今通常国会に、児童福祉法改正案が提出されることとなりました。
児童相談所実務に大変大きな影響を及ぼしそうです。
以下、法案の中でも、特に、一時保護への司法審査の導入と、児童に対する意見聴取制度の仕組みの導入について触れます。
一時保護開始時の判断に関する司法審査の導入
「一時保護開始時の判断に関する司法審査の導入」については、改正案33条3項は、親権者の同意がある場合等を除き、一時保護を開始した日から7日以内に地裁・家裁又は簡裁に、一時保護状を請求しなければならないという内容になっています。
一時保護状の請求が却下された場合には、児童の生命又は心身に重大な危害が生じると見込まれるときに限り、一時保護状請求を却下する裁判があった日の翌日から3日以内に却下の裁判の取消しを求めることができるとされます。一時保護状の請求についての裁判が確定するまでの間は引き続き一時保護ができる。改正案はそのような内容となっています。
一時保護状の請求をする際に児童相談所はどのような資料をそろえる必要があるのか未知数です。
そして、これまで児童虐待案件に触れたことのない(例えば、家庭裁判所において一時保護延長や児童福祉法28条審判に携わったことがない)裁判官が一時保護状の審査に携わることとなると推測されます。裁判官が一時保護状の謂わば自動発券機になっては司法審査は無意味なものとなりますが、審査する側の質の確保がどのように行われるのかも気になるところです。
児童相談所、裁判所、それぞれのキャパシティ的に大丈夫なのか、心配です。
児童に対する意見聴取等措置の導入
「児童に対する意見聴取等措置の導入」については、改正案33条の3の3において、児童・保護者に対する指導措置、里親委託・施設入所措置、児童福祉法28条の入所措置の更新、一時保護の際、そしてこうした措置を解除等する場合に、児童の意見聴取等措置をとることを義務づける内容となっています。