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2/3【新任内部監査人「必見!」】監査調書が果たす使命:その時、あなたならどう説明しますか?


※3回シリーズでお届けしています。今回は第2回です。
(なお、1.2.3.4.は、フィクションです)

1. はじめに:ある月曜日の出来事

1/3【新任内部監査人「必見!」】監査調書が果たす使命:その時、あなたならどう説明しますか?|TAIZO




2. 先輩の言葉を思い出す

A 監査主任は急いで保管キャビネットから半年前の監査ファイルを取り出した。ちょうどその時、監査を始めて間もない頃に聞いた、監査部門の先輩からの言葉がふと頭をよぎった。

「監査調書では、『実施したこと』と『実施しなかったこと』を、同じ精度で丁寧に記録することが求められるんだ。
  ● 実施したこと:監査手続・結果
  ● 実施しなかったこと:範囲から除外した領域・その判断理由

「なぜなら、我々監査人は常に、専門職として判断の合理性を説明する責任があるんだ。監査調書は、我々の判断根拠を示す重要な証になる。」

当時のA監査主任は、こんな風に思っていた。
「確かに監査調書に記録することは大事。でも、実際には監査をこなすのが精一杯で、ましてや監査期間中に記録するなんて無理なのでは?」

しかし、今となっては、先輩の言葉の意味がようやく分かる気がしてきた。幸いにも、営業部監査では、先輩からのアドバイスを踏まえて詳細に記録を残していたから、担当役員には何とか説明できるはず。


3. 監査計画および監査調書と向き合う

■S副部門長:
「どうでしたか?担当役員Kさんに説明できそうですか?」
▼A監査主任:
「はい。何とか説明できそうです。
今回のポイントは、以下の3点と考えています。」

  1. 監査範囲の決定プロセス

  2. 当該領域を除外とした判断理由・根拠

  3. これらの判断に関する承認プロセス

「これらの内容は全て監査調書に記録しており、適切な承認を得ています。以下は、詳細になります。」

  1. 監査範囲の決定プロセス

    • 個別監査計画の作成時に実施したリスク評価の結果・根拠

    • 当時把握していた情報(要約)

    • 事前承認済の個別監査計画(監査目標、監査目的、監査要点を含む監査手続が明記されている他、当該領域の除外・根拠の明記)

  2. 当該領域を除外とした判断理由・根拠

    • 詳細な除外理由・根拠

    • 代替的なモニタリング方法と次回監査での対応方針

  3. これらの判断に関する承認プロセス

    • 当該領域の除外・根拠を含め、計画段階での部門長承認

    • 監査報告での除外領域の明記

    • 監査報告前に承認済の監査調書

▼A 監査主任(心の声):
「このような詳細な記録がなければ、担当役員向けの説明は難しかっただろう。助かった。ありがとう、先輩!」

(第2回は、ここまでになります。)


4. 監査調書が果たす使命


5. 実務への示唆


おわりに

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