(番外編)あなたの見えない同様に確からしいの世界
確率が直感を裏切る例として議論になりがちだが、正解は1/2ではなく2/3とされる。
細かく言えば、
(ただし、医学的な知見や事実にかかわらず、男女どちらが生まれることも同様に確からしいものとして答えよ)
という前提は必要なのだが(あと、2人子どもがいるのは、男女のぺあなのかとか、そもそも性別を単純に決することができる前提はどうなのかとか‥)なので、男女の問題から外れ、純粋に数学的確率の問題とするために、次のように問題を言い換えてみよう。
答えはやはり1/2ではない。
実は、この問題にはサイコロの目以外に、もう一つ「同様に確からしい」を適用すべき偶然が隠されている。そのことを悟られないように、問題文を書き換えるとき、あることを書かないように気をつけた。1/2と答える人は「書いてない」前提を読み取れなかったので、というひっかけなのである。
隠された(それゆえ読み取りにくい)同様に確からしい偶然現象、それは、
2枚あるカードのうち、どちらを裏返すのか?
その違いがわかるように、文章を変えたもう一つの問題を見て考えてほしい。
この問題ならば、答えは1/2である。子どもの問題に戻してしまうと、
ある夫婦に2人子どもがいる。上の子が男であるとき、もう片方が女である確率は?
ということになる。これならば1/2で正解である。
そして、元の問題に書いてないけど、答えが2/3になる前提をしっかり書くと、こういうことである。
つまり、この時点で、1回目のカードを引いているのか、2回目のカードをひいているのか、同様に確からしい(等確率)現象を、もう一つ考えなければならないのである。1枚は偶数なので、奇数-奇数の可能性は消え去り、分母は3になる。
しつこいようだが、対応する子どもの問題の文はこうなる。
ある夫婦に2人子どもがいる。片方の子が男であるとき、もう片方が女である確率は? ただし、2人の子どものうち、性別がわかる方の子どもを指定するのは、同様に確からしいものとする。
中学校の教科書に載ってる公式 p=a/n は、ラプラスの公式と言われる。この公式で数学的確率を求めるとは、何が同様に確からしいかを徹底的に考え尽くすことなのである。
ラプラスの公式をつかうことは、神のひく「くじ」の正体を探せ! ということなのである。