アニメ撮影の基本:合成モードを使いこなそう!
はじめに
先日はX(旧Twitter)でたくさんの方に見ていただき、本当にありがとうございました。ポストではご紹介しきれなかった内容もあり、この記事ではAfter Effectsのほぼ全ての合成モードをアニメ撮影現場の観点から紹介します。
合成モードは多岐にわたりますが、公式の説明だけではわからない実践的な使い方をお伝えします。簡単ですがそれぞれのモードの特徴や使いどころを解説するので、制作の役に立てれば幸いです!
Adobeさん公式のページ
https://helpx.adobe.com/jp/after-effects/using/blending-modes-layer-styles.html
標準
基本モード。合成時の変化は無し。
ブラーを入れたものを不透明度下げて合成すると少し質感が入っていい感じになります。
ディザ合成、ダイナミックディザ合成
不透明度を下げるとなんかチラチラするやつ。簡易的に粒子が散る様な表現に使用できる。不透明度を下げるとノイズ感が強まる。
フラクタルノイズや拡散との組み合わせで面白い表現が出来るかも。
暗くする系の合成モード
比較(暗)、カラー比較(暗)
下地と比べて暗い方を表示させる。
肌や服など簡易的に質感をいれる場合、適当に選択してぼかして、比較(暗)で合成すればなんとかなる。
ただし全体的に濁った印象になりかねないので使い所には注意が必要。
乗算
暗く合成するやつ1
純粋に暗く(黒に)なっている感じ。アニメ撮影で言ういわゆるパラ処理。
背景に馴染ませたりアニメ撮影では必須の合成モード。
焼き込みカラー、焼き込みカラー(クラシック)、焼き込み(リニア)
暗く合成するやつ2
下地の色に文字通り焦がした様な色味変化。クセがあるので使い所は限られるかも。基本的には乗算で合成するが色味変化をより強調したい場合はこちらの合成モードを使うと良いかも。
通常、クラシック、リニアは好みで。
明るくする系の合成モード
加算
明るく合成するやつ。
全体的に明るく仕上がるので光を受けた表現をするにはもってこいの合成モード。
反面下地が白く持ち上がりがちで多用すると白く飛び気味になってしまうので、多用する場合は注意が必要。
比較(明)、カラー比較(明)
下地と比べて明るい方を合成する。
DF(ディフュージョン)フィルターでは必須合成モード。
個人的にキャラへの光を乗せたりする際は比較(明)を好んで使用しています。
スクリーン
明るく合成するやつその2。
スクリーンは全体的にふわっとした印象になる。逆に言うと強弱が無くベタッとした印象になりがちなので、加算等と合わせるかコロラマで色変化などでメリハリをつけよう。
覆い焼きカラー、覆い焼きカラー(クラシック)、覆い焼きリニア
明るく合成するやつ3
地の色を元に明るくしてテカっとする感じ。ツヤや光沢感を出したい時に便利。ただ加算同様白い部分は飛びすぎるので合成時は注意が必要。
どちらにも影響する合成モード
オーバーレイ、ソフトライト、ハードライト、リニアライト、ビビッドライト、ピンライト、ハードミックス
中間色より明るい場合は明るく、暗い場合は暗く合成する1枚で2つ合成できるお得なやつ。夕日感を出すときにソフトライトで乗せるといい感じになります。フィルターでも活躍する合成モード。
似た挙動をするので色々切り替えて好みの合成モードを探ろう!
色の計算をするやつ
差、差(クラシック)
本来は色差とかの表現で使用する想定だけど、アニメ撮影ではもっぱら素材確認用合成モード。
重ね合わせたときに変更箇所が分かるのが便利
除外
挙動をうまく説明が出来ないしクセも強いけど、使いこなせれば面白い表現が出来る。個人的にレトロな表現するのによく使ってます
減算、除算、色相、彩度、カラー、輝度
ほとんど使う機会が無いので説明が出来ない…!
なんか色味の足し引きをするやつ……
アルファに影響をするやつ
ステンシルアルファ、シルエットアルファ
レイヤーのアルファ面積で型抜きするやつ。
・ステンシルが対象の形を残すやつ
・シルエットが対象の形で抜くやつ
ステンシルルミナンス、シルエットルミナンス
明暗値で型抜きするやつ。3DCGではむしろこっちが主流?
白[0,0,0]と黒[255,255,255]がそれぞれ最大値で処理が変わります。
ステンシルルミナンスが白を残して黒が抜けるやつ
シルエットルミナンスが黒を残して白が抜けるやつ
アルファ追加
普段全く使う機会はあまりないですが、不透明度50%同士を重ねたとき、通常のままだと不透明度が100%にならないですが、アルファ追加で合成することで不透明度100%にすることが出来ます。
また、8bit作業時に素材を重ねた状態でカラーキーなどで色を抜こうとしてエッジがジャギジャギになるときに、アルファ追加で重ねるときれいに抜けます。
ただ、16bitで重ねるとアルファ追加ではなくても問題なくきれいに抜けます。
まとめ
合成モードがたくさんあって、最初はどれを使ったらいいのか迷うと思います。実際にいじってみると「この場面ではこれがいいかも!」と自分なりの使い方が見えてくるものです。
今回紹介したモードの使い分けやちょっとしたコツが、みなさんの制作に役立てば嬉しいです。
ぜひ色々な合成モードを試して、自分が望んだ表現を探してみて下さい!
感想やご意見、お仕事の相談など、ぜひお聞かせください!
皆さんの声が励みになります!