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楽問のススメ④ 2024共通テスト国語・漢文②

前回からのつづきです。


2024年の共通テスト国語・漢文は、杜牧「華精宮」からの出題であった。
本文と4つの「資料」からなる。

解説は、大手予備校や個人の記事など、多くの方がされていて重宝する。


4つの資料の大意は次のようだ。(「ことほぎ」ジョン様)

資料Ⅰ: 楊貴妃が好んでいたライチは、中国南方の特産品だったため、公文書を届けるための早馬を中継させて七日七夜かけて(腐らないように)都に届けさせていた。

資料Ⅱ: 玄宗が妃である楊貴妃を喜ばせるために、人の労力や命をいとわずに遠方のものを取り寄せていた。

資料Ⅲ: 杜牧の「華精宮」の詩は良く知られている。
玄宗は十月に驪山(華清宮)に行幸し、春に都に帰る。六月に驪山にいたことはない。しかし、ライチは盛夏に初めて熟す(夏の食べ物だ)。

資料Ⅳ: 天宝十四年六月一日の楊貴妃の誕生日、皇帝=玄宗(の乗り物)が驪山に行幸した。そこで披露された曲にまだ名前がなかったので、たまたま献上されていたライチに因んで「茘枝香」と名付けられた。


資料Ⅰに、ライチの配達に「七日七夜」かかったことがここに書いてある。
(ライチは大丈夫だったのか?)

資料Ⅱは、皇帝が公私混同も気にせず楊貴妃を溺愛していた様子がわかる。
(何と楊貴妃を娶ったとき、楊貴妃22才、玄宗56歳だったそうな。典型的な年の差婚である!)

資料Ⅲは、「変だなあ。ライチなら6月くらいに届けないと」という指摘。

資料Ⅳは、「確かに6月(楊貴妃の誕生月)にも華清宮に逗留したことがあるよ。そのときライチが届いたので、プレゼント曲に『茘枝香』と名づけた」としている。


ここで資料Ⅲに「人口に膾炙す」が登場する。
ご存じ「広く知れ渡っている」意味ですね。

「膾炙」の「膾(なます)」は古代中国で食べられていた料理で、生肉を細かく刻んで酢で和えたものです。魚介類を使ったものは魚編の「鱠」と書きます。日本でも生魚と野菜を味付けしたものをなますと呼んでいましたが、現代でなますといえば、大根や人参などの野菜を酢で和えた料理です。

「炙」はあぶり肉という意味で、なますもあぶり肉も味が良く、人の口を喜ばせることから転じ、「膾炙」は「人の口にのぼり評判になる」という意味で使われるようになったとされています。

https://domani.shogakukan.co.jp/631081


おせち料理の「なます」に慣れた日本人にはピンとこないが、

鱠、膾(なます、音読みでは「カイ」)は、切り分けた獣肉や魚肉に調味料を合わせて生食する料理を指す。
獣肉を用いた物は「膾」、魚肉を用いて同様の調理をしたものは「鱠」、また「魚膾」ともいった。

https://ja.wikipedia.org/wiki/鱠


膾炙とは、大雑把にいうと「刺身と焼き肉」でしょ。
日本酒かビールがあれば、なお結構。


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