02コーチングx内部監査:新任監査人(金融機関)成長ストーリー~配属後6ヶ月間の学びと気づき~
本シリーズは12回シリーズでお届けしています。
00【連載予告】コーチングx内部監査:新任監査人(金融機関)成長ストーリー~配属後6ヶ月間の学びと気づき~|TAIZO
第2回:リスクの視点を持つ重要性
はじめに
金融機関の内部監査において、リスクの把握は最も重要な要素の一つです。しかし、新任監査人にとっては「どこに、どのようなリスクがあるのか」を見極めることは容易ではありません。なぜリスクの視点が重要なのか、どのようにリスクを捉えればよいのか、一緒に考えていきましょう。
1. コーチング手法を活用した対話:目標からリスクを考える
佐藤(教育係):「営業推進部の監査の準備は順調ですか?」
鈴木(新任監査人):「えー、あー、実は、正直まだどこにリスクがあるのかを把握できていないんです・・・」
佐藤:「そうですか。営業推進部の今年度の目標には、どんなものがありましたか?」
鈴木:「今年度の重点目標は、顧客満足度の向上とデジタルチャネルの拡大になっています。」
佐藤:「その目標を達成しようとする過程で、どんな課題が考えられますか?」
鈴木:「課題ですか?そうですね。デジタル化は、お客様によっては使いづらさなどの不満が出る可能性もあります。あと、社内でも新しいツールは使いこなせない人も出てきそうです。」
佐藤:「確かに、そのようなことも考えられますね。では、そうした課題に対して、どんな準備や対策が必要だと思いますか?」
2. リスクの見方:基本ステップ
目的や目標を掲げると、必ず何らかのリスクが伴います。そのため、監査人は、監査対象部門が、どのような目的・目標を掲げているかに注目することが重要になります。
部門の目的・目標を理解する
経営方針との整合性
具体的な数値目標
重点施策の内容
目標達成を妨げる要因を考える
実現可能性の観点
お客様への影響
社内体制の課題
法令等遵守の観点
対応状況を確認する
リスク認識の有無
具体的な対策
モニタリングの仕組み
3. コーチングのポイント:目標から具体的なリスクを考える
鈴木さんは部門の目標に立ち返ることで、より具体的にリスクを捉えられるようになりました。目標に伴うリスクを考えることで、形式的なチェックではなく、本質的な課題が見えてきます。
問いかけの例
「その目標は、何を達成しようとしているのでしょうか?」
「目標達成を妨げる要因として、何が考えられますか?」
「その課題に対して、どんな対策が必要でしょうか?」
4. まとめ
リスクは目的や目標の達成を妨げる要因です。監査人は常に「部門は何を目指しているのか」という視点を持つことが大切です。目標を理解することで、より本質的なリスク評価が可能になります。
次回予告
次回は「コミュニケーション:監査対象部門との信頼関係の構築」というテーマでお届けします。