キングスに帰ってきた遠山ACは今季のキーマンだ
2020年5月28日、琉球ゴールデンキングスは遠山向人(とおやま こうと)氏がアシスタントコーチに就任したことを発表しました。
遠山アシスタントコーチ(以下AC)は、bjリーグ2012-13シーズンにキングスのヘッドコーチ(以下HC)でした。僅か1年間のHC在任期間でしたが、キングスの歴史の中でも強く印象に残るシーズンであり、かなり面白いチームを作り上げたHCでもありました。
また、キングスの歴代コーチ陣の中でキングスを離れた後、再度キングスに帰ってきたのは遠山氏が初です。
今回は、遠山氏がHCだった2012-13のキングスがどんなチームだったのかを振り返り、遠山ACが2020-21のキングスに何をもたらすのかを予想してみたいと思います。
2012-13のキングスの成績・特徴
レギュラーシーズンは42勝10敗、勝率.808は当時のbjリーグ歴代最高勝利数でした。
当時のチームの特徴はディフェンスにありました。
豊富な運動量で前線からボールマンにプレッシャーをかけターンオーバーを誘発、もしくはタフショットを打たせてディフェンスリバウンドから速い展開が持ち味でした。当時キングス在籍2年目の並里成がコートを駆け回っていました。
しかしレギュラーシーズン圧倒的な成績で終えてホームで迎えたプレーオフでは、京都ハンナリーズに1勝2敗(最終戦は5分ハーフのミニゲーム)で破れてしまいます。キングスにとってホーム開催のプレーオフ初の敗退となりました。
2020-21のキングスの選手構成
今季のキングスは新加入選手の日本人選手として今村 佳太(191cm 92kg)、船生 誠也(195cm 90kg)というフィジカル的強さとサイズを備えた選手が加わりました。
昨季から継続の田代 直希(188cm 90kg)、牧 隼利(188cm 88kg)、石崎 巧(188cm 87kg)も新加入の2人と同程度のサイズです。
キングスは一気にリーグの中でもアウトサイドプレイヤーのサイズが大きいチームに変化しました。
また、並里 成(172cm 72kg)、岸本 隆一(176cm 75kg)、小野寺 祥太(183cm 84kg)もサイズこそ小さいもののフィジカル的強さを持った選手達です。
さらに公式Webサイトのインタビュー記事で、船生選手や今村選手は「ディフェンスでのコンタクト、前線からのプレッシャー」を強調しており、今季のキングスはディフェンスにより重きを置いている事が伺えます。
加えて昨季までのポイントガードであった岸本選手は、キャッチ&シュートをメインとしたオフボールプレイヤーになる事を示唆しています。
遠山ACがキングスに強度の高い守備をもたらす
ここからは2020-21のキングスの戦い方を予想してみます。
新加入選手2人を含めたサイズのある選手が、守備において最前線に立ちボールマンに対して激しいプレッシャーを仕掛けていく。そしてターンオーバーを誘発させる。
ハーフコートでは、積極的にダブルチームを仕掛け相手にタフショットを打たせて、確実にディフェンスリバウンドを獲得していく。
つまり2012-13シーズンのキングスがさらに進化した戦い方をするのではと予想します。
藤田HCが遠山氏をACに招聘した理由は守備の再構築にあるのではないか、強度の高い守備から展開の速い攻撃を目指すチームになるのではないか。
2013年5月に果たせなかった事を、今季の遠山ACがもう一度挑戦するのではないでしょうか。
キングスに帰ってきた男の挑戦が楽しみです。