舞台裏から見たパリオリンピック:スポーツマーケターの20日間の記録
オリンピックの舞台裏には、アスリートたちの熱い闘いだけでなく、それを支える人々の努力と情熱が詰まっています。この日記では、2024年パリオリンピックに関わる私が、現地で感じた緊張や感動、出会いの数々をリアルに綴った日記です。パリ到着から閉会式までの日々のエピソードを通じて、オリンピックのもう一つの側面を一緒に覗いてみませんか?
パリオリンピック直前に書いたnoteはこちら
7月23日 パリ到着
オリンピック3日前に、パリ空港に到着しました。過去のオリンピックでは大会準備のため、1週間以上前には到着していたのですが、今回は大会直前ギリギリに到着することになり、少し不安が入り混じった気持ちで飛行機を降りました。
入国審査は順調に進み、アクレディテーションデスクにもすぐにたどり着きました。非常にスムーズに手続きが進み、無事に大会関係者用パスのアクレディテーションをゲット!これで公式に大会に参加できる立場になりました。ボランティアスタッフの皆さん、ありがとうございました。
オリンピックレーンを走って、パリ市内のホテルへ向かう車中、パリオリンピックが始まったんだという実感が湧いてきました。
7月24日 ご挨拶とリハーサル
オリンピック2日前のパリ初日。まずは大事なご挨拶から。TEAM JAPANハウスとTEAM USAハウスを訪問し、それぞれのオリンピック委員会の皆様にご挨拶をしました。どちらのハウスでも、日本とアメリカの関係者たちが慌しくもリラックスした雰囲気で過ごしているのが印象的でした。TEAM JAPANハウスでは、脇本さんが家族のように温かく迎え入れてくれて、ハウス内を案内してくれました。
その後、夕方にパリ市内のクラブを貸し切って、我々の発信拠点となり、大会期間中、メダリストが集うライブサイト、チャンピオンズパークでのウォーミングアップアクティベーションのリハーサル。ダンサー、DJ、裏方スタッフみんなで最後の確認をしました。
7月25日 唯一の事前会場視察
オリンピック開幕前日に1日だけ事前の競技会場視察を行いました。我々にとって重要な技術ショウケースになる会場で、比較的、近郊にある会場を効率的に回りました。最初に訪れたのは、準決勝、決勝でTechnicsのターンテーブルが活躍するビーチバレー会場。エッフェル塔の麓にある仮設の砂の会場がキラキラと輝き、選手たちの練習と運営スタッフが準備する姿が非常にエネルギッシュで、成功を予感させました。
その後、アーバンスポーツ4つの会場が集まるパークとして設定されたコンコルド広場へ移動。Technicsターンテーブルに加え、映像制作プラットのKAIROSは1機材で3つの競技会場の映像制作をマネージしてくれます。
競泳会場ではテレビ東京さんのWBS取材にも対応し、水面に映し出されるプロジェクションマッピングや、最新の映像制作技術について紹介するために裏方サポートができました。
7月26日 (Day 1) 開会式
開会式当日。ホスピタリティのエグゼクティブ・プロトコール対応。開会式会場まで近いため、徒歩で向かうことにしていたのですが、最初のセキュリティチェックポイントは問題なく通過も、二つ目のセキュリティチェックポイントであるセーヌ川の手前では、大きく足止めを食らってしまいました。4つの警備団体のうち1つがなかなか通行許可を出してくれず、30分ほど待たされました。その間、警備員たちの厳しい表情を見ながら、無事に開会式を見られるのかどうか、不安がよぎりました。しかし、何の説明もなく突然「進んで良い」と言われ、無事に橋を渡ることができました。
トロカデロ庭園に到着した頃には雨が降ってきたため、急いで雨合羽を着ました。1時間ほどスタジアムのスクリーンに放映される開会式映像をみていたのですが、雨が本降りになり、ホテルのテレビでみることに切り替えました。それでも開会式会場の特別な雰囲気、テレビでみる開会式の演出・構成は素晴らかったです。
7月27日 (Day 2) バレーボール日本代表戦
午前中は引き続き、エグゼクティブ・プロトコール対応。バレーボール会場で、日本代表チームの応援とプロジェクションマッピングの視察。解説に来ていた福澤達哉さんと挨拶。会場の雰囲気と日本代表チームの熱いプレーに感動しながら応援していると、偶然にも太田雄貴さんなどTEAM JAPANの関係者と同じエリアに座ることになりました。その結果、日本の放送にもちらりと映り込んでしまい、後で仲間たちから「見たよ!」と言われるハプニングが。試合には負けてしまいましたが、皆で応援して、盛り上がりました。
7月28日 (Day 3) 開会式会場からチャンピオンズパークへの転換
この日は朝一、IOCとの面会があり、パリ大会成功に向けた意見交換。
その後、コンコルド広場に移動し、Technicsブースであるヒップホップヤードのオープンを確認。設営タイミングから子供たちが近寄ってきてダンスを始めたが印象的でした。
昼過ぎには、開会式会場からチャンピオンズパークへの転換、一回限りの通しリハーサルが行われ、我々の限られた時間の中で効率よく動けるよう、チーム全体が一丸となって取り組みました。
7月29日 (Day 4) チャンピオンズパーク初日
チャンピオンズパークがついにオープン・初日を迎えました。まず最初は、現地フランスのラグビーチーム金メダリストたちが登場し、ダンスパフォーマンスで会場を沸かせました。その後、スケートボード日本代表メダリストの吉沢選手と赤間選手が素晴らしいランウェイウォークを披露、観客からのサインやセルフィに丁寧に受け答えする姿に会場は大歓声に包まれました。これを見て、今回のチャンピオンズパークが大成功する確信しました。
7月30日 (Day 5) 閉会式に向けて視察
今日は閉会式に向けた事前視察のため、スタッド・フランスに、ラグビーセブンスのゲームがしていました。そして、隣の水球会場も視察してきました。スタッドフランスではJOC副団長の谷本歩実さんとご挨拶する機会がありました。彼女から選手村のTEAM JAPANカフェへの招待を受けたので感激しながら、日程調整をはじめました。
7月31日 (Day 6) アメリカDay
午前中はTEAM USAハウスで過ごし、TEAM USA関係者各位とご挨拶をしました。到着した際に、予約した車両が来なくて1時間ほど待たされるハプニングもありましたが、無事、競泳会場に到着。世界水泳連盟の方々とご挨拶ののち、ケイティ・レデッキー選手の1500m金メダルレースを応援。5年間、パートナーとして共に歩んできて初めての応援は、ケイティの圧倒的なレース運びで金メダル獲得!
メディアの写真撮影時に、カメラマンの後ろに控えていた私に、ケイティが気づいてくれました。
その後、ケイティのご家族から当社とのSTEM教育プログラムに対する感謝の言葉をいただき、心から温かい気持ちになりました。
8月1日 (Day 7) 国際放送センター撮影
今日は国際放送センター(IBC)を訪問し、OBS幹部へのインタビュー撮影。OBS CEOのヤニスさんに久しぶりにお会いできて嬉しかったです。
午後は、チャンピオンズパークで東京2020空手アメリカ代表の國米櫻選手と再会できました。
8月2日 (Day 8) 気球の聖火台
鳥山さんと気球の聖火台を視察に行きました。1日10,000人限定アクセスで完売のところ、入場することができました。その後、ブリヂストン様の素晴らしいホスピタリティラウンジを見せていただきました。羨ましかったです。
夜にはイタリアハウスのCase Italiaにお招きいただき、2026年のミラノ冬季オリンピックのプレゼンテーションを聞かせいただきました。
その後、CT社のDave社長の退任パーティの最後にギリギリ参加でき、10年以上のパートナーシップに御礼を申し上げることが出来ました。
8月3日 (Day 9) ケイティ800m金メダル
この日は選手村に行くことができました。さらに居住区にあるTEAM JAPANカフェにお招きいただき、当社のランタン型映像機器のランターナの活躍を確認し、カフェにいる皆で柔道団体金メダルマッチを応援しました。
夜には、ケイティの800m金メダルレースと水面プロジェクションマッピングの撮影で競泳会場へ。ケイティ、二つ目の金メダル獲得の瞬間に大興奮!近くにいたケイティのお母さんと喜びを分かち合う姿がNBCの放送に映り込み、米国出張中の上司からメッセージが…
8月4日 (Day 10) レベッカの金メダル
少し体調を崩してしまい、午前中はスーパーへの買い出しと休養にあてました。午後から、あさみさんとのランチを楽しみましたが、その後のフェンシング会場の視察は長く続けられずにすぐに退散。テレビでレベッカ・アンドラーデ選手の体操競技を応援、彼女の素晴らしい演技に心を打たれました。レベッカが見事に金メダルを獲得した瞬間をテレビで観て、その感動が伝わってきました。レベッカのメダルセレモニーはまさに伝説の瞬間でした。
8月5日 (Day 11) ケイティ撮影
午前中は、フランス支社でケイティの撮影とスポーツビジネスジャーナルの取材がありました。久しぶりにケイティと話をし、彼女のスポーツに対する情熱と努力を感じることができました。
昼過ぎには、IOCのThank Youレセプションに参加し、久しぶりに再会する多くの関係者と感謝の言葉を交わしました。
夕方からは、チャンピオンズパークのアクティベーション。今日は、テニス男子金メダリストのノバク・ジョコビッチが特別出演し、会場を大いに盛り上げてくれました。観客の歓声が途切れることなく、非常にエネルギッシュな雰囲気の中でイベントが行われてました。
8月6日 (Day 12) レベッカ撮影とマイケルフェルプス特別出演
後半最大の山場、大忙しの日。午前中はレベッカがフランス支社を訪問し、コンテンツ制作とニューヨークタイムズの取材が行われました。取材の中で私も少し話をする機会があったのですが、その記事が後に思わぬ形で関係者内で話題になるとは、この時は全く予想していませんでした。
ニューヨークタイムズの取材の中で私も少し話をすることになったのですが、その記事が後に思わぬ形で関係者内で話題になるとは、この時は全く予想していませんでした。なお、ニューヨークタイムズの記事は公平性があります。
午後には、マイケル・フェルプスがチャンピオンズパークの弊社アクティベーションに特別出演し、その圧倒的な存在感で会場を魅了しました。彼の登場に観客が歓声を上げる姿を見て、スポーツの持つ力を改めて実感しました。
8月7日 (Day 13) ネイサン金メダル授与式とレベッカ登場
今日はチャンピオンズパークでネイサン選手の金メダル授与式が行われ、私もその瞬間に立ち会うことができました。キャットウォーク上にいるネイサンに声をかけたら、振り返ってグーポーズをしてくれたのがとても嬉しかったです。
また、レベッカも気づいてくれて、私のスマホでセルフィー、二人の金メダリストと素敵な思い出を作ることができました。
夜は日本スポーツビジネス界の仲間たちと居酒屋で中打ち上げをし、夜遅くまでみんなで語り合いました。その後は22時過ぎに、ルーブル美術館前で浮かびあがる聖火台を見上げました。
8月8日 (Day 14) ブレイキン会場準備
本日はブレイキン会場の準備状況を確認しました。Technicsの機材やステージの設営状況を細かくチェックし、問題がないことを確認して一安心。準備中で人が少なかったので、Five Ringsと記念撮影。
夜は、トヨタ様のご招待でトヨタハウスにお邪魔し、関係者と楽しい時間を過ごしました。トヨタハウスでのホスピタリティに感動し、このような場で人々が交流できる素晴らしさを改めて感じました。
8月9日 (Day 15) ネイサン特別出演
ネイサン選手が再びチャンピオンズパークに。今回は当社アクティベーションに特別出演し、その後、IOCヤングリーダーズブースにも顔を出しました。彼の登場により、若い世代のリーダーたちが大いに刺激を受けている様子が微笑ましかったです。
その後は、ブレイキン女子が行われるコンコルド会場へ向かい、日本スポーツダンス連盟の布村さんと新子さんにご挨拶することができました。
8月10日 (Day 16) チャンピオンズパークのフィナーレ
チャンピオンズパーク最終日。立ち上げから見守ってきたパークが、ついにその幕を閉じる時が来ました。小川さんが視察に訪れてくれました。また、堀部さんとも久しぶりに再会できたことが嬉しかったです。
その後、ブレイキン会場に移動し、フジテレビの宮司アナウンサーと平昌オリンピック以来の再会を果たしました。
さらに、金メダリストAmi選手とB-Girl Ayaneさんと記念のセルフィーを撮り、シゲキックスの応援に駆けつけました。
その日の最後は、チャンピオンズパークのフィナーレに向かいました。深夜24時頃、組織委員会のチャンピオンズパークメンバーとともにメダリストのようにキャットウォークをウォーキング!一生忘れられない感動的な瞬間でした。
8月11日 (Final Day) 閉会式
ついに閉会式の日を迎えました。会場にはたくさんの観客が集まりました。私もホスピタリティのエグゼクティブ・プロトコールで会場入り。選手たちはリラックスした雰囲気が良かったです。途中、選手たちがたくさんステージに登った時に、「選手のみなさん、ステージから降りてください」というアナウンスはご愛嬌?かな。
ロサンゼルス2028のプレゼンテーションでは、トムクルーズが会場の屋根から登場。大いに盛り上がりました。
このパリオリンピックで感じたすべての経験や出会いに心から感謝しながら、フィナーレを迎えました。次の2028年、ロサンゼルスオリンピックがどんな素晴らしいものになるのか、今から楽しみで仕方ないっ!
スポーツが大好きな次世代のために!