04コーチングx内部監査:新任監査人(金融機関)成長ストーリー~配属後6ヶ月間の学びと気づき~
本シリーズは12回シリーズでお届けしています。
00【連載予告】コーチングx内部監査:新任監査人(金融機関)成長ストーリー~配属後6ヶ月間の学びと気づき~|TAIZO
第4回:監査調書の作成 - 効果的な記録の取り方
はじめに
監査調書は、監査活動の根拠を示す証跡として重要な記録となります。しかし、新任監査人にとっては「何をどこまで記録すれば良いのか」や「どのような形式で書けば良いのか」など、多くの疑問があるでしょう。なぜ監査調書が重要なのか、どのように作成すれば良いのか、一緒に考えていきましょう。
1. コーチング手法を活用した対話:監査調書の目的を理解する
佐藤(教育係):「先日のヒアリングの内容はもう記録しましたか?」
鈴木(新任監査人):「はい、一応メモは取ったのですが・・・これをどうやって監査調書にまとめれば良いのか悩んでいます。」
佐藤:「なるほど。では、そもそも監査調書は何のために作成するものですか?」
鈴木:「えー・・・上席者のレビューのためですか?」
佐藤:「それも大切な目的ですね。他には?」
鈴木:「あ、そうですね。監査の結論を裏付ける証跡として・・・あと、次回監査の時の参考資料にもなりますよね。」
佐藤:「その通りです。では、それらの目的に照らすと、どのような点に気をつけて記録を取ればよいでしょうか?」
2. 監査調書作成の基本ステップ
監査の品質を確保する上で、監査調書は極めて重要な役割を果たします。誰が見ても監査の結論が理解できるように、以下のような点に留意して作成します。
基本情報の記録(ヒアリングの例)
実施日時・場所
相手の所属・役職の・氏名
ヒアリングの目的
関連する監査項目
確認内容の記録
確認した事実
入手した証跡
追加確認が必要な事項
コメントや説明の要点
結論・所見の記録
確認結果の評価
追加検証の必要性
気付き事項・改善提案
3. コーチングのポイント:目的を意識した記録
鈴木さんは監査調書の目的を理解することで、より的確な記録の取り方に気づくことができました。他方で、監査調書を作成する際には「誰が」「何の目的で」この調書を読むのかを意識することが大切です。
問いかけの例
「この記録は、誰が見ることを想定していますか?」
「監査の結論を導くために、どのような情報が必要でしょうか?」
「次回の監査で、どのような情報があると役立つと思いますか?」
4. まとめ
監査調書は、監査の品質を確保し、将来の改善につなげるための重要なツールです。単なる記録ではなく、監査の証跡として、また将来の参考資料として活用できるよう、目的を意識した記録を心がけることが大切です。
(ご参考)
1/3【新任内部監査人「必見!」】監査調書が果たす使命:その時、あなたならどう説明しますか?|TAIZO
次回予告
次回は「監査手続の実施 - サンプリングの考え方」というテーマでお届けします。