【番外編】さいころ3個の問題を解くために必要なこと
さいころ3つの問題は,中学校範囲ではない,と言った。
とは言ったものの、実際に私立高校の入試問題で学習指導要領を超える問題は出てくる。出るからには,受験生は対応せねばならない。
何が必要になるのだろうか。中でも頻出の「さいころ3個」を例に、具体的に問題を解きながら考えてみる。
これまでのように「起こりうるすべての場合を列挙してカウント(分母)」→「条件に合う場合をカウント(分子)」とは行かない。ここからのポイントは、
条件に合う場合(分子)を独自に列挙したり、計算したりする力
にある。
分母は・・・
$${6^3=6・6・6}$$=216
確率計算の秘訣としては、どうせ後で約分できることが多いので,最初から計算せずに積の形で残しておくことである。
(1)はできれば瞬答で
分子は6。できれば、a=b=cが1~6の場合の6通り、というのが一瞬で出てきてほしいな、というのがこのレベルの話なのだと思う。求める確率をP1とすると
$${P1=\dfrac{6}{6×6×6}=\dfrac{1}{36}}$$
(2)はcの値による場合分け
cの値を1~6の場合分けをして、それぞれのときの(a,b)の組合せを考えると,モレなくダブりなく列挙ができます。
c=ab=1のとき
(a,b)=(1,1)の1通りのみ。
c=ab=2のとき
(a,b)=(1,2)、(2,1)の2通り。
c=ab=3のとき
(a,b)=(1,3)、(3,1)の2通り。
c=ab=4のとき
(a,b)=(1,4)、(2,2),(4,1)の3通り。
c=ab=5のとき
(a,b)=(1,5)、(5,1)の2通り。
c=ab=6のとき
(a,b)=(1,6)、(2,3),(3,2),(6,1)の4通り。
これらは同時に起こらないので、すべての場合の数はあわせて14通り。求める確率をP2とすると
$${P2=\dfrac{14}{6×6×6}=\dfrac{7}{108}}$$
(3)は加法に変形して考えよう
cが2箇所にある。左辺・右辺をそれぞれ考えて・・・とやると大変。cは移項する。このとき減法よりも加法で考えた方が楽になる。-bの項も同様。なので
$${a-c=c-b}$$
$${a+b=2c}$$
のように変形してから考えた方がよい。
あらためて、(2)同様にcの値を1~6の場合分けをして、それぞれのときの(a,b)の組合せを考える。
c=1のとき a+b=2
(a,b)=(1,1)の1通りのみ。
c=2のとき a+b=4
(a,b)=(1,3)、(2,2),(3,1)の3通り。
c=3のとき a+b=6
(a,b)=(1,5),(2,4),(3,3),(4,2),(5,1)の5通り。
c=4のとき a+b=8
(a,b)=(2,6)、(3,5),(4,4),(5,3),(6,2)の5通り。
c=5のとき a+b=10
(a,b)=(4,6),(5,5),(6,4)の3通り。
c=6のとき a+b=12
(a,b)=(6,6)の1通りだけ。
これらは同時に起こらないので、すべての場合の数はあわせて18通り。求める確率をP3とすると
$${P3=\dfrac{18}{6×6×6}=\dfrac{1}{12}}$$
※類題 函館ラ・サール高等学校2020、愛光高等学校2021
(4)は余事象(・・・じゃない)を使ってみよう
4の問題を解くときちょっと試行錯誤してみてもいいのだが,真っ正面からやるととても時間がかかる。これは$${a+b>c}$$じゃない方、つまり$${a+b≦c}$$を数えた方が早い。やはりcが1~6のときで場合分けをして、(a,b)の組合せを羅列してみる。
c=1のとき a+b≦1
これを満たす(a,b)の組はない(0通り)。
c=2のとき a+b≦2
(a,b)=(1,1)の1通りだけ。
c=3のとき a+b≦3
(a,b)=(1,1),(1,2),(2,1)の3通り。
※ここで、あれ、上の組も含まれるぞ,と気づくとよろしい。
c=4のとき a+b≦4
(a,b)=(1,1),(1,2),(2,1),(1,3),(2,2),(3,1)の6通り。
c=5のとき a+b≦6
(a,b)=(1,1),(1,2),(2,1),(1,3),(2,2),(3,1),(1,4),(2,3),(3,2),(4,1)の10通り。
c=6のとき a+b≦6
(a,b)=(1,1),(1,2),(2,1),(1,3),(2,2),(3,1),(1,4),(2,3),(3,2),(4,1),(1,5),(2,4),(3,3),(4,2),(5,1)の15通り。
これらは同時に起こらない(※)ので、すべての場合の数はあわせて35通り。
※(a,b)=(1,1)とかかぶりまくってるじゃないか!と思うかも知れないが、考えているのはあくまで(a,b,c)の組であって、それぞれcを固定したため、あとは(a,b)の組合せを考える,というやり方をやっていたわけです。同じ(1,1)と書いてあっても、それぞれ(a,b,c)=(1,1,1)(1,1,2)(1,1,3)(1,1,4)(1,1,5)(1,1,6)のことで、これらはやはり同時には起こりませんよ!
で、求める確率をP4とすると
$${P4=1-\dfrac{35}{6×6×6}=1-\dfrac{35}{216}=\dfrac{181}{216}}$$
組合せを羅列→順列を考える
順序を考えず、小さい方から並べたときに出た目の最大値が3で最小値が1になる組合せは{1,1,3}{1,2,3}{1,3,3}である。
このうち,同じ数が2つある組合せで1回目・2回目・3回目の順序を考えるとそれぞれに3通り(例えば{1,1,3}だと、3が1回目に来るか・2回目に来るか・3回目に来るかの3通り)ある。{1,2,3}を順番に並べる並べ方は$${_3P_3 = 3×2×1}$$で6通りである。これらは同時には起こらないので,出た目の最大値が3で最小値が1になる場合の数は合わせて12通り。
したがって求める確率は
$${\dfrac{12}{6×6×6}=\dfrac{1}{18}}$$
類題:大阪星光学院高等学校2021
後に何が出ても・・・ 先に何が出てても・・・ 目を向けるところだけ向けて計算すればいい,という問題。(※ここまで来ると,実は確率の和の法則・積の法則を使ってもいいのだけど・・・という感じもする)
(1) 450以上ということは、1回目に5や6が出れば,2回目・3回目に何が出ようとも条件を満たしている。1回目に5が出るのは36通り。1回目に6が出るのも36通り。
で、1回目に4が出て条件を満たすのは(451、452,453,454,455,456,461,462,463,464,465,466)の12通り。これらは同時に起こらないので,合わせて84通り。したがって求める確率P1は
$${P1=\dfrac{84}{6×6×6}=\dfrac{7}{18}}$$
(2) 4の倍数は、下2桁が4の倍数であればよいので,百の位に何が出ようが関係がない。1、2、3、4、5、6の数でつくれる2桁の数で4の倍数となるのは、12,16,24,32,36,44,52,56,64の9通り。十の位と一の位の組合せは36通りなので、求める確率P2は
$${P2=\dfrac{9}{6×6}=\dfrac{1}{4}}$$
(3) 1~6の3数で和が15になる組合せを小さい方から並べて書くと{3,6,6}■,{4,5,6}○,{5,5,5}☆ この組合せを百の位・十の位・一の位に割り振る場合の数は■が3通り、○が6通り、☆が1通りであるから,合わせて10通り。求める確率P3は
$${P3=\dfrac{10}{6×6×6}=\dfrac{5}{108}}$$
(4)和によって場合分けをする。
和が3になる組合せは{1,1,1}☆のみで,その場合の数は1通り。
和が6になる組合せ{1,1,4}■,{1,2,3}○,{2,2,2}☆で,すべての場合の数は6+3+1=10通り。
和が9になる組合せ{1,2,6}○,{1,3,5}○,{1,4,4}■,{2,2,5}■,{2,3,4}○,{3,3,3}☆で,すべての場合の数は6+6+3+3+6+1=25通り。
和が12になる組合せ{1,5,6}○,{2,4,6}○,{2,5,5}■,{3,3,6}■,{3,4,5}○,{4,4,4}☆で,すべての場合の数は6+6+3+3+6+1=25通り。
和が15になる組合せは(3)のように10通り。
和が18になる組合せは{6,6,6}☆のみで,その場合の数は1通り。
これらは同時に起こらないので、すべての場合の数は72通り。求める確率P4は
$${P4=\dfrac{72}{6×6×6}=\dfrac{1}{3}}$$
類題:東大和学園高等学校2021
次の問題はさいころではないが。
分母は・・・10×10×10=1000。
(1)aの可能性が10,それに対してbの可能性は10のうちa以外の9,さらにcの可能性は10のうちa,b以外の8つ、したがって(a,b,c)の組合せは10×9×8。求める確率P1は
$${P1=\dfrac{10×9×8}{10×10×10}=\dfrac{18}{25}}$$
(2)和が10にで、a≦b≦cになる(a,b,c)の組は(1,1,8),(1,2,7),(1,3,6),(1,4,5),(2,2,6),(2,3,5),(2,4,4),(3,3,4)の8(通り)。求める確率P2は
$${P2=\dfrac{8}{10×10×10}=\dfrac{1}{125}}$$
(3)最大値が7であるときの3数の組合せは
{7、7、7}☆・・・1通り
{7,7,x}(x<7) ・・・xが1~6までの6通りに対して3通りずつあるので,18通り
{7,x、x}(x<7) ・・・xが1~6までの6通りに対して3通りずつあるので,18通り。
{7,x、y}(x<7,y<7、x<y)・・・(x、y)の組は(1,2),(1,3),(1,4),(1,5),(1,6),(2,3),(2,4),(2,5),(2,6),(3,4),(3,5),(3,6),(4,5),(4,6),(5,6)の15通りに対してそれぞれ6通りずつあるので、90通り。
これらは同時に起こらないので、合わせて
1+18+18+90=127(通り)。求める確率P3は
$${P3=\dfrac{127}{10×10×10}=\dfrac{127}{1000}}$$
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