1/3監査手続の事前承認:内部監査部門長と合意すべき具体的内容とは(第1回)
※第1回は「はじめに」のみです。3回シリーズでお届けします。
はじめに:監査手続の詳細化と事前承認の重要性
皆さんは、個別監査の計画段階で作成する監査手続について、どの程度まで詳細に作り込んでいますか?そして、その監査手続は内部監査部門長(または内部監査の管理職/監査マネージャー)とどの程度まで事前に合意していますか?
一般に、監査手続は監査の実施段階に入る前に、内部監査部門長の承認を得ていることが求められています。しかし、その詳細度や合意すべき具体的な内容については、多くの内部監査人が悩むところではないでしょうか。
監査手続の事前承認は、効果的かつ効率的な監査の実施を確保するための重要なステップです。適切な詳細度で作成された監査手続と、内部監査部門長との事前合意は、以下のようなメリットがあります:
1) 年度のリスクベース監査計画との整合性の確保
2) 経営層の期待との整合性の確保
3) 監査目的と範囲を明確にした上で合意
4) リスクアプローチの適切性の確保
5) 潜在的な問題や制約の早期特定と対応
6) リソースの効果的かつ効率的な配分
7) 監査の独立性と客観性の確保
8) 監査品質の維持・向上(監査手続の一貫性と標準化の促進)
9) 監査チーム内の共通理解の形成
しかし、どの程度まで詳細に監査手続を作成し、内部監査部門長とどの程度まで事前に合意すべきなのでしょうか?
本稿では、監査手続の事前承認において内部監査部門長と合意すべき具体的な内容を紹介します。また、適切な詳細度とはどの程度なのかについて、実務で求められる水準を示します。これらの知見は、より効果的な監査計画の立案と、スムーズな監査の実施に役立つでしょう。
それでは、監査手続の事前承認に必要な具体的な内容と、内部監査部門長との合意内容について、詳しく解説します。