【書評】 水島治郎 『ポピュリズムとは何かー民主主義の敵か、改革の希望か』中公新書
問題の所在 「ポピュリズム」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。トランプ大統領の誕生あるいは、イギリスにおけるEU離脱だろうか。はたまた、小泉純一郎元首相だろうか。ただ、それは往々にして、ネガティブな意味をもって、使われることが多い言葉である。新聞各紙を見ると「大衆迎合主義」と訳され、大衆を扇動する指導者の像を浮かび上がらせる。しかし、果たして本当に「ポピュリズム」は民主主義にとって良くないことなのか。そして、そもそも「ポピュリズム」とは何なのか。本書で、著者はそうした素朴な疑