内視鏡の洗浄・消毒 消毒薬と対象、全自動内視鏡洗浄消毒機の概要
尾家 重治, 内視鏡の洗浄・消毒の基本的考え方, 日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会会誌, 2015, 3 巻, 2 号, p. 108-110,
内視鏡は観血的処置に用いられるため、ウイルスや結核菌など種々の微生物で汚染を受ける可能性がある。一方、フタラール(ディスオーパ®)、グルタラール(ステリスコープ®、サイデックス®プラス28)および過酢酸(アセサイド®、エスサイド®)などの高水準消毒薬は幅広い抗菌スペクトルを示し、また有機物による著しい効力低下がない。したがって、内視鏡には高水準消毒薬が適している。
簡易型の内視鏡自動洗浄消毒機や用手法では鉗子口付きの内視鏡消毒は行いにくい。
したがって、その消毒には全自動型の内視鏡自動消毒の使用が必須となる。
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消毒剤に対する耐性と消毒剤の抗菌スペクトルの降順。
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生検チャンネルを備えた喉頭ファイバースコープの微生物汚染
pseudomonas aeruginosa=緑膿菌
Stenotrophomonas maltophiliaステノトロフォモナス・マルトフィリア(ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌)
Staphylococcus aureus=黄色ブドウ球菌
Burkholderia cepacia=バークホルデリア・セパシア(グラム陰性の非芽胞形成好気性の極鞭毛を持つ桿菌)
高水準消毒薬は手袋や防水エプロンなどを着用して取り扱うとともに,できれば全自動型の内視鏡自動洗浄消毒機での使用が望ましい.一方,蒸気への暴露防止対策として,強力な換気装置(ドラフト)が必須である.換気装置は内視鏡自動洗浄消毒機付近の眼より下の位置に設置する。
高水準消毒薬の安定性として、グルタラールでは緩衝化剤の添加で,過酢酸ではⅠ液とⅡ液の混合で経時的な分解が始まるとの認識が必要である。また、高水準消毒薬には使用期限がある。
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高レベル消毒剤の再使用寿命の基準
*おそらく各製品に使用期限や回数が明記されていると思うのでそちらを優先して参照されたい。
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完全に自動化された内視鏡再処理装置と換気システム。