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成功事例に学ぶ価格転嫁の具体策(運輸、下請、製造建設)

価格転嫁は無理と思い込んでいる経営者はいまだに多いと思われます。製品やサービスに特徴がなく値上げを要請すれば転注される、原材料・エネルギーの値上げは認められたが人件費は企業努力で吸収すべしとされゼロ回答で困っている、過去40年価格は据え置かれておりどう取り組んだらよいかわらない等々。                                            こうした企業の多くは赤字であり企業存続の瀬戸際にあります。そこで今回は下請、運輸、製造工事等の人件費比率の高い業種における成功事例を取り上げ、成功への価格転嫁の具体策を探ります。3事例をあげ成功要因を要約整理しますので必読です。


1.織機1台毎値上げ根拠データを収集した下請賃加工業

B社は織物製造業です。材料の糸は発注先から支給されており、製造原価は人件費と電気代が半々の賃加工形態です。価格転嫁交渉に当たっては具体的根拠の提示が必要な業態です。
電力料金大幅高騰にともない発注先に工賃増額を要請しましたが、詳細データの提示を求められました。電力会社の協力を得て全ての織機に電力計測器を設置し織機1台毎の電気料金の具体的根拠を得、2年間に渡る比較資料を作成しました。交渉の結果上昇したコストの60%に相当する工賃値上げを実施しました。工賃アップは即座に従業員の賃金に反映され就労意欲が大幅に向上しました。
 委託製造の停止も視野に強気の姿勢で交渉を展開しました。背景には繊維業界は後継者不足で廃業する会社が増加しています。事業承継には適正工賃の確保が不可欠になっていまます。

【成功要因】
・電力会社の協力で機械別の詳細な電力量消費データを収集
・高い技術力と品質保証力(他社では代替しづらい差別化要因)があること
・魅力ある事業として後継者に引き継ぎたいという強い思い

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