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エレフテリオス・ペトロウニアス(ギリシャ)のつり輪/2021年欧州選手権種目別決勝の演技

つり輪の絶対王者、ギリシャのエレフテリオス・ペトロウニアス選手です。

2015年世界選手権の種目別つり輪で金メダルを獲得後、2016年リオ五輪でも金メダルを獲得、2017年、2018年の世界選手権でも金メダルを獲得しています。

しかし、東京オリンピックの予選も兼ねていた2019年世界選手権、怪我の影響で満足な演技ができなかったペトロウニアスは、4位に終わります。
この大会でオリンピック出場権を得られるのは上位3選手だったため、この大会での五輪出場を決めることはできませんでした。

しかし、その後すぐに種目別ワールドカップに本格参戦。
2年半続いた8大会の最後、ドーハ大会にペトロウニアスも参戦。オリンピック出場を決めるには15.333以上が必要でした。
15.333以上というのは、過去世界選手権で出したことがあるのはペトロウニアスのみという驚異的なスコアです。

そんな高い壁をペトロウニアスは超えてしまいます。
リオ五輪後の2017年以降で最高となる15.500を記録して東京オリンピック出場を決めました。


ペトロウニアスに関わらず、つり輪の得意な選手は皆が使う技があります。
【ナカヤマ十字】というD難度の技です。

1968年メキシコシティオリンピック、1972年ミュンヘンオリンピックでつり輪連覇を果たした日本の中山彰規選手の名前が付けられています。

「背面水平経過十字懸垂」というD難度の技です。
背面水平とはこの形を言います。

2019 Artistic Worlds, Stuttgart (GER) – Samir AIT SAID (FRA), Qualifications Rings - YouTube および他 7 ページ - 個人 - Microsoft​ Edge 2021_07_23 19_31_34 (2)

つり輪界では、十字懸垂を実施する際、【アザリアン】派と【ナカヤマ】派に分けられます。
「後転逆上がり十字懸垂」【アザリアン】と
「背面水平経過十字懸垂」【ナカヤマ】、
どちらかと言えば【ナカヤマ】派の方が優勢です。

ペトロウニアスは【ナカヤマ】派です。

ナカヤマ

つり輪では、力技は2秒以上止めるのが鉄則です。
最低2秒止めなければ、減点、ひどい時は技が認められないこともあります。
しかし、ペトロウニアスは力技を3秒、4秒も止めてしまいます。それは減点をなくすことだけでなく、審判へのパワーのアピールにもなっています。

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もはや本気のペトロウニアスに勝てる者はいません。
つり輪でEスコア9点台を出せるのはペトロウニアスならではです。

ペトロウニアスはギリシャ神話の英雄になぞらえて「ヘラクレス」と呼ばれています。

【ナカヤマ】の本家・中山彰規選手のように、リオ五輪に続くオリンピック連覇を成し遂げることができるでしょうか。
はたまた、ヘラクレスを倒す者が現れるのでしょうか。

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