どのような場合に審判離婚が選択されるのか
令和3年(2021年)も多くの離婚のご依頼を承り、代理人として対応しました。
解決が来年に持ち越しとなった事案もありますが、希望通りに離婚がまとまった事案や離婚を阻止した事案も多数ありました。
協議離婚、調停離婚、和解離婚(家裁・高裁)、裁判離婚と、離婚がまとまる道筋は様々ですが、「審判離婚」で解決したものもありました。
令和2年度に全国の裁判所で調停で離婚が成立した数が20,516であるのに対し、審判離婚は3544件しかありません。大変珍しい類型です。
それでは、どのような場合に、調停離婚が選択されるのでしょうか?
1 離婚"調停"が電話会議で進行し、"調停離婚"の代わりに"審判離婚"が選択される場合
離婚調停において、当事者の一方が遠隔地に居住しているなどの理由から電話会議システムを利用して手続が行われる場合に、調停に代わる審判が使われることがあります。
離婚調停では、電話会議の方法による調停期日で、期日に出頭しない当事者は調停を成立させることができません(家事事件手続法268条3項,258条,54条1項・2項準用)。
遠隔地間で調停をしており、双方離婚に合意しており、離婚の条件も全て決まっているにもかかわらず、わざわざ期日に出頭させるのは不合理です。
そこで、家庭裁判所が、職権で調停に代わる審判をする方法がとられます(同法284条1項)。
2週間の異議申立期間(同法286条2項、279条2項準用)を経過して、審判は確定します(同法287条)。
審判が出てから2週間が経過して初めて離婚が成立することになりますが、この期間を短くするため、双方又は双方の代理人が裁判所に「異議申立権放棄書」を提出し、確定時期を早める方法もとられます。
2 離婚"訴訟"が電話会議で進行し、"和解離婚"の代わりに"審判離婚"が選択される場合
離婚訴訟において、当事者の一方が遠隔地に居住しているなどの理由から電話会議システムを利用して手続きが行われた事案でも、審判離婚が使われることがあります。
離婚訴訟では、通常の民事訴訟と異なり、電話会議の方法による弁論準備期日で、期日に出頭しない当事者は和解(和解離婚)をすることができません(人事訴訟法37条3項、民事訴訟法170条3項、4項)。
遠隔地間で訴訟をしており、双方離婚に合意しており、離婚の条件も全て決まっているにもかかわらず、わざわざ期日に出頭させるのは不合理です。
そこで、裁判所が職権で事件を調停に付して(付調停:家事事件手続法274条1項)、職権で調停に代わる審判をする方法がとられます(同法284条1項)。
こちらも、2週間の異議申立期間(同法286条2項、279条2項準用)を経過して、審判は確定します(同法287条)。
審判確定までの期間を短縮させるため、双方又は双方の代理人が裁判所に「異議申立権放棄書」を提出し、審判を早期に確定させる方法がとられることもあります。
多治見さかえ法律事務所では、離婚事件を積極的に取り扱っております。
交渉による解決のご依頼のほか、岐阜家庭裁判所多治見支部、岐阜家庭裁判所中津川出張所、岐阜家庭裁判所御嵩支部、岐阜家庭裁判所本庁、名古屋家庭裁判所の、離婚調停事件・婚姻費用分担調停・審判事件を主に取り扱っております。
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