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TRPG制作日記(168) 基本ルール2

現在、オリジナルゲームである『太陽神の巫女-AmaterasuCard-』TRPGを制作中です。

TRPGとは、参加者がゲームマスターとプレイヤーに別れて、ゲームマスターがシナリオを読んで物語を語り、プレイヤーがその物語の登場人物を演じる簡易演劇です。全員で協力して、即興の物語を生み出すことを目的としていています。

今日から、このTRPGの基本ルールの整理をしていきます。


基本ルールを編集する方針として、三つのことを主に意識しておきたいと思います。

一つ目は、簡潔かつ厳密にすることです。

基本ルールを注解付きのルールにするのではなくて、確認するときに役立つようにしたいと思います。

「簡潔かつ厳密」。

これは初心者も楽しめるという、『太陽神の巫女-AmaterasuCard-』TRPGの方針とは逆行すると思われると思います。簡潔かつ厳密にするということは慣れていない人が読んでも理解できないような特徴的な言葉遣いをすること意味するからです。

理解しやすい要するためには、丁寧な記述を厳密さよりも分かりやすく書くことが重要です。

しかし、丁寧で分かりやすい記述は記憶に残りにくいという弱点があります。要点も掴みにくいです。

そのため、基本ルールの記述は、日本国憲法やTCGカードのようにそれなりに理解していないと何が書いてあるかまったく分かりませんが、分かると思い出すのに役に立つような文章にしたいです。


また、TRPGは基本ルールのみにより運営されるものではなく、またルールブックも基本ルールの記述からはじまる訳ではありません。

基本ルールは、TRPGのすべての内容が書かれた書籍であるルールブックの第一章に載せる予定ですが、そのまえにTRPGについての説明を丁寧に書いておく予定です。

基本ルールを読む前に、基本ルールを読んで理解できるような状況を作っておくので「簡潔かつ厳密」という方針は初心者には相応しくないわけではないと信じています。


二つ目はビジネス語、あるいは技術者的言語に近づけることです。

ポストモダニズム以降、小説は話し言葉である方言で書くことが好ましいと思われていると感じます。

方言にはきまったルールがないので、自由な創作ができる。自分だけの日本語を創造できると評価されています。

また、戦前の中野重治の時代では標準語は資本家の言葉であり、労働者は労働者の言葉、自分達が日頃使っている言葉で考えて行動しなければならないという発想はありました。

大江健三郎は東京の言語を使うことで、自分が住んでいる場所よりも東京を身近に感じる地方出身者の感覚を問題視していました。

言文一致運動は文章を話し言葉に近づけることであり、書き言葉に話し言葉が汚染されることは好ましくないとされてきました。


おそらく、以前は標準語よりも方言のほうが読者は分かりやすいという時代はあったのかもしれませんが、現代においては、むしろ方言よりも標準語のほうが読みやすいです。

そればかりか、インターネットにより書き言葉の方が話し言葉よりもカジュアルに使う時代に変化しています。

標準語と方言の関係、そして標準語の捉え方は変化していくべきです。


また、標準語、あるいはビジネス語とはいっても管理者的な言語と技術者的な言語が存在します。

この二つに関しては把握できる限り、技術者的な言語を優先したいと考えています。

理由は、言語というのは新しい技術を吸収するように発展していくと考えられるからです。


実際、若者が使用する日本語は学校の国語よりも、漫画やアニメ、テレビゲームなどに強い影響を受けているように思えます。

また、漫画やアニメ、テレビゲームはシステムエンジニアなどの情報科学者と親和性が高いように思えます。そうでなくても、グーグルやフェイスブックなどが「ユーザーに向けた使い方」などで使用する言語に私たちは頻繁にさらされます。

それらを肯定しながら文章を構築していくのが良いと判断しています。

端的に表現すると、エンジニアが理解しやすい言語です。


この方針は古いマルクス主義やポストモダニズムの方向とは逆行するように思えるかもしれません。

しかし、マルクス主義とはそもそも労働者、技術者の言語を私たちの言語に反映させるという発想なので、情報企業が好みそうな言語を優先するということは文学に完全に逆行している訳ではありません。

むしろ、地域言語至上主義、というある種の保守的な発想で言語を考えることが問題です。方言は、それほど分かりやすくもなければ若者に親しみがある言語でもなくなっていると感じます。

昔とは異なり、今は方言はエリート主義に近いように感じます。


三つ目は、これは基本ルールというよりも全体の方針ですが、日本書紀や平家物語、源氏物語の言葉は積極的に取り入れたいと思います。

また、西洋古典の翻訳語も積極的に活用したいと思います。

二つ目がエンジニア重視なので、古典を重視すり方針は矛盾するように思えるかもしれません。

しかし、エンジニア重視だけになると、それはそれで柔軟な言語から離れすぎていくと感じています。粗雑になりすぎるかもしれません。

そのため、古典の言語は尊重します。


まとめると、基本ルールの書き方の三つです。

(1)簡潔かつ厳密に記述する。

(2)エンジニアが分かりやすいような標準語で書く。

(3)古典の言語を活用する。

今後、ゲームは標準語が生まれる場になると思われます。それに僅かですが貢献する予定です。


『太陽神の巫女-AmaterasuCard-』はあらゆる人々が未来について考えることができる環境を提供する。科学、文学、歴史の物語を結びつけることでそれを実現することを理念にしています。

今日は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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