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11コーチングx内部監査:新任監査人(金融機関)成長ストーリー~配属後6ヶ月間の学びと気づき~

本シリーズは12回シリーズでお届けしています。
00【連載予告】コーチングx内部監査:新任監査人(金融機関)成長ストーリー~配属後6ヶ月間の学びと気づき~|TAIZO

第11回:品質管理の基本 - より良い監査のために

はじめに

内部監査の品質は、監査人一人ひとりだけでなく、監査チームを含む監査部門全体の取り組みによって支えられています(※)。

新任監査人にとって「監査の品質とは何か(例:監査手続の十分性、証跡の適切性など)」や「どの程度の水準で品質を確保すればよいのか」という点を理解するのは容易ではありません。どのようにして監査品質を確保するのかについて、一緒に考えていきましょう。

(※)実際には、監査の品質は、監査部門だけでなく、監査対象部門の品質(業務品質に加えて監査への適時・適切な対応・協力なども含む)の影響も受けます。

1. コーチング手法を活用した対話:監査品質の考え方

佐藤(教育係):「これまでの監査を振り返って、監査品質の観点から気をつけた点はありますか?」
鈴木(新任監査人):「監査調書の作成や報告書の記載には注意を払いましたが、監査品質の観点からは正直自信が持てていません・・・。」
佐藤:「そうでしたか。では、監査品質とは何だと思いますか?」
鈴木:「えっと・・・。決められた監査手続を漏れなく実施することでしょうか?」
佐藤:「もちろん、それも大切ですね。では、なぜ手続きを漏れなく実施する必要があるのでしょうか?」
鈴木:「そうですね・・・。問題を見過ごすことがないようにするためです。」
佐藤:「それはなぜですか?」
鈴木:「監査としての最終的な結論の信頼性を確保するためです。さらに、監査対象部門からの信頼を得ることも重要だと思います。」
佐藤:「良い視点ですね。監査品質を確保するために、具体的にどのような工夫ができるでしょうか?」
鈴木:「監査の目的を明確にすることや、監査の結論を裏付ける適切な証跡を収集すること、そして上司のレビューを受けることなどでしょうか。」
佐藤:「そうですね。特に、監査の目的に立ち返って品質を考えることは重要ですね。他に気をつけるべき点はありますか?」

2. 監査における品質管理の基本的な考え方

監査において、品質の高い監査を実施するためには、以下の点に留意することが重要です。

  1. 計画段階での品質

    • 監査目的の明確化

    • リスク評価の適切性

    • 監査手続の十分性

  2. 実施段階での品質

    • 証跡の適切な収集

    • 発見事項に関する十分な裏付け

    • 上司への適時な相談

  3. 報告段階での品質

    • ロジカルな結論の導出

    • 改善提案の実効性

    • 報告書のレビュー

3. コーチングのポイント:目的を意識した品質

鈴木さんは監査の目的に立ち返ることで、より本質的な品質確保の方法に気づくことができました。

問いかけの例

  • 「この監査手続は、何のために実施しているのでしょうか?」

  • 「結論の根拠は十分でしょうか?」

  • 「監査対象部門の期待に応えられていますか?」

4. まとめ

監査の品質は、計画・実施・報告の各段階で意識的に確保していく必要があります。常に目的に立ち返り、予め合意された手続に沿って監査を進めることで、より信頼される監査を実現することができます。

次回予告

次回は「成長への振り返り-半年間の学びと今後の課題」というテーマでお届けします。


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