閉鎖空間、雨の中
こうして文章を綴っていると、私はまるで文章を書くためだけに箱根に来たかのような錯覚を覚えます。
箱根の仙石原はこの2日間、ずっと降り頻る雨の中にあります。
ここに来てからというもの、かつてないほどの何もない山の奥での生活を余儀なくされていて、それでも時間は続いていくのは当然のことでもあり、私は大阪にいた頃と全く違った時間との向き合い方を見つけなければなりません。
大阪には、たくさんのイベントや出会いがありましたし、一歩外を歩けばコンビニも居酒屋もカラオケも、地下鉄も環状線も何もかもがすぐ近くにありました。
地下鉄まで徒歩15分が遠いと感じていた大阪での生活が嘘のように、ここでは静かな空間がどこまでも続いて、聴こえるのは部屋の換気扇の音と、遠くの雨のしとしと降る音くらい。
本当にここが自分の住処なのかと疑わしくなります。
この生活があと2ヶ月続きます。
その現実が、一旦は絶望的なものとして見えるのは仕方がありません。
しかし私はこれを、どうにかチャンスとして見出していきたい。
チャンスとは、一体何をもってしてチャンスと捉えているのかという話になりますが。
今ならばたとえば勉強とか、一人だけで集中したい作業にのめり込むことだって、可能でしょう。
みんなとわいわい過ごしていた時を思い出す寂しさ、それを払拭するかのように奮い立たせて自分のやりたいことに集中することができれば、まさしく自分は箱根に来たかいがあります。
逆にそれができなければ、お前は一体何しにここに来たのかと疑問の数々に飲み込まれそうです。
こんな山奥で一人、楽しめるものなんて自然しかなくて、その自然だって一人でいてはただの山籠りになってしまう。誰か友達と一緒ならば、ペンションなんかを借りて、バケーションを楽しむことだってできるのですが。
いかんせん私は一人です。Instagramで日常を上げ続けるにしてはいい加減ネタも切れてきそうだし、職場での付き合いもどうやら希薄そうな感じはします。あくまでイメージですが。
多分、遊びに行くところがないのでしょう。みんなで何をするにしたって、飲みにいくことだってできないし、観光するにしては自然しかなさすぎる。
さて、どうすることが正解でしょうか。
とりあえず明日に備えて早く寝たほうがいいか。