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01コーチングx内部監査:新任監査人(金融機関)成長ストーリー~配属後6ヶ月間の学びと気づき~

本シリーズは12回シリーズでお届けしています。
00【連載予告】コーチングx内部監査:新任監査人(金融機関)成長ストーリー~配属後6ヶ月間の学びと気づき~|TAIZO

第1回:監査の準備 - 目的の理解からはじめる


はじめに

新任監査人が最初にぶつかる壁、それは、忙しい監査の現場で上司や先輩に言われるままにタスクを進め、気がつくと「何のためにこの作業をしているのか?」という目的が見えなくなってしまうことです。

監査準備の出発点は、作業を始める前に、「なぜこの監査を行うのか?」という「目的」を理解することです。


1. コーチング手法を活用した対話

【設定】
場所:大手金融機関の内部監査部門の一室
時間:午後3時
登場人物:新任監査人・鈴木さん、教育係(品質評価リーダー)・佐藤さん

鈴木:「いよいよ初めての監査に入りますが、とりあえず資料リストを作ればいいですか?」
佐藤:「早速取り掛かろうとしていますね。でも、ちょっと待ってください。先に、鈴木さんに質問です。今回の監査の目的は何だと思いますか?」
鈴木:「えっ?・・・営業推進部の業務を確認するため、ですか?」
佐藤:「それもありますが、もっと深く考えてみましょう。なぜ今、営業推進部が監査対象なんでしょうか?」
鈴木:「年度監査計画に記載の、重点項目やリスクが関係するんですね。」
佐藤:「その通り!他に見ておくべき資料はありますか?」
鈴木:「前回の監査報告書、それから・・・、最近の営業推進部の動きも把握しておいた方がよさそうです。」
佐藤:「そうですね。前回の監査報告書と直近の施策も確認すれば、前回からの変化や新たなリスクも見えてきます。」
鈴木:「確かに、先月、営業推進部書が導入したデジタルマーケティング施策の影響も確認する必要があります。」
佐藤:「いいですね。その調子で、引き続き準備を進めてください。」


2. 監査準備

  1. 年度監査計画・個別監査計画を確認する

    • 監査の目的やリスク評価の結果、重点項目を把握する。

  2. 前回の監査報告書を確認する

    • 発見事項に対する改善状況と、新しいリスクを確認する。

  3. 最近の業務動向を確認する

    • 直近の施策や変化を掘り下げ、新たなリスクを想定する。


3. コーチングのポイント(考えを引き出す)

鈴木さんは「問いかけ」を受けることで、自らが考え、「気づき」、目的意識を深めることができました。

【問いかけの例】

  • 「監査の目的は何だと思いますか?」

  • 「なぜ今、この部門が監査対象になっているのでしょうか?」

  • 「過去の監査報告から、何が読み取れるでしょうか?」


4. まとめ


監査準備の第一歩は、「なぜこの監査を行うのか」という目的を理解することです。目的を把握することで、形式的な作業に流されず、より質の高い監査が実現します。なお、金融機関における監査では、当該監査に対するステークホルダー(トップマネジメント等)からの期待・ニーズに加えて、監督当局の目線なども考慮に入れることが大切です。


次回予告

次回は「リスクの視点を持つ重要性」というテーマでお届けします。

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