Rowing on the Charles
まもなくボストンにやってきてから2か月。毎日、課題に追われて寝不足状態ではあるものの、それなりに心身ともに慣れてきて、コミュニティを広げる余裕も出てきました。ということで今回は、ハーバード大学の院生向けのローイング(ボート)クラブに入った話。
ハーバードのすぐそばを流れるチャールズ川では、競技としてもレクリエーションとしても水上スポーツが盛ん。ローイング、カヌー、カヤック、ドラゴンボート、SUPは見かけましたが、なかでもローイングは"Head of the Charles"という世界的に有名なレースを毎年開催していることもあって、高い人気・知名度を誇ります。
さて、かくいう私は大学時代にボート部に所属していて、毎朝、東京と埼玉の間を流れる荒川でせっせと漕いでいたため、かの有名なチャールズ川で船を漕ぐというのは夢の一つでした。
地域密着・・・?
そんなわけで、まず手始めに家の近くにある地域住民向け?の誰でも入れそうなクラブから探し始めました。
ところが、誰でもウェルカムです!みたいなことを謳ってはいるものの、入部のハードルが高い高い・・・。
例えばこのRiverside Boat Clubは入部条件として、ローイングマシンというトレーニング器具で2㎞漕いだときのスコアの下限を、オープン選手は6分20秒、軽量級選手は6分35秒に設定しています。
どのくらいのスコアかというと、日本で行われた昨年のローイングマシン大会では、1位が6分20秒、5位が6分37秒。企業所属のトップ選手は出ていなかったりと参加人数は少ないですが、日本の大学ボート界では6分20秒はトップクラスの成績です。軽量級選手の入団条件である6分35秒にしても、今のなまった体で達成できるわけがないので、このクラブは2秒で諦めました。そもそもの体格差や運動能力の違いを思い知らされました。
次に目を付けたのは、Cambridge Boat Clubという、名前からして、いかにも大学のあるケンブリッジという地域に根差した感じがするクラブ。
ところが入部したいとメールしてみると、
「連絡ありがとう。入部登録には、クラブのメンバー2人からの紹介が要るけど、それぞれ少なくとも1年以上は知人関係である必要があるよ。登録手続きには数か月かかるのと、入団待ちの人が相当数いるので、リストの一番上まで来るのにさらに2年かかると思う。要するに3年以上かかるけど、大丈夫?」
・・・その前に卒業を迎えてしまいます。
スイムテスト・・・?
結局、紆余曲折を経て、ハーバードに所属している院生が主体のローイングクラブの存在を知り、こちらに参加することに。(ちなみに、学部生向けのチームはオリンピアンというかメダリストがいるようなクラブなので入部は無理。)
私が所属しているケネディスクールだけではなく、他のスクールの学生ともローイングを通じて仲良くなれるので、これは絶好の機会!
ところが・・・最後の関門。スイムテスト。
ハーバードのクラブでは、大学のプールまでわざわざ出向いて、監視員に水泳能力を証明しないと、川で行うスポーツ・アクティビティに参加できないことになっています。要するに、溺れたときは自力で岸にたどり着けということですね。
テストは以下の条件をクリアすれば良いのですが、水泳が多少はできる人でないと結構大変です。ゴーグル無しも辛い。
足のつかないプールに飛び込む
そのまま、ゴーグル無しで、100ヤード(90m)を休みなく、クロールか背泳ぎ
そのまま、休まず2分間立ち泳ぎ
・・・って書いていて気づきましたが、規定の100ヤードどころか200ヤード泳がされました。監視員がチェックして、紙切れにサインしてもらうだけなので、まあその辺もガバガバです。背泳ぎがOKと知らずにクロールで始めてしまい、若干溺れそうになりましたが、何とかクリアしました。
いざ水上へ
初めてチャールズ川で漕ぐ日は、天気にも恵まれ、紅葉が始まった川岸の木々を眺めながら優雅に楽しみました(と言いたいところですが、久しぶりだったので必死。)
11月半ばには激寒になって漕げなくなる、というか川が凍る?ようなので、できるうちに楽しみたいと思います。
Head of the Charles
さて、冒頭に書いたように、ボストンでは毎年10月半ばにHead of the Charlesという特大イベントが開催されます。1965年から続いていて、世界中から1万人のローイング選手と、30万人の観衆が集まるそうです。
ルールはシンプルで、曲がりくねったチャールズ川をタイムトライアル方式で4.8km漕ぎ、最も早いタイムを出したクルーが勝ち。(10/17訂正:二艇が同時にスタートと書いていましたが誤りです。)期間中、カテゴリーごとに、このようなレースが何度も行われますが、目玉のレースの勝者は"Head of the Charles"の称号を得られます。
今年は来週末に開催されるので、観戦してまたレポートしたいと思います!(ちなみに私が加入したクラブでは、抽選で外れた男性チームは出場できず、女性チームのみ出場します。)
それではこの辺で。