書くことについて111223

 僕は忘却の旅に出る。人は忘却からは逃れられない。どんなに楽しかった記憶も色褪せ、やがてはほとんどが忘却の彼方へ消えてゆく。そういった意味では「書く」という行為は忘却へ対するささやかな反乱かもしれない。しかし、書くという行為は忘却を引き受けない限り成立しない。人は書くときにはもうそのことを十全に覚えてはいないからだ。だから「全て」を書こうとすればするほど忘却の彼方へ消えた断片の不可能性に直面することになる。
 これからも僕は思い出を作り、忘れ、それを書き続けると思う。それは瞬間を大切にするのと矛盾しないだろう。

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