「腐ったミカン」発言はパワハラに 人格を否定するような暴言になるので要注意
1 腐ったミカンの方程式
「3年B組金八先生」シリーズには、「腐ったミカン」に関するやりとりが出てきます。
腐ったミカンが箱の中に一つあると、他のミカンまで腐ってしまう。だから、腐ったミカンは放り出さなければならない。その論理に基づき、加藤優は、荒谷二中を排除され、桜中学に転校してきました。
Paraviで全シリーズ独占配信しているようです。
この「腐ったミカン」の論理は、現在でも未だに残存するようです。
先日、こんな報道がありました。
時事通信の記事によると、原告側の主張は、研修にて講師から
「腐ったミカンを置いておくわけにはいかない。頑張ろうとしているミカンも腐ってしまう」
「チャレンジしても無理。あなたにはもうチャンスがない」
などと言われ、退職を迫られた、というものでした。
2 「腐ったミカン」は人格を否定する暴言と認定した裁判例も
パワハラ(パワーハラスメント)は、
1 優越的な関係を背景とした言動であって、
2 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
3 労働者の就業環境が害されるもの
と定義づけられます。
パワハラに当たる代表的な言動には、身体的な攻撃、精神的な攻撃など6つの類型があり、精神的な攻撃とは、具体的には、脅迫や名誉毀損、侮辱、ひどい暴言など精神的な攻撃を加えるものを言います。
過去には、「腐ったミカン」という言葉は、人間性を否定するような暴言である、と評価した裁判例があります。
平成27年11月11日福岡地裁判決では、一方が他方に対し「たった一人の腐ったみかんがあったら全部が腐ってしまうんだよ、意識を高めてくれよ」などと述べたとしており、「腐ったみかん」といった発言については、相手の人間性を否定するような暴言を浴びせるものだと評価しています。
福岡地裁の判断を踏まえると、「腐ったミカン」は、ひどい暴言であり、パワハラ(そのうちの精神的な攻撃)に当たるということになります。
3 「腐ったミカン」との発言は、パワハラと評価されかねません
腐ったミカンと言う言葉は、腐ったミカンが箱の中に一つあると、他のミカンまで腐ってしまう、だから、腐ったミカンは放り出さなければならない、という謎理論(=腐ったミカンの方程式)と相まってよく出てくる暴言のようですが、人格を否定するものであることは間違いありません。
先の大阪の学校法人を職員が訴えた事案については、実際にそのような暴言があったのかどうかが、今後大きな問題となりそうです。
「腐ったミカン」との発言は、パワハラと評価されかねませんので、注意が必要です。
ちなみに、写真は、三浦半島の南端、城ヶ島。4年前に撮っています。