運命の別れ道
この国では今、「矛盾」が大流行している。
感染者が爆増しているにも関わらず、「旅行自体は感染を広げない。」、「旅先で話をしなければ問題ない。」と訳の分からん方便まで使って、「Go to トラベル」で政府は人々を旅行させようとした。
そしたら色んな都道府県の知事が「自粛して」だの、「外出を控えて」だのを言い始め、挙句の果てには、こんな地方自治体も登場してきた。
なんと、今、帰省を控えてくれた方には宮崎県・日南市では特産鶏肉3,000円を1,000円にプライスダウン。また、山口県・阿武町ではスイカやコメの詰め合わせパックをプレゼントしてくれるらしいのだ♪。
要は「来てくれるな」ということを暗に訴えていた。
こんなわけで国策「Go to トラベル」は、こうした地方の抵抗、そしてなにより、政策開始直前に東京を対処から除外したことから、当初見込んでいた経済効果が得られない可能性が高いとのことなのだ(当たり前やんw)。
では、政府がなんだってこんな矛盾したことをするのか?実は、こうせざるを得ない背景がある。観光業界各社は売り上げが大幅に下がり、このような状態が続けば大手会社でも倒産してしまうかもしれないのだ。これに加えて、飲食業・イベント業等の会社も似たような危機的状況にある。
現に5~6月には失業者数が大きく増加しており、この状況が続けば、とんでもない事態になるだろう。
当然、前回の緊急事態宣言時よりも感染者が爆増しているのだから、普通なら再度自粛をとなる。しかし、今度大規模な自粛をすれば、さすがに多くの会社がもう持たないだろう。事実上、「自粛」という選択肢が選べない状況になってしまっているのだ。
それでは、コロナを無視して普通に生活するしかないのだろうか?
そこで今回、私は、「コロナを無視して経済活動」派の意見を調べてみた。彼らの主張は、主に以下の3点から成り立っている。
①インフルエンザの死者は年1万人(日本国内)を超えるのに、最近やっと1,000人を超えたコロナに自粛してること自体がそもそもおかしい。
②日本ではどういうわけか重症者が少ない。だから無問題。
③死者が出たとしても高齢者に集中しており、彼らは寿命が来て死んだ。
といった具合であり、この説は私が見た限り多くの有名言論人、企業経営者、大学教授、引用した漫画家さん等に支持されている(ただし、一定の自粛・対策は流石に必要とし、その程度については、各人で意見のバラツキ有)。先般行われた東京都知事選でも「コロナは風邪」とポスターに自分の名前よりも大きく書いた人が立候補していた。
これらの意見を聞いた私の感想は一言で言うと「あきれた」である。
まず①については、只の風邪やインフルエンザと違う点は、もう、多くの人達が一生懸命説明してきてるわけで、現に、今回のウイルスは世界中で66万人もの命を僅か半年で奪うという実績を成し遂げた。この1点だけでも、警戒する理由としては十分ではないかと思う(一方のインフルエンザの死者数は2017年で、多く見ても年間約64万人とのこと)。そして、先に③から答えると、赤の他人が他人の死を寿命と切って捨てる道理が私にはわからない。コロナは老衰でも心不全でもないだろう??なんでこんな恐ろしい事を他人に言えるんだろうか...。②については、その通りなんだろうと思う。ある意味、これは2020年度版の神風ではないかと。
では、とりあえず②があるから、今のまま経済活動をすれば大丈夫かといえば私は全くそうではないと思う。②の要素は事実ではあるものの、「なぜ日本人は重症者が少ないか?」の理由は解明されていない(山中 伸弥教授曰くファクターX)。よって、この事実を根拠にいくら「死なない!」とか「大丈夫!」とか言われても、なぜ死なないかがわからないと、みんな警戒して、外出やイベント参加なんてものは控えるのではないだろうか?
仮に死なないのはほぼ確定としても、高熱が出てしばらく仕事できないとか、自分はともかく高齢の親に感染させたら⁈なんて考えるとみんな思うように動かず、結局、経済も稼働しないと思う。
では、この状況で人々に安心して経済活動してもらうにはどうするか?
それは、「検査・隔離・治療を徹底する」しかないのではと思う。検査はPCR検査が正確でない等色んな話があるが、安く気軽に検査できる体制にして(国によっては無料らしい)、感染者をあぶり出して、早めに隔離する。治療と言ってもワクチンがないので、せめてしっかり休んでもらえるようにサポート体制を整えるという事を徹底するしかない。ていうか、色んな国でやっている施策を普通にやるべきなのだろう。
もちろん検査の結果、偽陽性だの偽陰性が出て混乱する場合もある。でも、経済を回すために自粛などを辞めて、人々が感染リスクを許容せざるを得ないなら、偽陽性による混乱リスクを許容した方がまだましだと思う。だから、偽陽性を責めるとかそうした空気を作らないようにするしかない(失敗を責めるのが大好きな国民性なのでかなり厳しいかもしれないが...、ていうか、こんな国だから、医者がみんな嫌がってやりたがらないんだろうと思う)。
そんなわけで自粛策が難しい今、この国は新たな運命の分岐点にいる。
検査の精度が低くても数多く確認して、追跡し、隔離はするけども、少しでも負担を軽くする体制を整えて、一人でも多くの人が助かるように知恵を出しあえる国となるか?それとも、自己責任だと言いながら、高齢者が死ぬのは寿命と割り切り、医者・看護師に給料は払わず、感染者を戦犯扱いにして中傷し、もうからない経済を細々と続ける国になるのか?
さあ、私たちの未来はどっちだろうか?
どうか前者であってほしい。
P.S コロナなんて大したことないという意見の人は、今回、世界に多くの不幸をもたらしたと思う。それについてはまた別の日記で詳しく書きたい。
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