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【中医基礎理論 第24講】 - 陰陽学説 陰陽自和 - 陰陽法則の結果としての法則
前回の記事では「陰陽転化」を学んだ。
ポイントは3つ。
陰陽転化は、陰陽属性が特定の条件の下で、逆の性質に変化することである。
転化条件のキーワードは「重」、「極」、「甚」である。
陰陽転化は陰陽消長の結果で、陰陽消長は陰陽転化の前提である。
今回は、陰陽の法則6つ目で最後の法則、「陰陽自和」を学んでいこう。
陰陽自和
陰陽自和とは、陰と陽が自動的に調和と安定状態を維持し、また回復する能力と傾向を指す。これは陰陽の本性(本質)である。「自=おのず」を核心とし、内在する相互作用によって「和=調和」を実現する。陰陽自和の機序は、これまで学んだ陰陽の相互関係にある。
陰陽は性質が相反しているが、互生、互化、互制、互用などの関係を持っている。この相互作用の変化の中で相反しながらも相成(互いに助け合って成し遂げる)し、物事や現象の調和的発展を維持する内在的なメカニズムとなっているのだ。
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陰陽自和の概念は、中国古代哲学における「以和為貴(和を以て貴しと為す)」という観点に由来する。
《淮南子・氾論訓》に、「天地之気,莫大于和。和者,陰陽調……陰陽相接,乃能成和。(天地の気において、和よりも大きいものはない。和とは、陰陽が調和することを指す……陰陽が相互に接することで、和が成り立つ。)」とあるように、陰陽の調和と協調を重視することは、陰陽学説の重要な思想である。
陰陽の二気が調和することが「和」であり、陰陽の二気が相互維持されることで初めて「和」の状態に達する。「和」は宇宙の最も基本的な原則なのである。
陰陽自和は、陰陽双方が相互作用の中でおおむね均衡の状態にあることを意味する。つまり、陰陽の調和による相対的な安定状態(動的平衡)だ。陰陽双方は陰陽対立・制約と陰陽互根を基盤として、一定の範囲内での「消長」や、一定の条件下において「転化」という運動変化を通じて陰陽の平衡状態を維持している。
陰陽自和が維持する動的平衡は、自然界では気候の正常な変化、四季の寒暑の正常な交替を示し、人体では生命活動の安定、秩序、調和を示す。《素問・調経論》には、「陰陽匀平,以充其形。 九候若一,命曰平人。(陰陽が平衡を保って、以て其その身体を充みたし、九候(脈象)が一致するようであれば、なづけて平人(正常な人)と曰う。)」とある。
陰陽の二気は自己調整能力を持っている。病気の過程において人体の陰陽が自動的に調和を回復することが、病状を改善する内在的なメカニズムとなる。《傷寒論・辨太陽病脈証並治》には、「陰陽白和者,必自癒。(陰陽自和すれば、必ず自ずと治る。)」と記されている。もし、陰陽の動的平衡が壊され、自和の能力を失うと、自然界では異常現象が現れ、人体では病気の発症、最悪の場合死に至るのである。
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陰陽交感、対立、互根、消長、転化、自和は、それぞれ異なる角度から陰陽間の相互関係とその運動変化の規律を説明している。
陰陽交感
陰陽間の絶え間ない相互作用の前提であり、天地万物の生成の基盤である。陰陽対立、陰陽互根
陰陽間の対立統一、相反相成の関係を示している。陰陽消長、陰陽転化
陰陽対立と陰陽互根を基盤として、事物の量的変化と質的変化の過程を表し、陰陽の運動変化が物事の発生、発展、変化の内在的な動力であることを示していす。陰陽自和
陰陽が互いに制約し合い、互いに作用し合うことで自己調整し、相対的で動的な平衡を維持することを示している。
こうしてみると、陰陽交感を基盤とし、その上に陰陽対立と陰陽互根、さらにその上に陰陽消長と陰陽転化、そして一番上に陰陽自和があるピラミッド構造になっていることがわかる。
それぞれの法則がつながり、全体として陰陽の調和を達成している。
陰陽においても整体観念が生きているのである。
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中医学は陰陽学説を用いて、弁証的思考で具体的な事物の認識を導く。陰陽学説は生命の形体、構造、生理活動、病理変化、診断、病気の予防と治療、養生とリハビリなどの説明を可能にし、中医学理論体系の基礎を築いたのである。
まとめ
今回は「陰陽自和」を学んだ。
ポイントは3つ。
陰陽自和は、陰陽が自動的に調和と安定状態を維持し、また回復する能力と傾向を示す。
陰陽の法則はピラミッド構造である。
陰陽交感、対立、互根、消長、転化の法則の結果が陰陽自和である。
今回で陰陽学説の学習は終わりである。
次回からは、陰陽学説が中医学に与えた影響を学んでいく。
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