(3)近未来の行政と、夜の歴史?の時間です。(2024.2改)
国境を不法侵入した3人は、2日前のミャンマーの入国スタンプの押されたウズベキスタンの偽装パスポートをCIAから受領しており、中央アジア人に成りすまして行動していた。
チェンマイ以降はジョージア人3人組として行動し、国境に近いメーホーンソンでメンバー間の調整を終えて、バーンラックタイへ移動した。
本日の計画は約20km離れたパサウンで当局が用意した車両に乗り、今宵はタウンニーに泊まる。明日は約250km先の首都ネピドーを目指す。
ミャンマーへの不法侵入に関して言えば、北朝鮮よりもハードルは格段に低い。偽造とはいえ入国審査を終えたパスポートも所持しているし、ネピドーではヒルト〇ホテルに投宿し、ホテル内の米国大使館連絡事務所の世話になる。離れた都市のヤンゴンには最終避難場所となる日本大使館もある。
その全てが無かった北朝鮮に比べると、雲泥の差がある。索敵担当が2人体制になったのも大きかった。
ミャンマー側に入ると少数民族の支配圏となる。至るところに山岳民族の生活の跡を見るようになっていた。狩猟用の罠はあちこちに有り、休憩用途なのか雨よけなのか、藁屋根だけの小屋も散見される。小屋の周囲には最近の焚き火の跡もあり、利用を確認できる。
彼らの生活圏かテリトリー内で、互いに遭遇するのは好ましくない。
翔子と由真が交代で索敵し、時には遭遇を避ける為に山道を外れて山中に身を潜めた。
2人が小動物を確認するとモリに位置と生物のサイズ感を伝えて、発射音の出ない小型ボーガンでタヌキや猿を射止めて、小屋や罠の側に通行料代わりに並べて置いていった。
3人の連携はカナダ以上の仕上がりとなり、由真が加わったので翔子の負担もかなり減り、北朝鮮よりも断然余裕を持って対処できた。
今後ヒットマン、スナイパー稼業を請け負うのか、続けてゆくのかは分からないが、こうして3人、ペアで共に行動した時間を互いで胸に秘めつつ暮らしてゆこうと、先行する前の二人の臀部を見ながら決意する。
男女間なので話はどうしてもソコに行き着いてしまうのだが、2人を手放すなど微塵も考えていなかった。
休憩を入れて7時間強の低山トレッキングを終える。麓の集落パウサンに到着に安堵して、一服できそうな場所を探す。カフェや食堂は期待できそうもない小さな農村だ。左右が田んぼの通り道沿いの大木の木陰に、ビニールシートを敷いて腰を下ろす。
翔子が登山用の小型バーナーで湯を沸かし、由真がタブレットを米軍の通信衛星と繋いで、この日の目的地到着を伝える。
「岐阜県知事、当選ですって。山形知事も再選、都知事も野党候補当選です!」
24時間ぶりの情報を真央が告げると、ママ友の当選を知った翔子が小さくガッツポーズをする。昨日の選挙結果を月曜の午後になって漸く知る・・仕方がないのだが。
「名古屋の市長選に立候補するってお話は、どうなったんですか?」由真に言われて、翔子と顔を見合わせて笑う。
「最初っから考えていないよ。岐阜の足元をしっかりと固めるのが先だね」
「しらさぎ経済圏は先生がリードするんですよね?」
「そのつもり。でもさ、名古屋じゃ君も麻央も住みたいと思わないだろう?」
「大丈夫ですよ、あの家の人達と会う訳じゃないですし・・」
名古屋と大阪に、真央の婚姻先だった旧家の拠点や、一族の企業がある。旧家の嫁だった由真が好んで居住するとは思えなかった。
「岐阜の副知事は志乃さんを含めて暫くは4人体制になる。残りの3人は僕の同級生だから新知事より年上になるんだけど、今年の市長選で、名古屋と福岡と横浜の3市の市長になってもらう」
「同級生ってバンドの皆さんですか!」
「そうみたい。名古屋は夕夏で決定だけど、地元なだけに横浜を2人が争っていてね、ジャンケンで勝った方が最初の任期を横浜で勤めることにしたらしい。どっちが勝ったのか知らないんだけど・・」
「ジャンケンって・・そうか、亮磨ママの夕夏さんのブレーン役を、名古屋でも勤めるんですね?」
「まぁ、そうなるんだろうね。それで、僕は4月の沖縄4区の衆院補選に立候補するつもりなんだ。2人にお願いなんだけど、秘書として沖縄に付いてきて欲しい、勿論慌てる必要もないから、ゆっくり考えて欲しいんだけど・・」2人が同じ目を見開いて驚いているので、何気に可笑しい。閨での反応も殆ど同じだし、従姉妹同士とは思えない・・
「4区ってどこが選挙区になるんですか?」
目を輝かせている翔子は返事を聞くまでもない、何処へ行こうが付いてくるだろう。
「八重山諸島です。石垣島か宮古島で、家を探そうと思っています」
由真が翔子の背に抱きついて、顔を埋めている。泣いている?背が微かに震えているので、その様だ・・
「由真っち、どうした?」
「由真は嬉しいんですよ。先生に受け入れて頂いたので」
「あれ?とっくに受け入れているじゃないですか」
「付いてこいと言われるのと、言われないまま隣にちょこんと座って居るのは全然違います。ね、由真 そうだよね?」
翔子の背に顔をつけたままウンウンと頷いている。
「一向に妊娠の気配がない」と家の都合で離縁させられた由真には、翔子以上に言葉や態度で伝える必要があるのかもしれない。
何としても由真には母親になって貰わねば、と思っていた。2人を全く知らない人々が たおやかに暮らしている島で、翔子と由真から生まれて来た子供たちが島の子として伸び伸びと育ったならと、漠然と考えていた。
「由真、おいで」
そう言うと涙目のままシートの上を這うようにしてやって来て、抱きついてくる。
辛かったであろう結婚生活を、少しでも忘れる位に頑張らないと、と思う。グズっている由真の頭を撫でながら、観音様のように微笑んでいる翔子と見つめ合っていた。
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村井幸乃の岐阜知事の当選を受けて、月曜日の岐阜の地方新聞は岐阜県内に投資予定の案件の数々を取り上げて、特集記事として掲載していた。
「富山県が「メディカルサイエンスパーク構想」と「シリコンバレー構想」を打ち出し、富山大学薬学部・医学部とプルシアンブルー社との共同研究所と、同大学工学部と理学部と共同して研究所を立ち上げ、2つの研究所の建設費用で富山県が300億円、プルシアンブルー社が200億円捻出すると報じられたのは昨年末だった。
この富山県負担の300億円は富山県の予算で組まれたものではなく、金森知事が社会党から支援を受けているのが判明している。
また、富山空港への国際線増便を想定してターミナルの改良を進め、富山県内のホテルや旅館には海外企業関係者、観光客の増加に向けてAI翻訳機の貸出しとキングサイズのベッドや布団の購入や内装の改良工事で、県として低額融資を用意しているが、これらも社会党からの財源となっている。
岐阜県を挟んで、名古屋から日本海側の富山までのエリア全体を中核経済圏とする”しらさぎ経済圏”構想も、全て社会党の財源となる。
多額の資金を社会党が用意できるようになった背景には、コロナ時に暴落した不動産の大量購入がベースとなっている。
銀座や梅田等の国内の主要商業地の土地やビルを爆買いしていたのが、政党の資金収支報告書で確認できる。コロナが沈静化しつつある中で国内不動産価格が徐々に上昇に転じているが、社会党は所有不動産を担保にし、富山県・岐阜県の有力地銀数行から融資を受け、富山と岐阜県に提供している。
不動産購入の財源を社会党に提供していたプルシアンブルー社に対して、過剰融資、過剰献金に当たるとして特捜部が疑いを抱いて密かに追っていた事もあったが、不動産担保という手法での開発案件として見做され、同社の疑いは晴れている。寧ろ、何れ不動産価格が上昇して、元の価格に戻る可能性は高い。社会党の手元には莫大な不動産資産が手に入ると思われる。
しらさぎ経済圏は規模的には国家プロジェクトに相当し、富山と岐阜だけでなく、長野、滋賀、三重等の周辺県までの拡大を視野に入れている。
何といっても目玉は日本一の輸出入港・名古屋港と、取引量で急成長中の富山港間を繋いでいる点だろう。名古屋空港と富山空港間を専用輸送機と両港を専用列車・専用貨物で繋ぐ。
輸送機は既に互いの空港間を飛翔しており、専用列車「しらさぎエクスプレス」と「しらさぎライン貨物列車」はこの夏から可動予定だ。
専用の鉄道車両も既に2社に発注しており、新経済圏は既に胎動し始めている。
社会党知事の県が増えるのが確実視されている国内状況下で、富山と岐阜がタッグを組んでの国家プロジェクトに該当する大規模案件を成功させるとなれば、今後の各県への横展開を誰もが予想してしまう。しらさぎ経済圏への期待が自然に高まっている状況にも見える。
県がイニシアチブを握る異例とも言える初めての試みに、各方面が期待を寄せる。利権に群がり、賄賂まみれの失敗プロジェクトを多数抱える国の面目が、完全に失なわれるかもしれない。
日本の未来を左右するとも形容され始めた、しらさぎ経済圏構想に失敗は許されない雰囲気すら漂い始めた。
両知事の手腕と、2人を支える社会党のお手並み拝見の数年間となるだろう」と、締めくられていた。
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年明けから、外相と外務省が北京とヤンゴンの日本大使館とやり取りし、中国、ミャンマーの大使と会談を重ねているのを、首相官邸の新井補佐官は注視していた。
新井が注視するようになったのは新大統領の就任式典からだ。訪米時の前田外相と外務省の里中外相補佐官の動きを怪しんだのがきっかけとなった。
駐日米国大使を伴って新副大統領、米国国務長官、国防長官と、3夜に渡って遅くまで会食している。その会食時の内容は明らかにされていない。会食していた事すら、どのメディアも掴んでいない。
新井首相補佐官は、北朝鮮での一連の政変劇に米国と社会党が関与しているのではないか?との仮説を立てて、情報を集めながら検証に取り組んでいる。
先ず、結果を改めて押さえておこう。
北朝鮮の政変によって最も恩恵を受けているのは、北朝鮮による核を搭載したICBM襲来の可能性が無くなった米国であるのは間違いない。
朝鮮半島の今後を見据えた多国間協議が始まろうとしているが、中国、韓国以上の利益を、米国が得る可能性は高いとも言われている。
この状況を導いたのが、金正思の殺害と核施設と長距離ミサイル発射施設の爆破なのだが、北朝鮮に潜入して、殺害と爆破を実現できうる組織を考えると、どうしても米軍以外の組織は浮かんでこない。「金日照一派による犯行」とされているが、「金日照の後ろ盾としての米軍が裏で暗躍している」その可能性を、中露韓あたりも考えているはずで情報収集に励んでいるに違いない・・新井補佐官はそう見ていた。
そこへ、最近になってロシアのウラジオストク市の市長とサハリン州知事が「多国間協議に向けてロシアは日本と組んで、米韓連合と対峙すべきだ」と発言し続けており、わざわざ2人でモスクワへ出向いてまで、外相や産業大臣に直訴・進言している。
その余波だろう、日本の外相がロシアの駐日大使とも会談を持つようになっている。
また、秋以降、日本の米国大使館と米国政府間の暗号文書の中で「ライアン」と呼称される人物が散見されるようになっている。
自衛隊諜報部は、ライアンはCIAのアジア専門のエージェントだろうと検討を付け、アジア各地に展開しているCIA局員の動向を追っているのだが、北朝鮮内に潜入したという、日本側が把握しているCIA職員は見当たらなかった。
「ライアンはクワイ川を越えた」この直近の報告文書の暗号解析に、漸く成功した新井はミャンマー入りした日本人が居ないかどうか、ミャンマーの日本大使館に問い合わせていた。
クワイ川は2次大戦中の泰緬鉄道を描いた映画「戦場に掛ける橋」を指していると見た。クワイ川に掛かっている橋は、英国のビルマ方面軍の捕虜が日本軍に使役され建設された。
ライアンと言う名はトム・グランシーの小説の主人公ではないか?投資家であり歴史学者で、大学の教壇に立ち、ライアン博士と呼ばれているが、裏の顔はCIA局員という設定だ。ライアンと名付けられたので新井はそんなヤマを張っていた。
小説のライアンに該当する男をどうしても思い描いてしまうからだ。
社会科教諭とは思えない博識家で、ITと経済にも図抜けて長けていると外務省の面識者たちが形容する社会党ブレーンの人物は、射撃能力も秀でている・・ライアンはモリなのではないか?新井は半ば、そう信じ初めていた。
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「1949年10月、中華人民共和国が建国します。翌年の1月に中国を訪れたアチソン米国務長官が、朝鮮半島を米国の「不後退防衛線」の範囲の中に含めないと述べたんです。そのアチソンの発言を受けて、ソ連のスターリンは慎重論を転換させます。で、暫定委員長・金余生の爺ちゃんにあたる金日成に、韓国侵攻のゴーサインを出してしまいます。
4月になると、金日成がモスクワを訪問してソ連軍が韓国侵攻計画を立案します。お爺ちゃんには何の力もありませんから、ソ連のいいなりでした。
韓国侵攻をする上で、中国政府の賛成がどうしても必要だとスターリンは金日成の願望を鎮めるために線を引いたんです。スターリンと言えども、ソ連単独で突っ走るほどの気力も勇気もありませんでした。そもそも、朝鮮半島にソ連は旨味を感じていなかったんです。ソ連には地下資源もあるし、その頃は農業漁業も順調だった。日本の占領下にあって搾取されまくった朝鮮半島を手にする意味をソ連は感じていなかった。要らない不要だと思っていたと思います。単にイデオロギー的な要素だけでしたので、建国したばかりの社会主義国家に朝鮮半島を託してしまいたいのが本心でした。
で、「アメリカが介入すれば北朝鮮に軍事支援を行う」と毛沢東が速攻で回答しちゃいます。中国の覇王になったばかりですから強気でした。1950年6月25日に朝鮮人民軍はすかさず韓国への進軍を始めます。北緯38度線を越え韓国に侵攻、朝鮮戦争が勃発しました・・」
翔子に急かされて、ベッドの上で個別授業を開くのがお約束になっていた。由真は執拗なまでに攻められて微睡んでいるが、直きに寝てしまうだろう。旧家に嫁いだ数年間で籠の鳥状態の生活が続いたものと、一人で娘を育てた苦労を背負ってきた翔子とどうしても体力差があるのは否めない・・
「戦争で半島は更に荒廃しますよね。日本経済には戦争特需になりましたけど」
「そうですね。後半はアメリカが物量作戦で踏ん張って反撃して、また38度線まで押し上げますが、それまでの朝鮮人民軍は、破竹の勢いで韓国を占領していきます。
そもそも朝鮮人民軍って初代総司令官は金日成じゃないんです。催庸健って後に首相になる人です。国の最高指導者は一応は金日成でしたが、ハリボテ的な存在でしかなくて、実権は催庸健にあったんです。当時の北朝鮮内部の体制は、ソ連から帰国したソビエト派と、後に主力は台湾へ行ってしまいますが、蒋介石の中華民国から帰国した延安派と呼ばれる幹部が大きな役割を担ってたんです。朝鮮半島内に居た金日成がハリボテだったのは、軍事的な経験や知識を持った中国とソ連に居た帰国者達の方が優秀で有能だったからです。軍団長や師団長などの軍のポジションを直ぐに担いますから、朝鮮人民軍が急に洗練された軍隊になります。
それに加えて兵士も優秀でした。中国内には朝鮮族が今でも大勢いますが、その朝鮮系の中国人将兵によって構成されていた中国人民解放軍の第164師団と第165師団、第166師団の3つの師団が、朝鮮人民軍に編入されたんです。中国大陸を制した外人部隊です。最前線に投入されて生き残った精鋭達ですから、メチャクチャ強い。
一方の創建された直後の韓国軍ですが、軍の幹部を占めていたのが日本陸軍の出身者、末端の2等兵レベルの連中が、急に少尉だ少佐だって位に引き上げられて部隊の指揮を執るんですから、朝鮮人民軍と比較すると組織としてはかなり脆弱でした。韓国側は最初から米軍頼みの姿勢にならざるを得なかったんです。
「そうですよね、植民地下の朝鮮半島で軍を持つなんて不可能でしたし」
「ですよね。で、どうしてもレベルが異なるので、ケンカしても試合になりません。緒戦でソウルを陥落させると朝鮮人民軍は一気に南進します。ソウルが落ちたので、英米軍を中心とする国連軍が慌てて参戦しますが、その急造部隊の国連軍も、南端の釜山まで追い詰めちゃいます」
翔子の下腹部の三角地帯に指を這わせ始める。
「そこで踏み留まれたのもアメリカの経済力のお陰なんですよね。半島全体を北朝鮮が支配してたらと思うと・・センセ、何か寒気がします」
「直に温まりますよ・・
経済力というのも多分にあるんですが、実はお笑い国家・北朝鮮ならではの大ポカに連合国は救われたんです」
翔子の湖水に指を這わせ始めていたのを突然引っ込める。
「何が起こったんでしょう?」顔が火照って上気し始めていたのに、引き上げられたので怒った顔となった。
「1950年7月4日のアメリカの建国記念日に、首相になった金日成が朝鮮人民軍の最高司令官になっていました。釜山から連合国を追い出せば、朝鮮半島統一ですからね、中国とソ連が金日成の為に舞台を用意したんです。朝鮮の英雄伝説の総仕上げとなるシーンですから。
しかし、彼はやらかしてしまいます。
半島の先の釜山攻略しか考えられない金日成は大失態を重ねます。釜山に部隊を集中させたので、脆弱となっていた朝鮮半島西側を国連軍は狙ったんです。
その作戦名を仁川上陸作戦と言うのですが、率いた司令官はご存知のマッカーサーです。ヘタレの金日成にぶつけるには最良のネームバリューです。
半島の西部から上陸に成功すると、国連軍は勢いを取り戻します。
金日成は敗走を重ねて、戦力の大半を失います。今の朝鮮人民軍は強いと言われてますが、僕は信じていません。金日成の所為なのに有能な軍人達の失策として全員粛正してしまったからです。
で、一気に首都平壌を失うまで追い詰められてしまいます。
見るに見かねて、慌てて中国の人民解放軍が本格参戦して、平壌を奪還します。いいですか?中国軍がソウルを再び陥落させたんです、朝鮮人民軍は元より、金日成は何もしていません。
開戦から3年後、7月の休戦協定まで朝鮮人民軍は中国人民解放軍司令部の指揮下に有りましたので、無能将軍・金日成は軍での主導的な役割を完全に失ってしまいました。英雄に成り損ねただけでなく、実は裸の王様なのだと世間一般は知ってしまったのです。
とは言え、ソ連も中国も新たな代役を見付けるのも面倒なので、慌てて作文したのが白頭山伝説であり、白頭山血統主義です。金日成が無能でも好都合、傀儡国家として北朝鮮を存続させようと決断しちゃいました。これが全ての不幸の始まりなのです・・」
翔子の三角地帯を半島南部の釜山に見立てて指を這わせ、仁川上陸作戦とソウル奪還で左の乳を揉みながら乳首を舐めながら吸い、三角地帯の秘境である湖水に指を這わせて2本の指を侵入させる。翔子も途中から性器を握りしめて反撃に転じるが、どちらが先に陥落するか目に見えていた。
「不幸の始まり?それをあなたはご破算にしてくれました・・」
頬が染まり、目が潤み、声が震えている。
「そうですね、北朝鮮の人々、あなたと僕の子供の未来の為には、どうしても必要な一手でした」
翔子に覆いかぶさると、翔子が握って上下にしごいているモノを、溢れ出している自分の湖水に当てがおうと必死に動いているが、腰だけは後退させたままの姿勢で、翔子の顔を眺める。
いい女になったなと思いながら、右手で左の頬を撫で、左の耳をイジる。
「凄くゾクゾクします・・お願いですから来て下さい・・」
実際、美しい白い肌が一面鳥肌状態になっていた。腰をゆっくりと落として、2人で少しずつ揺れ始める。ベッドの揺れが激しくなり、詠唱を遠慮しようともしない翔子に起こされ、果てていた筈の由真がゆっくりと近づいてきた。
(つづく)
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