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2011のバックパッカー(その3)

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2011のバックパッカー(その1)

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2011のバックパッカー(その2)

アユタヤの世界遺産群を、逃げ惑うヤモリが如きスピードで急ぎ回った私たちは、寝台列車に飛び乗ってウドンタニまで移動。そしてバスでサコンナコンに向かいました。

この年のタイは記録的大雨で、場所によっては水没していました。車窓の景色で実感。
世界遺産を前にする友人S。
3人乗りは当たり前。時には4人乗りなんていう猛者もいます。さらにはノーヘルさえデフォルト。2023年現在でもほとんど変わりないようですが、外国人がノーヘルで乗るとタイ人よりも高い罰金が取られます。余談ですが、旅行者が原付を借りると、基本的にタイの免許がないので警察に捕まり罰金を支払うことになります。しかしながら、一度捕まると3日間は捕まらなくなるという謎の大らかな法律によって、罰金覚悟で原付が借りられます。タイとは誠に大らかな国なのです。
そんなタイの大らかで自由なノリが、日本にコミットしない私には心底心地よく感じられました。
人生初の寝台列車。「思い出のマーニー」と「あの花」の小説をひたすら読んでいました。旅先での読書は贅沢な時間です。
サコンナコン衝撃の「パッタイ」。こんなに美味いものを食ったことないってくらい美味しくて、これがきっかけでタイ料理にハマり、帰国後しばらくしてタイ料理屋で働くようになりました。
私は未だにこのパッタイを超えるパッタイに出会えていません。このためだけにまたサコンナコンに行きたいです。この店まだあるのかな?本当に美味しかったな~。
どこか懐かしさを覚える風景。バスの中で流れていた日本の歌謡曲風のタイの音楽もそうですが、初めての土地にも関わらず知らず心が安らぎます。同じアジア人なんだなーと実感しました。

さて、サコンナコンに来た目的。それは「昆虫の食用缶詰」の入手!

バンコクなどでも探したり聞き込みをしてきましたが、未だ見つけることができていませんでした。

しかし、それはサコンナコンでも同様で、スーパーなどでも見つからず、そもそも何もない長閑な田舎町。私たちは早々に探索場所を見失ってしまい、諦めて宿へ戻ることになりました。

くそっ、わざわざサコンナコンまで来たのに・・・。
何より私のわがままに付き合ってくれた友人にも申し訳ない・・・。

諦めの悪い私は戻り際、宿の受付でも聞きました。英語が通じなかったため虫と缶詰のイラストをノートに描き、それが食べられることを身振り手振りで伝えて、とにかくソレが欲しい気持ちを伝えます。

すると、彼女は受付の奥から他のスタッフを呼び出して、何やら話し合いが始まりました。タイの人たちの優しい性格を知っていればこそ、日本からわざわざこんなものを探しにやって来た私たちのために力になろうと、みんなで色々考えてくれているのだろうと、言葉は分からずとも理解できました。

やがて、どうやら意見がまとまったのか、その中の一人がどこかに電話をかけました。

そして・・・。

明朝8時。受付に来るよう言われました。
どうやら車が迎えに来るようなのですが・・・。

それ以外のことは全く理解できないまま、しかし何らかの可能性がつながったことへの期待と興奮を覚えつつ、私たちは部屋のテレビでHUNTER×HUNTERのタイ語版のアニメを鑑賞しながら(ちょうどゴンさんの回でした)、翌朝に備えたのでした。

(続く)

おまけ。サコンナコンのアニメショップ。2011年はまどマギが放送された年です。ほぼオンタイムで日本のアニメはタイでも流行っていました。

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