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04/15 内部監査という選択:多様な人財が活きる新たなキャリア(第4回)
内部監査人に求められる基本的な知識とスキル(実践的な観点から)
本連載では、内部監査という職業が持つ可能性や魅力を、私自身の20年以上にわたる経験をもとに、全15回にわたってお伝えしています。
はじめに
内部監査の実務で求められる知識やスキルは多岐に渡ります。前回は内部監査人の役割と責任、特に監査リスクについてお伝えしました。
第4回となる今回は、その役割と責任を全うするために必要な具体的な知識とスキルについて、実践的な観点から説明します。この記事を通じて、内部監査人の役割についてより明確なイメージを持っていただけると思います。
1. 内部監査人に必須の3つの基本柱:知識・スキル・姿勢
内部監査人が実務で求められる要素を大きく3つに分けると、以下のようになります。
a. 専門的な基本知識
内部監査の基準・実施ルール、実践手法
監査対象分野の業務知識(例:会計、IT、製造プロセス)
関連法令・規制、組織内ルール
b. 実践的な基本スキル
監査計画やリスク評価の立案力
監査対象者との信頼関係を築くコミュニケーション力
データを正確に分析し、妥当な結論を導く分析・評価力
c. 監査人としての姿勢・心構え
専門職として高い倫理観をもつ(例:疑問があれば、地位や立場に関わらず質問する)
専門職としての懐疑心の発揮(例:説明を鵜呑みにせず、根拠を確認する)
独立した立場で客観的な判断をする
継続的に学び、専門知識・スキルを向上させる
2. 必要とされる具体的な基本知識
(1) 共通して必要な知識
内部監査の基準と実施方法
リスク評価の考え方
内部統制の基本概念
(2) 監査対象に応じて必要な知識
業務プロセス(例:製造、物流、販売)
業界特有の規制・慣行
最新のテクノロジーの動向(例:クラウド技術、AIの活用)
3. 求められる実践的な基本スキル
(1) 監査実施に必要なスキル
監査計画の立案力(リスク評価力も含む)
監査手続作成力
証拠分析力・評価力
文書化・報告力
プロジェクト管理力
(2) コミュニケーションスキル
インタビュースキル(例:問題点を明らかにするスキル)
プレゼンテーション力(例:監査報告時に、相手を納得させる力)
建設的な対話力(例:発見事項に対する再発防止策の導入を促す力)
(3) 問題発見・問題解決スキル
ロジカルシンキング
問題の識別・分析力(発見事項の原因分析力も含む)
改善提案の構築力
4. 知識・スキル向上のための実践的アプローチ
(1) 実践を通じた向上(OJT)
上司・先輩からの指導・アドバイス
部門やチームでの経験・知見を共有し、他者の視点を学ぶ
(2) 体系的な学習
専門資格の取得(CIA、CISA等)
内外の研修への参加
自己啓発
(3) 実践的なトレーニング
ケーススタディを活用した監査の実践研修
コーチングを活用した人材育成
5. 実務で特に重要となるポイント
(1) バランス感覚(例)
理論を実務に活かす(※内部監査関連の資格を取得するための勉強などを通じて、体系的な監査理論を学ぶことをお勧めします!)
リスクと効率のトレードオフを考える
厳格さと柔軟さのバランス
(2) 状況に応じた柔軟な対応(例)
対象組織の成熟度に応じた監査アプローチの変更
環境変化に応じた監査計画・実施
6. 次回に向けて
次回、第5回では、今回の知識やスキルを実際の監査の実務でどのように活用していくのか、具体的な監査プロセスに沿ってご説明する予定です。
おわりに:読者へのメッセージ
今回、紹介した基本的な知識やスキルは、一朝一夕には身につくものではありません。しかし、内部監査の実務を通じて段階的に習得していくことができます。また、これらの知識やスキルは、内部監査以外のさまざまなキャリアでも活用できる資産となります。