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12【連載】「実践!内部監査チームマネジメント(コミュニケーション編)」:監査チームの自己評価

はじめに

 「内部監査人は監査をする側ですが、自分たち(監査チーム)のパフォーマンスを適切に評価できているでしょうか?」
 この問いに対し、皆さんは明確な回答ができるでしょうか?
 
 監査対象部門の業務を評価する立場である内部監査部門であるからこそ、自分たちのパフォーマンスを客観的に評価し、継続的な改善を図る必要があります。本記事では、監査チームの自己評価の実践方法について解説します。




1. 監査チームの自己評価における課題

(1)評価基準のあいまさ

 監査品質には定性的な要素も多く、評価が難しい側面があります。

  • 監査品質については一定のガイダンス(IIA品質評価マニュアル等)が存在するものの、実効性のある評価方法は確立していない

  • チームワークの評価指標はあいまい

  • 改善策の効果測定の基準はあいまい

(2)客観性の確保

 自己評価であるために、客観視が難しいという課題があります。

  • 当事者の視点だけでは限界がある

  • 個人が抱えている課題は思いつくが、部門全体の課題は十分に把握できていない

  • 外部環境の変化を十分に把握できていない

2. 効果的な自己評価の実践方法

(1)多面的な評価指標の設定

 バランスの取れた評価を行うために、以下のような観点を含む、部門のパフォーマンス目標(KPIなど)を設定することが有効です。

  • 監査品質(発見事項の重要性、改善提案の有効性)

  • 人材育成(監査に必要な知識の取得・スキル向上)

  • ステークホルダーによる評価(経営層や監査対象部門)

(2)定期的な振り返りの実施

 部門のパフォーマンス目標(KPIなど)に対する自己評価のサイクルを確立し、継続的な改善を図ることが重要です。

  • 個別監査終了時の振り返り・部門内での共有

  • 四半期ごとにチーム別の自己評価を実施

  • 年次での評価を総括し、改善に向けたアクションにつなげる

3. 評価結果の活用

(1)改善活動への反映

 評価だけで終わるのではなく、あるべき姿とのギャップを明確に特定し、改善に向けたアクションにつなげることが重要です。

  • 優先的に取り組むべき課題を特定

  • アクションプランの策定

  • 定期的な改善活動の進捗をフォロー

(2)組織的な成長に向けた活動

 評価結果は部門内で共有し、部門全体で以下のような活動に取り組みます。

  • 自己評価結果を受けた研修プログラムの見直し(改善活動ともリンク)

  • 部門内研修などでベストプラクティスの共有

  • 自己評価結果を踏まえた監査チームのパフォーマンスの最大化の取り組み(チーム編成の工夫、リソース配分の最適化)

  • 監査目的を達成するための監査手続の見直し

おわりに

 監査チームの自己評価は、単なるチェックリストの確認ではありません。この評価は、自分たちのパフォーマンスを客観的に振り返り、組織における監査能力を持続的に向上させるための重要な取り組みです。

【連載を終えるにあたって(自己評価)】

 本連載では、「実践!内部監査チームマネジメント」として、チーム構成、情報共有、コミュニケーションの各側面から、内部監査の現場における、効果的な監査チーム運営のポイントを解説してきました。
 今回も、できるだけ具体的に現場の臨場感をお伝えできるように工夫してきたつもりですが、改めて記事を振り返ると、まだまだ改善の余地があると考えています。
 ただ、少しでも今回の連載が皆様の監査チームの運営にお役に立てればと願っています。引き続き、よろしくお願いいたします。


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