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【中薬を故事で学ぶ】 知母の故事 〜心優しい木こりと母の物語〜

昔々、一人の老婆がいました。彼女は孤独で、子供もおらず、若いころから薬草を採取して生計を立てていました。お金には興味がなく、病気の貧しい人々に薬草を無料で提供していたため、貯金はほとんどありませんでした。

歳をとり、山に登って薬草を摘むことができなくなると、老婆は村を回って物乞いをするしかありませんでした。彼女には一つ心配事がありました。

「自分が死ねば、自分の薬草の知識を誰にも伝えることができなくなる。そうなったら誰が村人たちに薬草を採り、治療するのか。」

彼女は決心しました。「私を母に認める者に、薬草の知識を教えよう。」

しばらくして、ある貴族がそのことを知りました。

「もし治療の知識を学べば、官僚に取り入る方法が一つ増えるだろう。」

貴族は老婆を屋敷に招きました。

「おばあさん、私はあなたの子になる覚悟があります。早く治療に使える薬草を教えてください!」

彼女は貴族を一瞥し、「急がなくてもいい。まず、私のことを母としてどう接するかを見てからだ。」と言いました。

貴族はすぐに使用人に部屋を用意させ、新しい服を着せ、おいしい食事を用意しました。しかし、十数日が経っても老婆は薬草のことを言い出しませんでした。

貴族は我慢できず、「母さん!」と呼びかけ、「さあ、私に薬を教えてくれ!」と言いました。

老婆:「時期はまだ早い。」

貴族:「それはいつまで待つべきなのだ?」

老婆:「10年くらい待たないとね。」

貴族は怒って飛び上がりました。「まさか私があなたを10年も養わなきゃならないのか?もういい!とっとと出ていけ!」

彼女は冷笑し、元の破れた服を着て、静かに貴族の家を出て行きました。

また街を歩きながら物乞いをし、「誰か私の子供になりませんか?」と呟いていました。

ある日、商人がそれを耳にしました。

「薬を売れば儲かるはずだ!」

商人は彼女を呼び止め、「私はあなたを母と認める覚悟があります!」と言いました。

彼女は商人の家に住むことになりました。商人は彼女を1か月間、美味しい食事でもてなしました。

そして商人は彼女に聞きました。「あなたは本当に色んな薬草を知っているのか?」

老婆:「もちろん知っているよ!」

商人:「それなら教えてくれ。」

老婆:「今はまだ時期ではない。」

商人:「それにはどれくらい待たないといけないのか?」

老婆:「私が死ぬ時まで…」

商人は怒りで震えました。「ババア!私をからかっているのか!さっさ消え失せろ!」

老婆:「あなたが私を呼び寄せたんでしょう?」

商人:「ふん!私が見込み違いをしたということだ!」

彼女は再び家を追い出され、また物

乞いをしながら「誰か私の子になりませんか?」と呟きました。

長い時間が経ち、人々は彼女を狂人とみていました。もはや誰も彼女に関わりませんでした。

ある年の冬、彼女は小さな村にたどり着き、その家の前で転んでしまいました。その家の主人は木こりで、彼は彼女を家の中に案内しました。

「おばあさん、ケガはありませんか?」と尋ねました。

老婆:「ケガはありません。ただお腹が空いているだけです。」

木こりは急いで嫁におかゆを炊かせて彼女に出しました。「家には良いものがありませんが、熱いうちに少しだけでも飲んでください。」

彼女はおかゆを食べて体が暖まりました。そして立ち去ろうとしました。

木こり「こんな寒い日に、どこへ行くのですか?」

老婆:「行くところなんてありません。どこにいても物乞いをしなければ生きていけないのです。」

二人は同情しました。木こりは「こんな歳で、物乞いは大変でしょう。我々は貧乏だが、それでも良ければ我々と一緒に住んでみませんか?」と言いました。

彼女は木こりの家に住むことにしました。月日は流れ、あっという間に春が来ました。

ある日、彼女は木こりに言いました。

老婆:「このままずっとあなたにご飯を食べさせてもらい続けるのは良くないわ。私は出ていきます。」

木こり:「あなたには子供がいない。私たちには親がいない。このまま一緒に家族として過ごすのはどうだろう?」

彼女はため息をついて言いました。「実を言うと、昔は薬草を摘んでいたので、多くの薬草を知っています。私は自分を母として受け入れてくれる人を探し、その知識を伝えるつもりでした。でも歳をとり、薬草もよく見分けがつかなくなりました。あなたが私を養ってくれるのは嬉しいが、私はあなたにお返しする手段がありません。」

木こり:「苦労人同士でしょう。何も返す必要はありません。とにかく我々には食べるものがあるから、あなたは物乞いをしなくてもいい。ここを去らないでください!」

老婆:「私はここを家とし、あなたを子供としても良いのですか?」

木こり:「もちろん!」

それ以来、木こりと嫁は彼女を母として受け入れました。彼女は嫁の手伝いをしたり、子供の面倒を見たり、家事を手伝ったりしました。

嫁も彼女を大切に思い、暑い時期は外の仕事をさせず、寒い時期には洗濯をさせませんでした。彼女はそれから3年間、穏やかな日々を過ごしました。

夏が来て、彼女は80歳になりました。

ある日、彼女は木こりに言いました。「山に行ってみたい。」

木こり:「母さん、もう歳だから、無理しないでくれ。」

老婆:「暇なのよ。山を歩き回ってみたいの。」

木こり:「じゃあ、私が背負って連れて行ってあげるよ。」

木こりは彼女を背負って山に登りました。彼女は西へ東へと行きたがり、木こりは汗だくになりました。しかし、木こりは文句を言わず、彼女を楽しませるために面白い話をし続けました。

二人が野草が生い茂る山の斜面に来たとき、彼女は木こりに立ち止まるように言いました。彼女は木こりの背中から降りて一つの石に座り、線状の葉と白と紫色の模様の花を咲かせる野草を指しました。

「それを掘ってみて。」と彼女は言いました。

木こりは土をかき分け、黄褐色の根を掘り出しました。「母さん、これは何だい?」

老婆:「これは薬草だよ。この根は肺熱による咳や、虚労による発熱などの病気に効くわ。」

続けてこう尋ねました。「なぜ今まで私があなたにこれを教えなかったのかわかる?」

木こり:「薬を悪意のある人々に悪用されることを恐れていたんでしょう?」

彼女は笑って言いました。「私は何年も探し続けたわ。でもずっと、心に留まる人にはめぐり合えなかった。あなたは私の気持ちをとても良く知っている。決めたわ。この薬草を『知母』と名付けましょう!」

その後、彼女は木こりに他にも多くの薬草を教えました。木こりは薬草を採取することを仕事にしました。彼は母の言葉をずっと心に留め、母のように貧しい人々のために働き続けました。

おしまい


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