見出し画像

【アニメ撮影】夕方シーンのコンポジット/プロジェクトファイル付き

大変お待たせをしました。
今回は以前X(旧Twitter)で呟いた夕方シーンのコンポジットについて作成方法について書いていきます。今回はエフェクトでは無いので基本的なコンポジットについて書いていきます。

後半では有料記事でプロジェクト配布もしているので、
「御託はいいからとにかくプロジェクトファイルをくれ!」
って方は最後まで記事購入し最後まですっ飛ばしてもらえたら。
配布データは説明などいくつか追記しています。

では始めましょう!※かなりの長文です…!



▼作成のポイント

合成(コンポジット)編

  1. 逆光表現

  2. 光の回り込み(ライトラップ/LightWlap)

  3. 色味調整


▼基本コンポジション設定

  • サイズ:1920x1080 フルHD

  • フレームレート:24

  • デュレーション:72フレーム(3秒)(静止画なので特に関係無し…)


▼背景と太陽の作り方

背景

CC Toner Highlights:F4C64B / Midtones:A35318 / Shadows:2F478B

今回は沈みかけの夕日を想定しているので地変線付近が明るく、空は暗くするようにしています。色味もイエロー系から青系に変化するようにするといい感じになります。
ただ夕方と一言に言っても表現の幅が広いので、自分が表現したい内容と相談して決めましょう。

太陽(夕日)

グラデーション 開始色:FFE38D / 終了色:FCA12A

太陽も背景同様にグラデーションを適用します。ぱきっとし過ぎると違和感が出るので、少しブラーを入れるのがポイントです。大きさはお好みで調整してください。


▼イラストの下準備

いらすとやさんのイラストをダウンロードしておきましょう。今回使用させて頂いたのは下記のものです。

新たにコンポジションを作り(コンポサイズ等は今回全て同じなので割愛)そこに下記のようにダウンロードした素材を配置します。拡大したとき画像の粗さが気になるのであればシャープを19ほどいれるとくっきりします。


▼合成(撮影、コンポジット)

コンポジットでは下記無料Plug-inを使用します。

別方法の置き換えがあればそちらを使用してもらっても大丈夫です。

最終レイヤー構造

配布プロジェクトはコメントなど添えています

下から順にパラメーターをかいつまんで紹介します。

18:BG(上で紹介した以外に手は加えていないので割愛)

14~18:Yuuhi/夕日の発光処理

太陽だけ表示するとこんな感じ
それぞれの合成モード

光りに関しては「光の逆二乗則」を意識するとそれらしい合成が出来ます。
私も詳細までは理解していませんが、簡単に言うと、

  • 光に近い部分は白っぽく

  • 遠ざかると色がつく

といったイメージです。
「コンポジゴク」さんの記事も参考になるので、一読をおすすめします。


9~13:キャラクターの逆光表現

※レイヤー10の「RimMSK」は次に解説します。
レイヤー11、10はエフェクトが入っていないので割愛
レイヤー12マスク
レイヤー9マスク/瞳部分発光用

レイヤー13、14は逆光用に色をアンダーにしています。
単純にアンダー色に落とすのではなく少し赤みを足して馴染を良くしています。もっと日が沈んだ状態の表現をしたい場合は、赤みでは青みを足すとよいででしょう。


10:RimMSKの中身

リムライト表現用のマスクをベベルアルファで作成します。
何枚か重ねているのは一枚では表現出来ないからです。

リムマスク用のマスク
それぞれの合成モード
それぞれ怪獣側とヒーロー側で切り分けて下さい

7~8:キャラクターのリムライト表現

レイヤー10で作成したリムライトマスクを使用しキャラクターにリムライト表現を加えます。光を受けた色味に調整するとよりそれらしくなります。

塗り:FF9D76/レイヤー7、8とも共用
それぞれの合成モード

4~6:光の回り込み表現(ライトラップ/LightWlap)

今回の肝でもある光の回り込み表現です。
そのままの色味でも処理可能ですが、同じ色味だと違和感が出るため、光の逆二乗則を意識してオレンジ系の色味に調整しています。
また、光の回り込みは加算で合成すると飛びすぎて違和感が出るので、比較(明)やスクリーンで合成すると良いでしょう。

それぞれの合成モード
塗り:FF651A

1~3:フィルター設定

それぞれの合成モード

夕方の湿度感を加味するためレイヤー3、2で空気感を加味しています。
レイヤ-1で最終的な色調整を行い雰囲気を一段向上させます。


▼完成!

おさらいになりますが、今回のコンポジットでのポイントは以下です。

  • リムライト

  • 光の回り込み表現

  • 色味

長い記事最後までありがとうございました!また作業お疲れ様でした!
処理が正しく入っていれば最終的にこの様な映像になります。


さいごに

アニメ撮影の基本は「観察」です。今回の合成は、ある特撮作品をオマージュしており、それを観察し再現しました。
今の処理に何が足りないのか」「何をすればより良くなるのか」を意識すると、より良い画作りができると思います。

この記事が作品づくりに少しでも役立てば光栄です。また感想やご意見、お仕事の相談など、ぜひお聞かせください!皆さんの声が励みになります!

ここから先は

260字 / 1ファイル

¥ 500

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?