2/3【新任内部監査人「必見!」】なぜ監査要点が重要なのか:改善提案の質を高める実践アプローチ
※3回シリーズでお届けしています。今回は第2回です。
1. はじめに:なぜ今、監査要点なのか
2. 監査要点とは:その本質的な意味
1/3【新任内部監査人「必見!」】なぜ監査要点が重要なのか:改善提案の質を高める実践アプローチ|TAIZO
3. 内部監査で「監査要点」が明確に設定されていない背景
内部監査の実務では、「監査要点」の設定が明確でないケースがあります。その背景として、私は以下のような実務上の考慮があると考えています。
1) 実務上の判断として、柔軟性を重視
監査対象や状況に応じて柔軟に対応できるよう、意図的に詳細な設定を控えている
多様な監査対象に対して、画一的な監査要点の設定が適さないと判断している
2) 実務知識の継承における課題
監査要点の設定方法に関する具体的なトレーニングの機会が不足している
監査手続の詳細は社外に開示されることが少なく、ベストプラクティスの共有が限定的になっている
仮に上記のような考慮があった場合でも、監査品質の観点からは、その判断根拠の提示や、課題への対応(さらに根拠の提示)が必要です。何ら根拠を提示していない場合には、監査手続があいまいなままとなり、監査品質にばらつきが生じます。
これらの背景を理解した上で、監査要点の効果的な活用方法を検討することが重要です。
4. なぜ「監査要点」の設定が必要なのか
監査要点は組織の健全性を確保し、リスク管理や組織の目標達成をサポートするための「羅針盤」となります。また、組織の業務活動の改善の観点からは、あるべき姿(to be)を示唆する役割があるとも言えます。
「監査要点」には以下のような特性(例)がありますが、どの特性を重視するかは組織ごとに異なります。いずれも重要な特性であり、組織の状況や目的に応じて考慮されます。
1) リスクの所在の明確化:リスク管理はリスクの把握から始まります
2) 意思決定のサポート:経営陣に一層明確な判断材料を提供します
3) コンプライアンス意識の醸成:組織内の共通認識を高めます
4) 効果的な改善策への貢献:明確な観点で業務品質を向上させます
5) 透明性の促進:透明性の確保により、業務の信頼性が向上します
6) 変化への適応力向上:変化に柔軟な対応を可能にします
7) 優先順位付けのサポート:対応の優先順位を明確にし、結果の評価を容易にします
これらの特性は相互に関連し合い、組織のリスク管理や目標達成をサポートします。
以下は、第3回で解説します。