家探しとボストンの住宅問題
私にはアメリカ人とヨルダン人のルームメイトがいる。二人とも、他に如何とも形容しがたいが、最高のルームメイトだ。ところが、この二人を見つけるまでが少々大変だったのと、家探しをする中でアメリカ・ボストンの住宅問題をひしひしと感じたので、今回はその辺の話を書いてみたい。
家探し
家探しは結構大変だった。
大学から合格通知が来たのが3月半ば。民間で借りることも考えたが、キャンパスからの近さや安心感から、まずは大学のハウジングの抽選に申し込んだ。
抽選は、5月上旬から6月上旬にかけて、抽選期間が割り振られ、自分の抽選期間が来たらボタン早押し勝負をするという仕組みになっている。ところが、私の抽選期間が来る前に、すべて売り切れてしまったと大学からメールが来た。売り切れって何なんだ・・・。おそらく世帯で住む学生などから優先的に抽選期間を割り当てているので、切迫度の落ちる単身学生などは、抽選の機会すら与えられないこともあるようだ。
仕方ないので、フェイスブックのハーバード/マサチューセッツ工科大学ページに出ている賃貸の情報を見ながら、良さそうな物件に連絡をしてみたのだが、今度は思いっきり詐欺にあった。
アメリカ人を名乗る割に英語が拙く、やたらと話がトントン拍子に進むので怪しいなと思っていたのだが、全く同じ内観写真がボストンだけではなくカナダのバンクーバーでも掲載されているのを発見してしまった(笑)皆さんもぜひ気を付けてください。
ということで、ますます民間で探すのは嫌になり、入学前から作られていた大学のSNSコミュニティで、ルームメイトを募集している人たちに連絡を取ってみることに。3、4人とコンタクトを取り、それぞれとオンラインで面会をしたのだが、そこで今のルームメイトたちと出会った。
相性も条件も良い気がして、私としてはすぐに話を進めたかったが、彼らから、他にも希望者がいるので一週間後に連絡するよと言われてしまった。まるで就職活動だ(笑)結局、一週間後に「君に決めたよ!」的な連絡がきて、晴れて一緒に住むことになった。
ボストンの住宅問題
そもそもボストンは住宅需要に供給が追いついておらず、家賃の高騰が社会問題化している。この住宅危機が、若い世代の人口流出、ホームレスの増加につながっているという話もあれば、黒人やラテン系の方が、白人やアジア系よりも家賃の高騰でネガティブな影響を受けているという人種的な問題もある。東京でも人口の過密化が進んでいるとはいえ、こうした切迫度を感じることはまずなかった。
ボストン財団が住宅問題に関して良いレポート(※)を出しているのだが、それによれば、ボストンのあるマサチューセッツ州は他の州と比べて住宅供給が不足しており、人口千人当たりでみた供給量は、全50州のなかで下から9番目に低いとのこと。
また、平均家賃はアメリカの大都市の中で上から3番目に高く、大体$3,000(約45万円)ほどだ。(ベッドルームの数は考慮せずに単純に全体の平均をとっている。)上にはニューヨークとロサンゼルスしかいない。
ただ、所得水準や物価水準が日本とは異なり$3,000がただちに高いと言えるわけではないので、次のグラフも見てみたい。
これによれば、所得が$75,000未満の世帯の7割以上が、所得の3割以上を家賃に充てていることが分かる。うーん、自分の身に引きつけて考えてみても決して楽ではない。所得の3割「以上」なので、所得が低くなればなるほど、より多くの割合を家賃に持っていかれるだろう。住宅「危機」として社会問題化しているのもうなずける。
※ The Boston Foundation "2023 Greater Boston Housing Report Card"
https://www.tbf.org/news-and-insights/reports/2023/november/2023-greater-boston-housing-report-card
クラシアンはどこですか?
翻って、ハーバードのハウジング。単身の部屋で検索してみると、$1,400~$5,700のレンジになっている。
私は大学のハウジングで、なおかつルームメイトと家賃を分割することで$1,300ほどで住むことができているが、徒歩通学圏内ではほとんど最安値だろう。(それでも、東京より圧倒的に高いが。。)
周りの友人に話を聞いてみても、大学のハウジングで3人程度の大きめの部屋を確保して、家賃を割り勘するのが最もコスパがよさそうだ。私は、リビング、キッチン、ベランダを広く使える上に価格を抑えられたので、自分の家にはかなり満足している。
ちなみに、夜中に突然足を滑らせたと思ったら、どこからともなく水漏れしていたり、早朝からガンガン改修工事をしていて寝られたものじゃなかったり、色々と文句の付け所はあるのだが、還暦を迎えている建物なので目をつぶっている。そういえば、留学に来る前に職場の相当上の方から「同じところに住んでいたよ」という話を聞いて、驚いたのを覚えている。
さらに言えば、家に帰ったら勝手に水漏れの改修工事が始まっていて見知らぬ人が部屋に入っていたり、工事の後にも水漏れしているのを報告したら「たまたまだよ」と無視されたりしているが、その辺も目をつぶっている(笑)郷に入っては郷に従えとはよく言うが「まあ、そんなもんだ」くらいに思っていた方が気楽に暮らせると思う。
さて、どうしたら問題解決できるのか?ということは書きませんでしたが、住宅問題は統計の授業のリサーチテーマにもしたので、もし面白い話があればまた投稿したいと思います。