物一矢坊

総合商社の食料部門一筋30年、現在は全社のアグリ・フードテックの開発推進母体で、サステ…

物一矢坊

総合商社の食料部門一筋30年、現在は全社のアグリ・フードテックの開発推進母体で、サステナブルな食料再生産エコシステムの構築に、仲間と日々奮闘中。趣味は読書、映画鑑賞、ゴルフ、奥さんからちょっぴりヨガを教わって、息子2人と時々アイスホッケー。

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2. いのちのきずな

「いのちのきずな」 少し昔、一冊の本に出会いました。ハーバード大のマイケル・サンデル教授の“これからの「正義」の話をしよう”です。氏は、冒頭次の問題を提起されます。 ある鉱山で走行中のトロッコが制御不能となったが、その先で5人が作業をしていた。 貴方は、たまたま分岐器の傍にいた。分岐器を動かせばトロッコは別の道へと向かうが、そこでは、1人が作業をしていた。 貴方が分岐器を動かせば5人は助かるが1人は確実に死ぬ。 このままだと5人は確実に死ぬ。 貴方ならどうしますか?

    • 9.思いやり

      「優しくて、思いやりのある人間に育ってほしい。」 今から20年以上前に最初の子供が生まれた時に、まず思いついたのはこの言葉でした。 「人のことを思いやって、相手の身になって行動しなさい。」というのは、多くの親が当たり前のように子に躾けますし、自らもそうありたいと律する訳ですが、言うは易く行うは難し。実際は多くの人が口で言うばかりで、行動では出来ていないと思います。 寧ろ、行動に表すことがとても難しいからこそ、先人たちの教えとして、長らく語り継がれてきているのだと私は考えます

      • 8.人間万事、塞翁が馬

        これは亡くなった私の義父が、自分の子供たちが幼少のころによく口にしていたと言われる言葉です。皆さんはこの故事成語をご存知でしょうか? コトバンクによれば、「人間万事塞翁馬」は、以下の通りに書かれています。 時代は紀元前200年から始まる前漢王朝の創始者(高祖)・劉邦の孫である、劉安が編纂した哲学書「淮南子(えなんじ)」の中の「人間訓(じんかんくん)」に出てくる一遍です。 中国の北端、国境の「塞(とりで)」の近くに、占いが得意な「翁(老人)」が住んでいました。あるとき、彼の飼

        • 7.You got nothing to live for, until you got something to die for.

          先日、「5.因果応報」というエッセイの中で、ネットフリックスのドラマ「Sweet Tooth」を見て感動した、というお話をさせて頂きました。 その中に出てくる元NFLのスター選手だった、アフリカ系アメリカ人の大男が口にする言葉がこの、 「In life, you got nothing to live for, until you got something to die for.」 です。彼はこう言った後、自分とは縁もゆかりもない、見ず知らずの主人公の子供を、自らの命

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        2. いのちのきずな

          6.「日課」

          私には大切にしている日課が幾つかありますが、今日はその一つをご紹介します。それは便所掃除です。 我が家は4人家族で便所は一つ。唯一の座を巡って朝や夕方には激しいバトルが繰り広げられます。勝者が用を足すそのドア越しに、敗者が咆哮を上げて地団駄を踏みます。その有り様は酷いもので、さっきまで顔が映る程に綺麗だった便器は、一瞬であられもない姿に身をやつしてしまいます。哀れに佇む便器の姿を見て私は、いつしか、気の向くままに便器を掃除することが日課になってしまいました。 私の便所掃除

          6.「日課」

          5. 「因果応報」

          先週、ネットフリックスでとても面白い海外ドラマを観ました。 「Sweet Tooth」 皆さんはもう観られましたか?シーズン3まであるのですが、あまりに面白くて、私は一気に最後まで観てしまいました。 ネタバレしないように詳細は割愛しますが、何も知りたくない!、という方は、この noteはここまでにして、まずSweet Toothをご覧になってから戻って来てください。 ・・・・・・ 話の都合上、物語の設定だけお話させて頂きます。 時は現代、ある日突然、人類だけに感染

          5. 「因果応報」

          4.「敦盛」

          4.「敦盛」 昨年私は、50歳を迎えました。 「人間50年、下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり。」 織田信長が愛した舞の中で、特に有名なのはこの、「敦盛(あつもり)」でしょう。 「敦盛」は、源氏の猛将・熊谷直実と、平清盛の甥っ子で、当時数えで若干16歳で絶世の美男子と言われた平敦盛の、二人の御家人の物語です。 1184年(寿永3年)の一ノ谷の戦いで、功を急ぐ熊谷直実は義経率いる鵯越えの奇襲部隊に所属し、敗走する平家の主力部隊を背後から追走しました。その時、波打際を走

          4.「敦盛」

          3.みんな違ってみんな良い

          「みんな違ってみんな良い」 子供には個性があります。勉強が出来る子、論理的な子、人付き合いが上手な子、音楽や絵画に秀でた子、運動に長けた子、お手伝いをしっかりやる子、自然が大好きな子などなど。みんな違ってみんな良い。そしてそのまま、大人になっていきます。 現代社会は、世界中の様々な文化的背景を持つ多様な人々が、リアルとバーチャルの双方に発達したソーシャルインフラを通じて、凄まじいスピードで重層的、同時多発的にリンクしているグローバルな社会です。 言い換えれば、アフリカの

          3.みんな違ってみんな良い

          1.「がんばれ」ということ

          「がんばれ」 有り勝ちなこの一言の中に、実に様々な意味があるなと、私は思います。 時には、誰かに全ての想いを託す時、そう例えば、甲子園のマウンドで孤軍奮闘のエース、9回裏、1点差で勝利は目前、だが2アウト満塁、カウント2-3、ベンチから監督が徐に手を挙げタイム、マウンドに内野陣と共に歩み寄って、「がんばれ」。美しい青春の1ページを飾る、最も相応しい場面といえるでしょう。 はたまた、陰鬱な空気の中で、早くこの瞬間が過ぎ去って欲しい時、そう例えば、上司が、優秀だが気に入

          1.「がんばれ」ということ