【20歳の挑戦】本気でパフォーマーになるための自立訓練。タオルをたたむのもパフォーマンスへの一歩!
本気で思ってるぼくの夢
5歳のころから、マジックが大好き!
20歳になったぼくの夢は、パフォーマーになること。本気でそう思っている。障害をもつ=チャレンジドなひとたちの進路に、エンターテインメントの選択は少ない様だ。
本気でパフォーマーをめざすために「日常生活で自分で出来ることを増やす」ことも大切なこと。
たとえば、皿洗いや、洗濯物を畳むこと。《本当にこんな地道なことが、いつかの晴れ舞台につながるのだろうか?》と不安になることもある。だけど、脳出血を患い、半身が不自由なパフォーマー「てのひらさん」の励ましもあって、少しずつできることを増やしてきた。
ぼくには「パフォーマーになる」という夢があるからこそ、自立のための訓練も夢への一歩だ。
▼前回の「一歩」の話はこちら
いざ、自立訓練へ
食事、洗濯、掃除など、身のまわりの家事。金銭管理。身だしなみを整えること。 公共交通機関を使うこと。ビジネスマナー。「日常生活」と一言で言っても、ひとりのパフォーマーとして生きるためには、クリアしないといけないことが山のようにある。
生活に必要な能力を身につけるため、ぼくは事業所へ通いはじめた。 初めての環境は苦手で、 慣れるまでには人一倍時間がかかる。そんなぼくにとって、 初めましての方ばかりの事業所に通うことは、不安でいっぱい。
でも、できることも着実に増えていった。
まず、事業所があるマンションのインターフォンを押して名前を伝える。 エレベーターの行先ボタンを押して、目的の階で降りる。一人で行けた!
事業所についたら、ロッカーに荷物をいれる。これもちょっと大変だ。カバンの取っ手が出たまま扉を閉めないように、確認することを覚えた。 カギをかけるには左にカチャッとつまみを回す。手首をどう回したらいいか、感覚が掴めない。 試行錯誤するうちに、だんだん掴めてきた。支援員さんがそばで見守って教えてくれたお陰で、ロッカーやトイレの鍵を自分でかけれるようになった。
お次は、6色のクリップを色別に仕分けする作業。 初めは50個だったけれど、 500個も出来るようになった。 黙々と行う作業がきつくて嫌になりそうだったけど、好きな歌謡曲やてのひらさんが歌っていた「星空の孤独」を小さく口ずさんで乗り切れた。タオルをたたむのは、家でも習慣づけていたから、事業所でも取り組みやすかった。掃除の時間は支援員さんと一緒に窓拭き。同じところばかり拭かないように練習をしている。
そんな格闘をしている間にお昼の時間。マイスプーン&フォークを使い、 心の中で「いただきます」と言ってお弁当をいただく。 食べ終わったら自分で洗って、拭いて、しまう。 どうしても、苦手なきゅうりと白ごはんは余ってしまった。
そういえば、中学生の時の給食では、大好きだった先生が 「席みっけ!一緒に食べてもいい?」と隣に座ってくれて、一緒に給食を食べたなぁ。そんなことを思い出しながら、ひとりで食べた。
やっぱり寂しい。
雨の日に、傘をさして歩く練習もした。 傘を持つ手が疲れて重くなって、だんだんと傘が傾いてしまい、肩が濡れる。水たまりに気がつかず、靴がビシャビシャになった。 後ろから車が来てることにも注意しなければいけないから大変だった。 大変だったけれど、なんとか家まで辿り着くことができた。
寝る前には、翌日に着る洋服を用意。
出かける前は姿見鏡で後ろ姿もチェックする。
よし!いい感じだ。
今後の目標は、介助者なしで介護タクシーに乗れることだ。
訓練の成果!タオルたたみが…
そんな訓練の日々のなかで、ふいに喜びの瞬間が訪れた。
海岸でハンカチを使ったマジックを練習していたとき。きれいに、サッと、ハンカチを折りたたむことができた!
タオルを畳む、みたいな、地道な動作をがんばっても《将来のパフォーマンスにつながるのだろうか?》とふと悲しくなっていたとき、てのひらさんが教えてくれたこと。「パフォーマンスで手ぬぐいを使うとき、きれいにたためた方が観ている方が気持ちがいいよ」。あれは、こういうことだったのか!
小さな「できた」が、いつかみんなと笑いあえるステージにつながっている気がして、胸がふくらんだ。
+母の視点
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ここまで読んでくださり、ありがとうございました!これからも、ぼくの挑戦をnoteで書いていきます。よかったら見守ってくださいね。「スキ」も押してもらえると励みになります。
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written by 中尾太耀
supported by 中尾つぐみ・清永東誉
edited by 渡邊めぐみ
(Team Taiyo)