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【焙煎研究】友人バリスタのフィードバックと改善

こんにちは。YORIGI COFFEEです。

2024年3月に焙煎機 Sandbox smart R1を購入し、" YORIGI COFFEE "を立ち上げました。それから約1年間の焙煎研究を経て、先日2025年2月7日に夢だったオンラインコーヒーショップを開設しました。

良ければ覗いてくださると嬉しいです。

僕には有難いことに、バリスタの友達がいます。初めて誰かに飲んでもらおうとなった時に、飲んでもらったのも彼です。

このバリスタ友人には、無理を言って、少し良くなったと思えば随時カッピングをお願いしていました(通算6回。※6回飲んでもらうまでに50回以上自分で焙煎しました)

そこで本記事では、彼から貰ったフィードバックと、それに対して僕がどういうアプローチを取っていったのかの改善記録を書きたいと思います。

前提)焙煎練習していた豆の情報

前提情報として、焙煎練習に使用していた生豆は以下です。過去のNoteでもご紹介した「海の向こうコーヒー」さんから購入しました。

エチオピア グジ シャキッソ村
生産地:エチオピア グジ  シダモ
精製 :ウォッシュ
標高 :1,800m~2,200m
品種 :在来種
規格 :G1

※現在このコーヒーはYORIGI COFFEEのラインナップに入っていないのですが、実は焙煎練習に夢中になっている間に、取り扱いがなくなっていました(笑)おっちょこちょいが出ました…

前提)使用している焙煎機の情報

またYORIGI COFFEEが使用している焙煎機についても前提情報として掲載します。1回あたりの最大焙煎量は100gとなっています。

Sandbox Smart R1
焙煎量 :100g/回
焙煎方式:電熱直火式
出力  :600W
回転速度:最大30rpm

フィードバック①と改善

1番はじめに飲んでもらったのは6バッチ目のコーヒーでした。感想を待ちながらドキドキした記憶があります。
カッピングしてもらったコーヒーのプロファイルと、コメントは以下のとおり。

RORが綺麗な右肩下がりになっています

トップから真ん中までは甘さがあるんだけど、アフターがなくなってしまう。冷めてもそんなに嫌な感じはしない。アフターがもっと続いて欲しいと思った!

友人バリスタのカッピングコメント

初めての感想がポジティブなもので嬉しかったのを覚えています。上記コメントを受けて以下の改善策を考えました。

【改善策】
 投入量を100g→70gへ減らす
【理由】
 著書「人気店のコーヒー焙煎」より、生豆の投入量は最大容量に対して6~7割が適切だと知ったため(パラパラの炒飯を作るためにフライパンに目いっぱいお米を入れないのと同じ)。豆の量を減らしてより火が入れば、アフターが続くのではないかという仮説を立てました。

フィードバック②と改善

改善策を施し、試飲してもらったコーヒーのプロファイルと、コメントは以下のとおり。

焙煎時間が1分30秒以上短縮

全体的に甘さがすごいある。アフタードライ?酸がしぶい感じ?冷めてくるとより中盤~アフターにかけてドライ

友人バリスタのカッピングコメント

甘さは出たものの、「ドライ」「渋い」というネガティブなポイントが出てきてしまいました。上記コメントを受けて以下の改善策を考えました。

【改善策】
 ①投入時の火力を60%→0%にし、ボトム以降から熱を入れる。
 ②デベロップメントタイムを60秒→90秒にする。
 ③投入量は70gのまま
【理由】
 ①ONIBUS COFFEE@中目黒の「スペシャルティコーヒー焙煎完全解説!〜ONIBUSのローストプロファイル全部見せます!!~」より、水抜き時の火力が強いとドライな印象になることを知ったため。
 また、著書「人気店のコーヒー焙煎」にて、ボトムを思いきり下げて質感が良くなった事例が掲載されていたため。
 ②著書「人気店のコーヒー焙煎」より、デベロップメントタイムを伸ばすとアフターの質感がよくなることを知ったため。
 ③「甘さが出ている」というポジティブな部分は残したかったため

フィードバック③と改善

改善策を施し、試飲してもらったコーヒーのプロファイルと、コメントは以下のとおり。

ボトムが70℃代になった

質感いい感じ!甘さと酸がもう少し発達しているといいのかな?
ちょっとお茶っぽい。よくなればマンダリンオレンジやアールグレイとかありそう

友人バリスタのカッピングコメント

質感が向上し、アフターが良くなりました。一方、これまであった甘さと酸が未発達な状態になりました。このようにトレードオフになってしまうのが焙煎の難しいところです…上記コメントを受けて以下の改善策を考えました。

【改善策】
 ①火力を上げるタイミングを早くする
 ②投入量を70g→50gにする
 ③デベロップメントタイムは90秒のまま
【理由】
 ①著書「人気店のコーヒー焙煎」にて、焙煎の前半に火力を加えて甘さと酸を発達させる手法があることを知ったため
 ②「フィードバック①と改善」にて、投入量を減らしたところ甘さが発達したため
 ③「質感がいい感じ」というポジティブな部分は残したかったため

フィードバック④と改善

改善策を施し、試飲してもらったコーヒーのプロファイルと、コメントは以下のとおり。

火力を上げるタイミングを1分早めました

ドライ、しぶい。甘さが欲しい!バランスちょっと悪いかも、アフターショート。

友人バリスタのカッピングコメント

全てが裏目に出て、心が折れそうになりました(笑)それでもめげずに以下の改善策を考えました(正確には、全部が裏目に出たので色々試しました。その中でうまくいったかも、という内容になります)

【改善策】
 ①RORが滑らかに推移するように火力を調整
 ②デベロップメントタイムを90秒→70秒に短縮する
【理由】
 ①ONIBUS COFFEE@中目黒の「スペシャルティコーヒー焙煎完全解説!〜ONIBUSのローストプロファイル全部見せます!!~」より、RORがスムーズな右肩下がりになることが焙煎では望ましいことを知ったため。
 ②90秒まで伸ばすと、ややスモーク感があり、お店のコンセプトに合わないと考えたため。一方、日常に馴染むコーヒーになるよう、浅煎りで一般的とされる「1ハゼ後60秒で煎り止め」よりは引っ張りたかったため。

フィードバック⑤と改善

改善策を施し、試飲してもらったコーヒーのプロファイルと、コメントは以下のとおり。

渋さ少しある。甘さ欲しい。質感は悪くない気がする!アフターがあまり良くない。ドライビターフィニッシュな感じ。

友人バリスタのカッピングコメント

引き続きポジティブなコメントは得られませんでした。このとき、これまでの方法(特にボトムまで火力を0%にしてボトムから火入れをする方法)を見直す必要性を感じました。本の他に、Web記事・YouTubeを見まくって、以下の改善策を考えました。

【改善策】
 水抜き時のRORは20℃±2~3℃位になるように調整する。そのためにボトムの温度をあげる。ボトムの温度は上げるが、水抜き時の火力は極弱火にする。具体的には、初めの火力は0%→10%にする。
【理由】
 YouTubeにてコーヒーショップの焙煎動画を見まくっていたのですが、その中で水抜き時のRORが20℃を超えるのは「高い」判断になることを言っていたため。また、ボトムの温度を上げても、「とろ火」にすればドライな印象にならないという仮説を立てたため。

フィードバック⑥と改善

改善策を施し、試飲してもらったコーヒーのプロファイルと、コメントは以下のとおり。

コーヒーおいしいよ!アフターがもうちょい甘さ続くといいのかな?とは思った。ふつうにフィルターで飲みたいと思った!全体的に優しくって美味しいなと思った!

友人バリスタのカッピングコメント

これまでの苦労が報われた気分でした。個人的にも、今までで一番うまく焼けたと思っていたので嬉しかったです。アフターに関する課題をもらったので以下の改善策を考えました。

【改善策】
 デベロップメントタイムを70秒→80秒にする 
【理由】
 アフターの質感を向上させるため。これまでの焙煎研究で、デベロップメントタイムの火力を強める and/ or 時間を伸ばすとアフターが続くことがわかっていたため

現在のプロファイルに

改善策を施したコーヒーのプロファイルは以下のとおり。

このタイミングでケニアに代わっていますが、これまでどうしてもうまく焼けなかったケニアが見違えるように美味しくなりました。ドライな印象は全くなく、優しい甘さがありYORIGI COFFEEのコンセプトである「日常にじんわり馴染む中浅煎りコーヒー」にできたと感じました。
現在は、このプロファイルでラインナップのウォッシュドのコーヒーを焙煎しています(ナチュラルプロセスは方法を変えています。詳細はまた別の記事でご紹介します)

最後に)おすすめの焙煎本とWeb記事

焙煎のノウハウやレシピはなかなかネットに情報が出ておらず、自ら仮説と検証を繰り返す必要があります(この点が焙煎の醍醐味とも言えます)。
その中でも、僕が何度も繰り返し読んで、仮説を立てることに有益だった本・サイトを紹介して締めたいと思います。

◽️本
人気店のコーヒー焙煎(旭屋出版)

本記事でも登場しておりますが、
人気店16店の焙煎技術と考え方(プロファイル付き!)が細かく記載されていることに加えて、堀口珈琲さん・バッハコーヒーさんによる焙煎特集ページもあり、見応えたっぷりです。
16店の中には、焙煎世界大会が優勝された後藤 直紀さんが店主であられる
「TOKADO COFFEE」も掲載されています。

◽️ネット記事
中目黒はONIBUS coffeeさんが自店の焙煎について紹介している記事です。

中でも僕は記事の中に出てくる以下の言葉に度々救われています。

ある豆を焼くときに、現行のプロファイル通りに焼いてみても納得がいかず、過去に良くなかったプロファイルを今回試してみたら良くなっているなんてことはたくさんあります。そのため、現在のプロファイルにとらわれることなく、常に仮説を立て、改善を繰り返す必要があります。

焙煎・品質改善カッピング完全解説 〜カッピングフィードバック、ローストプロファイル全部見せます〜より

長編の記事となりました。最後までお読みくださりありがとうございます!
ぜひYORIGI COFFEE のことチェックいただけたら嬉しいです☺

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