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【新任内部監査人「必見!」】インタビューの質問力で結果を変える方法

はじめに

内部監査の現場では、インタビューの質問一つで得られる情報の質が大きく変わることを何度も経験しました。特に、新任監査人として最初に挑んだインタビューでは、質問が的外れになり、業務プロセスに関し十分に理解しないまま監査を進めてしまい、レビュー時などに上司や先輩にフォローをしてもらったこともありました。

本稿では、私自身の失敗談も交えながら、新任の内部監査人の皆さんが効果的にインタビューを行うための実践的なポイントを紹介します。



1. インタビューでの私の失敗談

インタビューの場面に限らず、新任監査人の頃の私は毎日が失敗の連続でした。当時の私は、内部監査の手順や、リスクマネジメントと内部統制の関係の理解が不十分で、監査対象業務のプロセスを「立体的に把握する(※)」ことができていませんでした

(※)「立体的に把握する」とは、業務を単一のフローとして理解するだけではなく、それが組織全体の他のプロセスやリスクマネジメント、内部統制とどのように関連しているかを総合的に理解することを意味しています。

その結果、インタビューでは表面的な理解に基づくYES/NO質問ばかりで、問題の本質に迫ることができませんでした。今振り返ると、監査対象業務プロセスの組織全体での位置付けやリスクマネジメントとの関係を理解する視点が欠けていたのです。
(ご参考)
【内部監査Tips】リスクアプローチで監査リスクを抑え、内部監査の付加価値を最大化する|TAIZO


2. インタビューの鉄則

効果的なインタビューを行うためには、次の鉄則を押さえておくことが大切です。

a) 十分な準備をする

  • インタビューの目的を明確に設定し、対象業務プロセスを「立体的に把握」する。

  • 過去の監査結果や想定される不備事象を調査し、短時間で重要な論点をカバーできる質問シナリオを準備する。

  • オープンエンド質問とクローズドエンド質問の使い分けも考慮した質問リストを作成する。

b) 信頼関係の構築

  • インタビューの冒頭で、時間を確保してもらったことに感謝を述べ、インタビューの目的を明確に伝えることで協力的な雰囲気を作る。

c) 中立的かつ冷静な姿勢を保つ

  • 先入観を持たずに中立的な立場でインタビューを進めることが、正確な情報収集に繋がります。


3. オープン/クローズドエンド質問を効果的に使い分け

  • インタビューでは、オープンエンド質問とクローズドエンド質問を使い分けることが重要です。通常、インタビューの前半でオープンエンド質問を用い、後半でクローズドエンド質問を用い具体的な事実確認を行うと効果的です。

【オープンエンド質問の例】
・「このプロセスの最大の課題は何だと思いますか?」
・「もし予算に制約がなければ、どのように改善しますか?」

【クローズドエンド質問の例】(YES/NOで答えられる質問)
・「月次の在庫棚卸しは実施していますか?」
・「承認プロセスは文書化されていますか?」


4. 質問を掘り下げることで本音を引き出す

  • 質問の仕方次第では、問題の本質に迫れないことがあります。質問を掘り下げることで、初めて相手の本音や隠れた問題が浮き彫りになります。

【事例】

  • ある営業部門に対する監査で、「売上目標が未達になった原因を教えてください」と尋ねたところ、最初の回答は「市場の競争が激しいため」というものでした。しかし、「具体的にどのような競争要因が業績に影響していますか?」と掘り下げた質問をしたところ、実は営業チーム内で顧客対応の優先順位があいまいで、重要顧客へのフォローが不足していたことが明らかになったのです。

【掘り下げる質問の例】
・「なぜそのように考えるのですか?」
・「それが起こった時、どのように対応しましたか?」
・「他に考えられる要因はありますか?」


5. 非言語コミュニケーションを見逃さない

  • 言葉だけでなく、非言語のサインに気づく観察力もインタビューでは重要です。相手の言葉以外の反応に注目することで、さらに深い洞察が得られることがあります。

【非言語コミュニケーションの例】

  • 視線の動き:質問に答える際に目線が泳いでいる場合、何かを隠そうとしている可能性があります。

  • 姿勢の変化:身体を後ろに引いたり、腕を組むなどの防衛的な姿勢は、抵抗感や不快感を示唆しています。

  • 声のトーン:特定のトピックで声が小さくなったり、早口になる場合は、隠したいことがあるかもしれません。


6. まとめ

次のインタビューですぐに使えるポイントをまとめます。

  • 事前準備:インタビューの目的を明確にし、対象テーマを「立体的に把握」した上で質問リストを作成する。

  • 心構え:中立的な姿勢を保ち、相手の反応に注意しながら質問を進める。

  • 質問方法:オープンエンド質問で話を広げ、クローズドエンド質問で事実確認を行う。

  • 観察力:言葉だけでなく、非言語的なサインにも注意を払う。

  • 自己評価:インタビュー終了後、重要なポイントを文書化し、改善点を次に活かす。

【インタビュー終了時の自己評価チェックリスト】

  • インタビューの目的は達成できたか?

  • 新たな重要な発見はあったか?

  • インタビュー対象者との良好な関係は維持できたか?

  • 次回のインタビューで改善すべき点は何か?

インタビュースキルは経験を重ねることで磨くことができます。失敗を恐れず、本稿の方法を参考にしてインタビューを実践し、自分なりのインタビュースタイルを見つけてみてください。


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