09コーチングx内部監査:新任監査人(金融機関)成長ストーリー~配属後6ヶ月間の学びと気づき~
本シリーズは12回シリーズでお届けしています。
00【連載予告】コーチングx内部監査:新任監査人(金融機関)成長ストーリー~配属後6ヶ月間の学びと気づき~|TAIZO
第9回:報告書の作成 - 明確な論点の示し方
はじめに
内部監査報告書は、単に発見事項をリストアップしたものではありません。経営者や監査対象部門に「気づき」を与え、適切な行動を促すためのコミュニケーションツールです。しかし、新任監査人にとって「どのように論点を整理すべきか」や「どこまで詳しく書くべきか」といった悩みは尽きません。効果的な報告書の作成方法について、一緒に考えていきましょう。
1. コーチング手法を活用した対話:報告書作成の基本
佐藤(教育係):「営業推進部の監査報告書の作成は、どのように進めていますか?」
鈴木:「発見事項は整理できたのですが、冒頭のサマリーの部分でどのように書き始めれば良いか迷っています・・・。」
佐藤:「では、この報告書で最も伝えたいことは何でしょうか?」
鈴木:「顧客説明資料の管理体制に改善が必要という点です。」
佐藤:「その問題は、組織にとってどのような意味を持つのでしょうか?」鈴木:「顧客保護の観点からも重要であり、監督当局の視点でも早急な改善が必要だと考えています。」
佐藤:「その認識は重要ですね。では、読み手の立場に立って、どのような構成で書くと分かりやすいでしょうか?」
2. 報告書作成の基本的な考え方
効果的な報告書作成のためには、以下の点に留意することが重要です。
ロジカルな構成
エグゼクティブサマリーで要点を明確に
重要な発見事項を優先的に記載
事実と評価を明確に区別
問題の本質と解決策
根本原因の明確な説明
具体的な改善提案の提示
実行可能性への配慮
納得感のある報告
データや事例による裏付け
図表の効果的な活用
分かりやすい表現の工夫
3. コーチングのポイント:読み手の立場で考える
鈴木さんは、読み手の視点に立つことで、より効果的な報告書の構成を考えることに気づきました。
問いかけの例
「報告書で最も伝えたいことは何ですか?」
「読み手は、どのような情報を求めているでしょうか?」
「提案した改善策は、具体的に理解できる内容になっていますか?」
4. まとめ
効果的な報告書は、組織の改善を促す「変革の起点」となります。論理的な構成、問題の本質の明確化、そして納得感のある説明を心がけることで、読み手の適切な行動を促す報告書を作成することができます。
次回予告
次回は「フォローアップ-改善状況の確認方法」というテーマでお届けします。