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ウルトラマンZ師匠から学ぶターゲットマーケティング
そろそろかと思って4歳の息子に試しに観せてみたら、見事に親子共々ハマってしまった。
今年6月から放送が始まっているウルトラマンの最新作、ウルトラマンZの話である。
私自身特に特撮オタクでもないが、なかなかすごい仕掛けがされているなと感じる部分があったので、少し書き留めておくことにする。
このウルトラマンZ、まずなにがすごいのかと言うと、徹底的に「子+親」のセットをターゲットとして作り込んで制作させている点である。
■親世代のウルトラマン達が師匠として登場する
まず、本作のウルトラマンZは、メダルをロードする形で、過去のウルトラマンの力を借りたり姿を変えたりする。つまり、毎回過去のウルトラマンが相当数登場するのである。
しかも過去のウルトラマン達は、「師匠」や「先輩」という名称で登場する。
私が子供の頃、文字通りテープが擦り切れる程観ていたウルトラマンレオが、今子供が観ているウルトラマンZの師匠として登場するのである。
子供は新鮮な気持ちで、親は懐かしい気持ちでそれぞれのウルトラマンを見ることができる。数も多いので、それだけ広く親世代に刺さる仕組みになっている。
怪獣もほぼ過去の怪獣そのものが登場する。ゴモラやキングジョー等、そういえばいたなぁ…と懐かしい気持ちで観てしまう。
ちなみに余談であるが、どうして親ーーというか私自身ーーもターゲットに含まされているかと思うようになったかというと、CMでミニ四駆のゲームアプリが流れたことがきっかけであった。
ウルトラマンを見る幼い子供がミニ四駆をゼロイチで始めるとは思えないので、少なくともスポンサーは、親世代ーー特に私のような30代かーーも一緒に観ている前提で広告を打ってきているのだと気付かされた。
■登場ヒーロー達がお茶目
ウルトラマンといえば、基本的に怪獣相手に黙々と戦うイメージであったが、このウルトラマンZは何故だがよく喋る。
地球の言葉をまだ勉強中という設定で、語尾が少しおかしい部分があったりとお茶目なシーンが多い。
「私もお前の力が必要なのでございます」
「…言葉通じてる?」
「ええっ、マジ?」
「地球の言葉はウルトラ難しいぜ」
この辺りが、まさしく言葉を学んでいる子供世代ーー事実、息子は未だにウルトマランと呼んでいるーーには絶妙に効くようである。
そのような形で、思わず子供と顔を見合わせて笑ってしまうシーンが多い。親子間で楽しめる要素が作品中に多く散りばめられている印象である。
登場する味方ロボットも、良い意味でダサく、憎めない姿形をしている。
写真のロボットは、登場するセブンガーというロボットを段ボールで制作してみたものである。クオリティはさておき、息子は喜んでいた。
■セット単位へのターゲットマーケティング展開
ここで終わるとただのウルトラマン感想文になってしまうので、少しばかり話を広げてみる。
マーケティングのターゲットは一つに絞り込むのがセオリーであるが、何もその単位は1人ではなく、親子という世代を一括にしたセット単位もあるという気付きが今回あった。
この考え方は他でも応用出来るのかもしれない。
・子供服→親子お揃いの服(リンクコーデ)
・単身者向け賃貸物件→カップル向け賃貸物件
・女性向けスポーツジム→家族向けスポーツジム
組み合わせ方はいくらでもありそうである。
現状のセグメンテーションで行き詰まっているところには新たな展開のきっかけになるかもしれないし、何より客単価が上がりそうな気配がする。
息子が寝言で叫ぶくらいハマっているウルトラマンZは、私にとっての師匠にもなりそうである。