your name?」
その学生は違和感なく普通にボールを持ったジョンに
「Hi, I’m Beth」
教授がやった通りにボブがベスに
「Thank you, Beth」
ボールを優しく投げた。繰り返される。
自然に繰り返される。
彼女は投げてくれた相手に「Thanks」と自然に普通に当たり前にお礼を伝えた。
繰り返される。
何番目か忘れたが、ある学生が僕に対して
「Hi, I am Bob」
「What is your name?」と僕に分かりやすくゆっくり言って自分を見つめるので
自然にごく普通に
「I am Taka」
ボブはニコッとして
「Thank you, Taka」
ボールを丁寧にパスしてくれました。その丁寧なパスでボールをキャッチして僕は普通に自然に
「Thank you very much, Bob」
ずっと繰り返され、なぜか人間の自然な心理なのか、まだ呼ばれていない人をみんな把握していて、呼ばれていない人に名前を尋ねながら進んでいった。
いろんな物体が飛び交う
タイミングを見計らってリチャード教授が、ボールやぬいぐるみやいろんな物体を1つずつ放り込んできました。落とすわ相手の声が聞こえないわ、はちゃめちゃになり、笑いがドッ〜っと上がり、自分もそうだが全員の心の中に
ワクワク
ドキドキ
スリル感が半端ない!
無邪気になったみんなとボールやいろんな物体をパスし続け合う。時計の秒針がチクタク「Tick Tack」と刻まれるスピードでみんなの見えない心の距離が知らない間に近づいてた。知らず知らずにふと気づいたら、和やかな空気と空間。皆が名前を完璧に言い合い、仲間意識が芽生えてた。
初日の心理学のクラスがそれだけで終わった。
リチャード教授は何も言わず、何も語らず、
「Oh, Time’s Up!」
「あ、時間が来たね!」とみんなに伝えて教室を出て行った。
ファシリテーター仲間のホクトマンがやってるラジオ番組にこの思い出をチラッと話したので、リンクを貼り付けておこうと思います。おしゃべりを聞いてる方がもしかしたら臨場感があるかもしれませんねえ。
これが、僕のファシリテーターとの人生最初の最初の出会いだった。
気づきや感じたことはたくさんあったが
たった1回の授業中で突然起こった出来事だった。リチャード教授は何をしたかったのか?知らされることもなく分かるはずもなくいきなり始まった。
彼が立ち去った後の我々は笑顔で教室を出たし、次の授業に行くまでの道中廊下を歩いてても次の授業中もなんとなく笑顔プラスアルファ何かしら染み渡ってくる感覚。そして言葉には言い表せない何か大切なことを感じ気づいている気がしながら味わっていた。上手く言語化できなかったしする必要もなかったのかもしれないが、たくさん宝物を自分の力で掘り起こした気持ちだった。
人生初のアドベンチャープログラムを全身で体験&体感した。
人間にとって生きる上でとても大切な要素を味わえる時間だった。