運用資金4000億の"おおぶね"ファンドマネージャー、奥野一成(おくのかずしげ)さんから長期投資を学ぼう!
農林中金バリューインベストメンツ「おおぶね」とは何か?
こんにちは!TAKAです。
今回は2020年に「教養としての投資」、2021年に「15歳から学ぶお金の教養 先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?」を出版したファンドマネージャー、奥野一成さんについてまとめてみました。
もしかしたらyoutubeなどで奥野さんを既にご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、まずは簡単な人物プロフィールから。
奥野一成さんは農林中央金庫バリューインベストメンツのCIO(最高投資責任者)で、その会社が展開する投資信託「おおぶね」のファンドマネージャーをしています。
「おおぶね」は長期厳選投資信託と銘打っているとおり、主に成長が見込まれる米国株を中心に厳選された企業の株でポートフォリオを組んでます。
例えば、誰もが知っているコカ・コーラやナイキ、ディズニーなどBtoC(ビジネス to コンシューマー)の企業もあれば、世界で初めてICを製造したテキサス・インスツルメンツなどいわゆるBtoB(ビジネス to ビジネス)の企業も構成銘柄に含まれています。
※2021年10月に配布された運用報告書によると26銘柄の米国株に分散投資しています。
https://www.ja-asset.co.jp/fund/140829/index
奥野一成さんは農林中央金庫(農林中金)に2003年から入り、2014年に社内ベンチャーのような形で長期投資ファンドを運営する、農林中金バリューインベストメンツ株式会社を立ち上げました。
ぼくがはじめて奥野一成さんを見たのはyoutubeの動画で、農林中金バリューインベストメンツの立ち上げまでの間には長い闘争があったような発言があったのですが、そのあたりは著書や動画を見れば分かると思います。
ちなみに奥野さんはNewspics(ニューズピクス)で”インベスターズ”という投資番組に出演されています。
ニューズピクスは基本有料ですが無料で見れる番組もあり、プレミアムの無料お試しが10日間あります。
投資エンターテインメント番組という新しい番組なので教養としての投資に興味のある方はぜひ。
↑のリンクは広告じゃないので、僕には1円も入ってきません(笑)
ちなみに農林中金の回し者でも無ければ、投資信託を売ろうとも思ってません。
ただ、奥野一成さんが言っていることや書いていることは、これからの社会に絶対必要な事だと思ったため、なるべく多くの人にこの記事が届けば良いと思ってます。
「投資」は社会に必要なものですし、これからの世の中、教養として知っておくべき事です。
みんなが笑顔になれる豊かな社会を目指して「教養としての投資」を学んでいきましょう。
「教養としての投資」
奥野一成さんの著書に「教養としての投資」という本があります。
その本を読めば一目瞭然なんですが、そもそも教養としてなぜ投資を学ばなくてはならないのでしょうか?
その答えは表紙のカバーに書いてありました。
「投資」を知らなければあなたは一生「奴隷」のままだ。
強烈な一言です。
しかし、同時に真実だとも思いました。
この本の中に「労働者2.0」という言葉が出てきます。
2.0ということは1.0とは何だ!?となるのですが、「労働者1.0」とはざっくり書いて本物の投資を知らない人のことです。
本物の投資、ということは偽物の投資もあるのか、と思う方もいるかもしれません。
「投資」とは英語の"investment"の和訳で、基本的な意味は「将来に資本を増加させるために現在の資本を投じること」を指します。
また、よく「投資」と混同される言葉に「投機」という言葉があります。
「投機」の和訳は”trade”(トレード)ではなく”speculation”ですが、投機をする人のことを日本語ではトレーダーと言います。
なんだか変ですね。
本来ならspeculator(スペキュレーター)のはずですが、たぶん言いにくかったのでしょう。
ちなみにtradeという英語の意味は「売ったり買ったりすること」広義では交易や通商など商売全体を指す、とても抽象的な言葉です。
そして、投資(investment)は日本ではとても誤解の多い言葉です。
というのも、「投資」という言葉が良い意味にも悪い意味にも使われてしまうからです。
特に多いのが「投資」を騙った詐欺です。(つまりは偽物の投資です。)
よくあるのが「今、100万円投資すれば毎月10%のリターンが必ず返って来ます!」というもの。
この謡い文句の何がいけないか、というと必ず投資したものが返ってくるというところです。
つまり、投資に伴うリスクを説明すべきなのに、説明していない。
本来ならばこう書くべきでしょう。
「今、100万円投資すれば毎月10%返ってくる見込みはありますが、保証はしません。」
こう書くと、誰もおカネを出そうと思いませんけどね。
こういった投資を騙った詐欺が起こるたびに「投資」という言葉は誤解されてしまうのです。
本物の投資とは、リスクを十分承知した上でするものです。
「投機」と「投資」が違う点は、短期間の差益(キャピタルゲイン)を狙ってする投機とは違い、投資とは長期保有を前提にして投資する企業のオーナーになる、事です。
その企業のオーナーになる、という事はその企業のことをよく知らなければいけません。
以前に「もの言う株主」という言葉が話題になりましたが、株主はその企業のオーナーなのだから、意見するのは当然の事です。
問題は「値上がり益を狙うために経営に口を出す」大株主が経営を左右することの是非、のはずなのに問題が完全にすり替えられてしまった残念な例です。
※この事は外国の投機筋が絡んでいたからなおさら厄介です。
上場している企業にはIR(Investor Relations)といって投資家に対する広報活動をやっている部署があるので、ぜひ「もの言う株主」になってやりましょう。
長々と書きましたが、「労働者2.0」とは本物の投資を知っていて実行している人の事です。
そして本物の投資を知っている人は奴隷になんかなりません。
「労働者であり、投資家でもある。」
これからの世の中はこれが当たり前になります。
おおぶねファンドマネージャー、奥野一成
先にも書いた「投資した企業のオーナーになる」というのは奥野さんの本に書いてあったことです。
元はウォーレン・バフェットの言葉ですが、もともとはバフェットの師匠のベンジャミン・グレアムの言葉かもしれません。
奥野一成さんがバフェットの弟子かどうかはさておき、大きな影響を受けた投資家の一人であることは間違いなさそうです。
奥野一成さんは京都大学の法学部出身。
卒業後に日本長期信用銀行(長銀)に入行とビジネスエリートの道を歩んでいきます。
もともとは長銀で債権トレーダーをしていたそうですが、ある時、ウォーレンバフェット流の長期投資に目覚めて、日本にまだ少なかった長期投資ファンドの設立を決意します。
このあたりの事は「教養としての投資」に詳しく書いてます。
長期投資のファンドマネージャーという点では、日本で一番買われている長期アクティブ投信の「ひふみ投信」の藤野英人さんと同じですが、おそらくほぼ同時期に同じことを考えていたのでしょう。
そして、目指しているものが2人ともよく似ています。
著作も似ているものがあって、そのあたりはyoutubeの対談に詳しいです。
このお2人はとても面白いですし、投資について分かりやすく説明してくれます。
こういった人たちがもっとたくさん世の中に出てくれば、日本の投資環境が劇的に変わるかもしれません。
構造的に強靭な企業に投資する、とは?
奥野一成さんのyoutubeの動画を見れば分かりますが、事あるごとに奥野さんが口にするのが、「構造的に強靭な企業に投資しましょう。」というセリフです。
※ちなみにこれはNVIC(農林中金バリューインベストメンツ)の商標のようです。
ここで言う「構造的に強靭な企業」とは何か?というと。
①付加価値の高い産業
②圧倒的な競争優位性
③長期的な潮流
この3つの要素に支えられている企業のことを指します。
①の付加価値の高い産業とは何か?というと、「その会社は世の中にとって本当に必要なのか?」ということ。
例えばメルカリのようなCtoCの企業ならば、消費者のニーズを果たして本当に満たしているかどうか、が「付加価値の高い産業」であるかどうかの見極めポイントになります。
日本は物質的に豊かな国ですから、部屋の中に埋まっている要らないものの1つや2つ、いやもっと言えばゴロゴロと不要品が眠っている人は多いはずです。
その不用品を必要としている人が他にいて、それらをマッチングするアプリがあったらいいな。
それもゲーム感覚で売り買いを愉しみながら出来たら最高。
そんな、みんなが直面していた課題を見事に解決したのがメルカリです。
ぼくはマッチングアプリの中で「愉しみながら」というところが非常に重要だと考えてます。
例えばヤフオクはオークションが楽しいからやっている人は多いはずで、メルカリはその上、SNSのやり取りのようなスピーディさと気軽さも備えているところが強みです。
つまり、メルカリは世の中のニーズを非常にうまく捉えた企業。
だから、メルカリが「付加価値の高い産業」だと言えます。
そして、②の圧倒的な競争優位性ですが、これは「圧倒的に高い参入障壁」とも言い換えられます。
この参入障壁とは何か?というと。
①取り扱っている商品の世界シェア
②新規参入に莫大なコストがかかる分野
③他社を圧倒するブランド力
の3つです。
日本の化学メーカーの時価総額1位で、インフラ整備の必需品である塩化ビニル樹脂、半導体に必ず必要なシリコンウェハーなどで世界シェアナンバーワンの信越化学工業はこの3つに当てはまる企業です。
信越化学工業はBtoB(ビジネスtoビジネス)の会社なので、一般にはあまり知られていないですが、世界シェア1位の商品をいくつも持っていて、圧倒的に高い営業利益率など財務が安定している企業として知る人ぞ知る存在です。
信越化学工業は世界2位の化学メーカーで国内では圧倒的な1位。
1960年代から世界中に製造拠点を建てていて高い参入障壁を築いているので、今さら信越化学工業の向こうを張ってシリコンウェハーを作ろう、という人はいません。
つまり、信越化学工業は非常に参入障壁が高い企業の一つだと言えるでしょう。
また、③の長期潮流は分かりやすく、長期的な時流に乗っているかどうかです。
長期潮流は分かりやすいが故に、とても誤解されやすい、と奥野さんは言います。
例えば自動運転やAIなど、これから確実に起きそうな変化を元にしたテーマは耳目を集めやすいです。
ですが、話題になりやすいが故にぱっと現れてぱっと消えるバブルになりやすく、そういった短期のトレンドを指すものと「長期潮流」は明確に異なります。
つまり、「長期潮流」とはもっと深く、不可逆的な(元には戻らない)ものを指すのだそうです。
分かりやすい例だと人口は必ずこれから増える、とか。
youtubeで奥野さんが言っていたのは、人口は必ず増え、そして先進国の人は健康で長生きしたいと思うから走り出す、という話。
そして、その「健康で長生きしたい」という課題を解決する企業が”ナイキ”というシューズで世界シェアナンバーワンの企業です。
ナイキのシューズを町で見かけない日はありません。
大阪なおみさんが履いているテニスシューズはナイキだし、錦織圭さんが履いているテニスシューズもナイキです。
それだけブランド力が強く、参入障壁が高い企業が長期潮流をも味方につけているのだから、株価が伸びないはずはないですね。
2022年は長期投資を学ぶには最高の年になる!
正直いって、今(2022年4月下旬)の株式市場は下落局面に向かいつつあるような気がしてなりません。
ウォーレンバフェットやジム・ロジャース、ロバート・キヨサキなど米国の著名な投資家が昨年から株式市場の今後を心配するコメントを発していますし、米国が世界的なインフレにより金融引き締めを予定より早期に行うことを表明しているからです。
しかし、長期投資家にとって、株価の下落局面はむしろチャンスです。
なぜかというと、安くお目当ての銘柄を買えるからです。
不況になるかもしれない時に何を、とおっしゃる方もいるかもしれませんが、長期投資家が買いにいった時が株価の底入れのサインだと昔から言われてます。
それだけ投資、とくに長期投資は社会に必要なものです。
例えば2008年にリーマンショックが起こった時、株価はドン底まで落ちていきましたが、そのドン底の株価を支えていたのが長期投資家です。
短期のトレーダーは早々に株式市場から逃げ出してしまい、買い手なし、の状態の中、勇気のある投資家はここぞ、とばかりに買いまくっていました。
その時の株価が日経平均で6,994円。
今の日経平均株価が27,105円ですから、リーマンショックの底値で買ってずっとその銘柄を保有していたら、実に今は3.8倍になっています。
優良株は日経平均を軽く上回るパフォーマンスを得ているので、その利益は計り知れません。
長期投資家は下落時にもっと下落するかもしれないリスクを取るかわりに、正当なリターンを得ているのです。
とはいえ、いきなり熊の穴から子熊を引き出すみたいでおっかないですよね。
賢明な長期投資家になるためのステップとして、長期投資をしっかりまずは学びましょう。
そして、最初の長期投資は長期で運用している投信から入るのが良いと思います。
奥野一成さんたちが運用している長期投資信託「おおぶね」はおおぶねシリーズを保有している人は『おおぶねメンバーズ・カンファレンス』というzoomを使って毎月開催されているオンラインの運用報告会に招待されるという特典があります。
オンラインで運用報告会を行っているアクティブ・ファンドは他に鎌倉の古民家をオフィスにしていることで有名な「鎌倉投信」や長期で安定した運用で有名な先の動画にも出演していた藤野英人さんの「ひふみ投信」などがあります。
おおぶねメンバーズカンファレンスはコロナをきっかけに始めたそうですが、ファンドと受益者(ファンドの購入者のこと)とが双方向でコミュニケーションが取れるというのは画期的な試みです。
こういったコミュニティをきっかけに投資をはじめてみるのも良いのではないでしょうか。
また、オンライン投資勉強会などのセミナーを行っているファンドもあるのでぜひ参加してみてください。
長々書きましたが、長期投資を学ぶには2022年は最高の年です。
なぜなら、株価の上昇局面と下降局面の両方を体験できるからです。
しっかり株価の下落に備えて、教養としての投資と、確かな知識に裏付けられた何事にも動じない度胸を身に着けていきましょう!