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マーケティングはこれだけ! その3: 3C分析で自社の価値を知る
こんにちは、Tak です。今回はバリュープロポジションを決めていく当たって大事な分析ツールについてお話したいと思います。
PEST分析と3 分析はマーケティングにおいて、超基本になるのでよく知っているよ、という方もいらっしゃると思います。
ですが、『一回やっておしまい』になっていませんか?
分析して終わりではダメです。必ず毎年の年次計画で確認し続けましょう。常に市場は動き続け、自社も他社も変化しているハズです。それを見逃さず、当社のバリューを再確認或いは再定義していくのがマーケッターの仕事です。
ここでは改めて紹介しつつ、どうやってビジネスで使い続けていくのかというヒントになるよう纏めていきます。
■マクロ環境とミクロ環境を分析する
では、さっそく行きましょう。
マーケティングの本質ともいえるバリュープロポジションについて先に説明しましたが、それを導き出したり、そのロジックをサポートするのが、マクロ環境とミクロ環境分析となります。
このように書くと難しいことのように聞こえますが、商売をしていると頭の中ではこれらのことを考えているはずです!
例えば、グローバル企業であれば金利、為替や関連法規などはマクロ環境分析ですし、ミクロは競合価格が安いなぁ、とか、頭の中では考えていることかと思います。
しかしながら、それぞれの理解レベルや見方が社内でも人によって少しづつ異なるためマーケッターとしてはこの環境分析について関係部署のキーマンとは合意していくことが必要だと考えています。
バリュープロポジションという結論に対して「なぜなら自社、競合、市場がこうであるから〜」という理論を支える情報になります。
マクロ環境分析 PEST
まずは、広義に市場を把握するマクロ環境分析を行いましょう。
漏れなく・ダブりなく把握するためのツールとしてPEST分析というものがあります。
Politics(政治)
Economic(経済)
Social(社会)
Technology(技術)
これら4つを合わせてPEST分析と言います。
Political:
市場のルールに影響を与えるもので法律、行政サービス、政府指針など、自社のビジネスに影響を与えるものについて幅広く調査しておきましょう。例えば、建築業界であれば住宅に関する建築基準法の改正、省エネエコポイントなどの補助金、自動車であれば排ガス規制など市場のルールが変わることによって自社のビジネスが変わります。
Economics:
主には出荷量やプライシングに影響を与えるものとなります。景気変動、企業業績、金利、為替動向などです。景気動向によって自社の業績に影響を与えるため重要な要素となります。
Social:
主には需要に影響を与えます。ライフスタイルの変化、人口動態、文化、教育など、それらの変化によって顧客が求めるものや行動が変化する可能性があるのがSocialに関連するものとなります。
Technology:
自社との競合状況に影響を与えます。技術革新、代替技術、IT、新素材など技術革新によって自社の技術が直接的または間接的に陳腐化する恐れがあるためこちらも押さえるべきポイントになります。
幅広い事業環境を踏まえた上で、3Cを考察して行くことが、特に他社や顧客を分析する上で有益になってきます。
ミクロ環境分析 3C
次に、3C分析に行きましょう。
元々は、元マッキンゼー日本支社長で経営コンサルタントの大前研一氏が『The Mind of the Strategist』(1982)のなかで、提唱したものになります。
その後、大前研一氏ご自身の著書『新・資本論』にて、実体経済のみならず見えない新大陸の存在、 「ボーダレス経済」「サイバー経済」「マルチプル経済」によって、3Cだけで戦略を立てていくことが困難になったことを解説されています。
確かに、今まで競合だと思っていなかったところから急にシェアを奪われるということが発生しています。例えば、テレビ業界では元々視聴率で各社競合と争っていたところへ、インターネット普及により全然違うプレイヤーが登場し、お客さんを奪われることになっています。ですので、3Cだけでは不充分といえばその通りです。
従って、PEST分析やこれから紹介する4Pなども掛け合わせた3Cを考察していくことが重要になります。
3Cとは
市場(Customer)
競合(Competitor)
自社(Company)
の分析です。
自社が持っているが、他社が持っていないバリューを明確にするための分析プロセスであり、自社が成功するためのカギを明らかにするツールとなります。
The mind of the strategist: the art of japanese business (1982). kenichi ohmae. mcgraw-hill.
「新・資本論」―見えない経済大陸へ挑む. 大前研一/ 東洋経済 / 2001出版
では、それぞれ顧客、市場、自社の分析でどのようなポイントで纏めていくのかをおはなししたいと思います。
市場分析: Customer
市場や顧客ニーズに関する状況や変化について確認していくプロセスとなります。マーケティング担当であれば営業チームからの声や顧客同行を通じて理解を深めることもできますが、現場の声が重要になるため、最終製品(B to C)であれば、顧客の売場であったり、素材(B to B)であれば顧客の製造工場やその素材を加工したり、使用している人たちの声に直接、耳を傾ける必要があります。
市場分析においては、上記の通り顧客のニーズのほか、現在の市場規模、市場の成長性と成長ドライバー、キーカスタマーのビジネス状況、市場・顧客として何がトレンドで目新しいものになっているかを纏めるようにします。
顧客についてはどこまでが顧客なのか、別の章でも詳しく説明していきますが、必ずしも既存客だけではなく、新規顧客としてどのようなペルソナ(顧客像)になるのか検討することも市場分析に含まれます。
顧客の集合体となるのが市場規模となり、必ずマーケティングプランの中に数量ベースと金額ベースでの市場規模が含まれる必要があります。
全体のパイはどれだけある市場なのかということが分からなければ市場の魅力度が分からないからです。そして、その内、何%マーケットシェアを取るのかということが分からなければゴール設定としての妥当性が分からないからです。
富士経済、矢野経済などのレポートやそれぞれの工業会毎に独自集計されているレポートを参考にすることもできますが、そのようなデータがない場合も多くあります。
その場合は、フェルミ推定で恐らくこれぐらいの市場規模であろうと推計するほかありません。フェルミ推定とは分かっている情報から論理的に市場規模を導き出す方法です。とある製品の市場規模を知りたい場合、そのトップシェアの企業の販売数量を確認します。
上場企業の場合はIR レポートで確認できる場合がありますが、分からなければその会社または取引先などから情報を収集してどれぐらい販売していそうなのかを推定します。
その会社の製品の市場シェアが40%だと分かった場合、同社販売数量×(100÷40)で全体市場を計算します。他にも顧客の採用率を聞いて回って推計する方法もあります。
例えば超ニッチで統計情報のないものとして過去に私が推計したのは、キッチン前の対面カウンター材料の市場規模です。工務店複数者にキッチン前カウンターを設計する住宅が何割あるのかを聞いて回り、それらの平均値から全戸建て住宅着工に掛け、更に平均的な大きさを掛けて全体の市場サイズを平米数で把握するようにしました。
その他、食品添加剤市場では、食物繊維の市場規模を推計したことがありますが、代表的な食物繊維を含む飲料の添加量を調べ、その飲料のトータル販売数量を推計し、類似する飲料がどれぐらいあるかを調べ、飲料業界での食物繊維の市場規模を計算するようにしていました。他の食品も同様にその食品カテゴリーで使われている食物繊維の総量を計算して全てのカテゴリーを合算していくと全体市場を推計することができます。いずれも市場全体の総量を計算しているため、そこから当社出荷量推計、競合類似品の数量推計、そして他素材代替品の数量推計とブレイクダウンしていきます。市場規模が記載されていないプランを目にすることがたまにありますので、是非この点は漏れなく実施しましょう。
Competitor :
競合分析については、競合他社が市場や顧客ニーズに対してどのように対応しているか、対応できていないのかを知る必要があります。
また、競合の定義も注意深く検討する必要があります。例えば、チューインガムの競合は類似するガムだけでしょうか。広く捉えれば、口さみしさを紛らわすものとしてグミも競合になり得ます。
同じような価値を提供するものとして幅広く競合分析をする必要もあります。その上で、顧客製品の市場価格、サービス、プロモーションなどいわゆる4P(次章で解説)について分かる限り纏めて自社と比較する必要があります。
上場企業であればIR資料などから、売上、設備投資状況、宣伝広告、営業活動状況などを読み取ることもできます。また、顧客訪問によって他社がどのような販売活動をしているのかということについてもヒアリングしていくことも可能です。
競合比較については、製品、市場価格、販売チャネル、営業リソース、サービス、市場シェアと売り上げ、企業規模(投資力)のポイントでの自社との比較を5段階評価でまとめておくと良いでしょう。
Company:
最後に自社についての分析です。自社サービスの強みや弱みを明らかにしていくプロセスとなります。上記の競合分析を行う過程で自社の評価も行うことで比較して分かる当社の強みや弱みが明らかになってくるかと思います。
また、内部資源として製造業であれば自社だからこそ出来ていること、或いは出来ていないことが挙げられるかと思います。必要に応じてSWOT分析(Strength/Weakness/Opportunity/Threat)で纏めることによって自社についての分析を深めることができます。
・バリュープロポジションと3C分析のロジック確認
これらの分析を踏まえたうえで、改めて自社のバリュープロポジションは正しくとらえているかどうか再確認しましょう。
当社のバリュープロポジションが市場として、競合状況としても、また自社の状況としても最善な価値提案を行なっていると言えるかどうかを再確認するというプロセスになります。
その際にピラミッドストラクチャーを使って確かめてみると頭の整理になります。
例として有名な予防歯科になるガムを事例に考えてみましょう。ぜひ、自分の事業においてもやってみてください。
![](https://assets.st-note.com/img/1732020990-D3pBlreMPm4XE2O7SAZsHvVt.jpg?width=1200)
ここをしっかりと確認せずに事業を推進していくと、実際にやってみたら上手くいかなかったということになりかねません。そのような中で、一生懸命プロモーションしても売れないものは売れませんので本当にここが一番大事だと思います。
しっかりと関係部署とも詰めて最適なバリュープロポジションを作っていきましょう。
最後に、それぞれの分析ツールの関係性を纏めていますのでご確認ください!
![](https://assets.st-note.com/img/1732022300-HcapOjwvQ7D2EC10Ykt3xVoK.jpg?width=1200)
では、今回はここまでとなります。
お読みいただきありがとうございました!