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(ALS診480日過)ALSの最新知見を深めてみた。

「患者・市民セミナー 筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療薬開発を学ぶ」
にWEB参加しました。


https://neuro-tokushima.com/pa_seminar.html

主な得られた知見

第1部 患者・市民と治療薬開発

本邦におけるALS治療薬の状況(2024年12月24日現在)は、以下の通り。

① リルテック(リルゾール)錠 承認済(1999.3月販売開始) 錠剤/内服 

 グルタミン酸遊離阻害、興奮性アミノ酸受容体との非競合的な阻害、電位依存性Na+ チャネルの阻害等の作用を有しており、これらが単独あるいは複合して神経細胞保護作用を発現する。延命につながる。

② ラジカット内用懸濁液2.1% 承認済(2023.4月販売開始)懸濁液/内服用

フリーラジカルを消去し、神経細胞の酸化的傷害を抑制することで病勢進展の抑制を示す。

③ ロゼバラミン®筋注用25㎎ 承認済(2024.11月販売開始)注射剤/筋肉内注射用

ALSに対する作用機序の詳細は解明されていないが、

■有効成分メコバラミン(活性型ビタミンB12)は、神経変性に関わると考えられているホモシステインからメチオニンを合成する酵素の補酵素として働く。これにより、ホモシステインによる神経変性を抑制すると考えられる。

■メチオニンはアデノシンと反応し、S-アデノシルメチオニン(SAM)が生成、SAMはタンパク質のダメージの修復時にメチル基の供与体として働く。メコバラミンは、 SAMを介して神経変性を修復すると考えられる。

④ トフェルセン 正式承認待ち 注射剤/髄腔内投与

遺伝子SOD-1変異をもつ、成人ALS患者の治療薬。核酸医薬。

⑤ ウレフネルセン 日本を含むグローバル治験第Ⅲ相実施中 注射剤/髄腔内投与

遺伝子FUS変異をもつ、ALS患者の治療薬。核酸医薬。

⑥ ロピニロール 治験第Ⅲ相準備中。2020年代後半の実現を目指す 錠剤/内服

パーキンソン病治療薬として承認済の薬剤(販売名レキップ®CRなど)。iPS技術により、ALS治療薬の可能性が見出された。ALS効果のメカニズム研究が数報報告されている。

⑦ボスチニブ 治験第Ⅱ相終了 錠剤/内服

慢性骨髄性白血病治療薬として承認済の薬剤(販売名ボシュリフ®錠)。iPS技術により、ALS治療薬としての可能性が見出された。       

各々の日本国内状況を整理すると、以下の通り。

■①、②、③は承認・販売済。
■④は正式承認待ち。
■⑤、⑥、⑦は治験中。

第2部 治験のくふうを学ぶ

ALS治療薬の治験数に対する患者数。

(海外)治験>患者、(日本)治験<患者。

第3部 ALSの症状を評価する

ALSの患者報告アウトカム指標(PRO)は多数ある。

第4部 意見交換

ロゼバラミンの承認まで時間がかかった要因は、フェイズ3の治験が医師主導で行われたから。

新薬治験におけるPMDAの取組が近年ますます迅速化している。

新薬の適用を早めることも急務であるが、ALS患者を出来るだけ速く発見することも必要。脳神経内科の知名度が低く、回り道をしてしまう患者が多い。補完策として、将来的には血液検査でALS診断ができるようにもしていきたい。


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