![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/80042558/rectangle_large_type_2_4accb22d854d596e28fa8550c1dd5047.png?width=1200)
体操の技を覚えよう【ゆか01】前方宙返り
体操といえば宙返り。ゆかといえば宙返りですよね。
さて、そんな宙返りにはいくつかの種類があります。
中でも代表的なものが前方宙返りと後方宙返り。
宙返りはほぼこの二種類で完結しますが、その見分け方は踏切りの瞬間にあります。
進行方向に向いて踏み切ると前方系、ロンダートを経て進行方向と反対側を向いて踏み切ると後方系になります。
着地した時の向きはここでは関係ありません。
![前方](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79026375/picture_pc_7bd6c18b762546be62157e080492f41c.gif)
MARIANO Arthur (BRA) - 2019 Artistic Worlds, Stuttgart (GER) - Qualifications Floor Exercise
![後方](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79026396/picture_pc_ca3ed2c3d668f289c1f20cc446880d82.gif)
MARIANO Arthur (BRA) - 2019 Artistic Worlds, Stuttgart (GER) - Qualifications Floor Exercise
さらに宙返りをする上で重要になるのが姿勢。
体操競技においては、『抱え込み』『屈身』『伸身』の三種類の姿勢があり、どの姿勢で宙返りをするかで難しさは変わります。
![抱え込み](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79026535/picture_pc_4287bde5be4af49a64a966dfc270e4d7.png)
TANAKA Yusuke (JPN) - 2018 Artistic Worlds, Doha (QAT) - Qualifications Horizontal Bar
抱え込み…膝と腰を曲げ体を丸く小さくして、膝を抱え込むような姿勢。
![屈身](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79026541/picture_pc_d05c3076840151993a3bd393c2191378.png)
TANAKA Yusuke (JPN) - 2018 Artistic Worlds, Doha (QAT) - Qualifications Parallel Bars
屈身…腰は曲げていますが、膝はピンと伸びています。
身を屈めると書いて「屈身」。屈伸運動の屈伸とは全く別物です。
かつてNHKですら間違えたことがあるので要注意です。
![伸身](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79026546/picture_pc_7112192b07b0788ebb5d3a3328ed8688.png)
UCHIMURA Kohei (JPN) - 2018 Artistic Worlds, Doha (QAT) - Qualifications Horizontal Bar
伸身…膝も腰も曲がることなく、まるで1本の線のように美しく伸びています。
身を伸ばすと書いて「伸身」です。
宙返りを構成する要素としては、姿勢のほかにひねりの回数、宙返りの回数が肝になっていきます。
ゆかの宙返りは『前方か後方か』『どの姿勢』で『何回宙返り』をしていて『何回ひねっている』のかを判断できれば見分けることは難しくありません。
今回から『体操の技を覚えよう』シリーズとして、男子体操各種目の技を紹介していきます。
今回はゆかの『前方系の跳躍技』に属する技を現在難度表に載ってるものから抜粋して紹介します。
▼抱え込み1回宙返り
まずは『抱え込み姿勢』で『1回宙返り』をする技から。
①前方抱え込み宙返り【A難度】
最も基本的な技です。難度は最も低いA難度。
こちらは『抱え込み姿勢』で『1回宙返り』をして『ひねりを加えない』技。
![抱え込み前宙](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79064587/picture_pc_2dcc7143ea8d86f7f6cba4e9bf4289f5.gif)
②前方抱え込み宙返り半ひねり【A難度】
『抱え込み姿勢』で『1回宙返り』をして『半ひねり』をする技。
①前方抱え込み宙返りと比べて着地の向きが異なり、ゆか面を確認しながら着地に向かえることで着地を狙いやすい技です。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/156532643/picture_pc_7dc0f574d97abc946c737c40b1d5a8cf.gif?width=1200)
③前方抱え込み宙返り1回ひねり【B難度】
『抱え込み姿勢』で『1回宙返り』をして『1回ひねり』をする技。
こちらは②前方抱え込み宙返り半ひねりよりも難度がひとつ上がってB難度。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/156531894/picture_pc_51ebf6ae78f87adc1419158c7211c394.gif?width=1200)
▼屈身1回宙返り
続いて『屈身姿勢』で『1回宙返り』をする技
④前方屈身宙返り【A難度】
『屈身姿勢』で『1回宙返り』をして『ひねりを加えない』技。
①前方抱え込み宙返りに膝を伸ばしただけの技です。
![屈身前宙](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79064613/picture_pc_2e9a8d9261d24d81402dfc8d750fe13a.gif)
先述の①抱え込み前宙と②抱え込み前宙半ひねり、そしてこの屈身前宙、さらに屈身前宙半ひねりの4つの技はルール上『同じ技』として扱われます。
体操競技はすべての種目において、同じ技を何度繰り返し行っても1回実施した分の価値点しか得られません。
見た目の要素が異なっていても、ルール上同じ技として扱われていれば、この規則に抵触します。
例えば①抱え込み前宙を成功させたあとに屈身前宙半ひねりをやっても、後者の技は、技の演技構成の難度を示すDスコアには反映されません。
しかし、技の実施を示すEスコアの採点の対象にはなります。
▼伸身1回宙返り
続いて『伸身姿勢』で『1回宙返り』をする技。
ここからがメインです。
⑤前方伸身宙返り【B難度】
『伸身姿勢』で『1回宙返り』をして『ひねりを加えない』技。
この技にひねりを加えることで難度が上がっていきます。
①前方抱え込み宙返りの動きを伸身姿勢で実施するとB難度。
![伸身](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/78444905/picture_pc_6dd81bdb77926bfdc1b5d41adae917c8.gif)
⑥前方伸身宙返り半ひねり【B難度】
『伸身姿勢』で『1回宙返り』をして『半ひねり』をする技。
②前方抱え込み宙返り半ひねりを伸身姿勢で実施したものになります。
![伸身ハーフ](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/78444919/picture_pc_ae3e5d77e50294038c6ffe031521f02f.gif)
⑤前方伸身宙返りと⑥前方伸身宙返り半ひねりは『同一枠』の技、つまり先ほど説明したように『同じ技』として扱われます。
1つの演技に⑤と⑥を両方入れることはできません。ですが、実施するのは自由です。
「同一枠」という概念なのですが、体操男子のルールブックに載っている難度表は、技ごとにマスで区切られていて、
![](https://assets.st-note.com/img/1737202515-oJ4S2uflUF5ga8VWjhQy0Imc.png?width=1200)
このうちのひとつのマスの中の技に記載されている技が、ひとつの技として扱われています。
![](https://assets.st-note.com/img/1737202544-hiO5uojdqPBkmaSMKHyYJUrb.png?width=1200)
⑦前方伸身宙返り1回ひねり【C難度】
『伸身姿勢』で『1回宙返り』をして『1回ひねり』をする技。
宙返りの連続で使われる事の多い技です。
③前方抱え込み宙返り1回ひねりを伸身姿勢で実施すると難度が上がってC難度。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/156531924/picture_pc_cc7b6ca3cb47142dc8b0508045556697.gif)
⑧前方伸身宙返り1回半ひねり【C難度】
『伸身姿勢』で『1回宙返り』をして『1回半ひねり』をする技。
こちらもC難度。
![45前方伸身宙返り1回半ひねり](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/78222431/picture_pc_16029a19ad8921880aae86f0580f82f2.gif)
⑦前方伸身宙返り1回ひねりと⑧前方伸身宙返り1回半ひねりも『同一枠』の技として扱われます。
かつては分離されていた⑦⑧2つの技は、ともに良く使われていた技でした。
同一枠の技はひとつの演技内で複数回使っても1回実施したのと同じ価値しか得られません。
⑦前方伸身宙返り1回ひねりと⑧前方伸身宙返り1回半ひねりは、実質、ひとつの演技内にどちらか一方しか使うことができません。
ゆかにおいて、⑤伸身前宙を使うか、着地を狙いやすい⑥伸身前宙ハーフを使うか。
⑦伸身1回ひねりを使うか、着地を狙いやすい⑧伸身1回半ひねりを使うか。
そういった『技選び』が0.1を分ける事になるのです。
⑨前方伸身宙返り2回ひねり【D難度】
『伸身姿勢』で『1回宙返り』をして『2回ひねり』をする技。
⑦前方伸身宙返り1回ひねりとともに、連続技として使われる事が多く、実施例の多い技です。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/170634140/picture_pc_9fc4295e6f5968c93fdffa56655283c5.gif)
⑩前方伸身宙返り2回半ひねり【E難度】
『伸身姿勢』で『1回宙返り』をして『2回半ひねり』をする技。
連続技で使う選手もいますし、単発で使う選手も多くいます。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/170634224/picture_pc_f40c3901b350b3c8764afabac35a93f2.gif)
⑪前方伸身宙返り3回ひねり〔シライ2〕【F難度】
『伸身姿勢』で『1回宙返り』をして『3回ひねり』をする技。
白井健三選手が2013年に世界で初めて実施した技です。
世界的に実施する選手は少ないものの、日本選手で得意としている選手が多い印象。
3回もひねってしまうとF難度が得られます。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/156531782/picture_pc_29ffe13fa525529ac81b464359e8a39b.gif)
⑫前方伸身宙返り3回半ひねり〔ゴシマ〕【G難度】
『伸身姿勢』で『1回宙返り』をして『3回半ひねり』をする技。
日本の五島誉博選手が発表した技。唯一1回宙返りでG難度が取れます。
ここまでくると実施例はほとんどなく、五島選手本人と南一輝選手しか実施例はありません。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/170634374/picture_pc_c2e68d5ad10fe5e844a25f5022946175.gif)
▼宙返り正面支持臥
1回宙返りをして足で着地をせずにもう1/4だけ縦回転を加えて「正面支持臥」で受ける技があります。
⑬前方抱え込み宙返り正面支持臥【B難度】
『抱え込み姿勢』で『1と1/4回宙返り』をして『ひねりを加えない』技。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/170634541/picture_pc_a10586f251f4120302276c4c23fa5763.gif?width=1200)
屈身姿勢の場合も同枠の技になります。
▼抱え込み2回宙返り
ここからは2回宙返り系の技。
ロスルールではゆかにおける前方の2回宙返り系は実質必須になったので見る機会が多いかもしれません。
前方系の2回宙返り技は数が少ないので覚えやすいかと思います。
まずは抱え込み姿勢から。
⑭前方抱え込み2回宙返り【D難度】
こちらは『抱え込み姿勢』で『2回宙返り』をして『ひねりを加えない』技。
![22前宙ダブル](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/78222387/picture_pc_b616260f6c1e0a6e62ed9dae03b1a629.gif)
⑮前方抱え込み2回宙返り半ひねり【D難度】
『抱え込み姿勢』で『2回宙返り』をして『半ひねり』をする技。
![抱ダブルハーフ](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/78444943/picture_pc_9a8203fa4cd330eb01d569bc5ba075ec.gif)
⑭前方抱え込み2回宙返りと⑮前方抱え込み2回宙返り半ひねりも『同枠』扱いの技なので、⑭と⑮をひとつの演技に併用することはできません。
⑯前方抱え込み2回宙返り1回ひねり【F難度】
『抱え込み姿勢』で『2回宙返り』をして『1回ひねり』をする技。
前方でひねるのも難しく着地も前向きで難しいことから滅多に見る事のない技です。
![54前方抱え込み2回宙返り1回ひねり](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/78222438/picture_pc_c91e0c8444a41aca40587c0d44a419ff.gif)
⑰前方抱え込み2回宙返り1回半ひねり〔ザパタ〕【F難度】
『抱え込み姿勢』で『2回宙返り』をして『1回半ひねり』をする技。
⑯前方抱え込み2回宙返り1回ひねりよりもひねり数が多いにもかかわらずこちらの方が実施例が多いのです。⑮より技術は必要な反面、着地が取りやすいためでしょうか。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/156531506/picture_pc_f89d8cb26ae759bb4afaf8f0ede1bedd.gif)
▼屈身2回宙返り
ここからは屈身での2回宙返り。
⑱前方屈身2回宙返り【E難度】
『屈身姿勢』で『2回宙返り』をして『ひねりを加えない』技。
⑭前方抱え込み2回宙返りを屈身姿勢にするとひとつ難度が上がってE難度。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/156531828/picture_pc_db74fbaed656ea497c0430bbccbef5c1.gif?width=1200)
⑲前方屈身2回宙返り半ひねり【E難度】
『屈身姿勢』で『2回宙返り』をして『半ひねり』をする技。
こちらも⑮前方抱え込み2回宙返り半ひねりを屈身姿勢にしたもので、ひとつ難度が上がってE難度。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/156531865/picture_pc_2d33a77bb8deab714c8fd63dd8046561.gif)
⑱前方屈身2回宙返りと⑲前方屈身2回宙返り半ひねりも『同枠』扱いの技。
▼伸身2回宙返り
前方系にただ一つ、伸身で2回宙返りをする技があります。
⑳前方伸身2回宙返り1回半ひねり〔ザパタ2〕【G難度】
『伸身姿勢』で『2回宙返り』をして『1回半ひねり』をする技。
前方系で伸身2回宙返りなんてノーマルのひねらない伸身ダブルすら発表されていないのに、色んな物を飛び越していきなり1回半ひねりが発表されてしまいました。まぁ今後やる選手は現れないでしょうね。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/156532531/picture_pc_8a775987fc32c78ded22b06ec19834ab.gif)
▼その他
上記のどれにも属さない前方系の技があります。
宙返りではないものの、A難度の技として価値が認められている技です。
㉑前転とび【A難度】
多くの場合、高難度の技に入るための助走としての役割を持ちます。
片足で踏み切るパターンと両足で踏み切るパターンがありますが、どちらも同じ技です。
![前転とび2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79065632/picture_pc_04e99c5644ccb2c13e58164f40718b75.gif)
![前転とび1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79065642/picture_pc_bdba7b204b2fe57a8f990522860f9a6f.gif)
いかがでしたでしょうか。
今回は前方系の技を紹介しましたが、覚えられましたか?
今回21の技を紹介しましたが、前方系の技はこれがすべてではありません。ですが、これらを覚えられれば、ゆかの演技を見るのがより楽しくなってくるでしょう。
チャプター02 後方宙返り
チャプター03 アクロバット以外の技
チャプター04 組み合わせ加点
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