見出し画像

2025年慶應義塾大学文学部の英語の講評


1. 全体概観

みなさん、こんにちは。慶應義塾大学文学部の英語の試験は、120分という限られた時間内で長めの英文をじっくり読み、さらに英語や日本語での記述が求められるのが特徴です。読解量が多い分、集中力と時間配分がとっても大事になります。今回は約2,000語を超える長文が題材になっていて、自由英作文や和訳・内容説明問題など、多彩な設問形式がそろっています。

ここ数年、出題形式や難易度は大きく変化していないといわれていますが、毎回の設問はしっかり考えさせられる内容になっています。長文を読み解くだけでなく、自分なりの視点や意見を英語で表現する力も問われるので、単に暗記するだけでは太刀打ちできません。

  • 💡出題形式:長文読解(下線部和訳、空所補充、内容説明)+自由英作文

  • 💡分量・難易度:例年どおりの分量(2,000語程度)、難易度もほぼ昨年度並み

  • 💡制限時間:120分(読解+英作文)

  • 💡配点:合計150点(大問1題構成だが、内容はAパートとBパートに分かれているイメージ)

記述式問題が多めなので、正しい日本語や英語を書く表現力はもちろんのこと、本文内容を的確に把握する読解力も必須です。文字数制限のある内容説明問題では、「60字以内」「100字以上120字以内」といった指示があり、かなり細かく採点される可能性があります。英語力はもちろんのこと、要約力や記述の組み立て方まで問われる、総合的な学力が試される試験と言えるでしょう。

2. 大問ごとの分析

◆読解総合(テーマ:戦争が根絶できない理由)【難易度:標準】

この大問は大きくAパートとBパートに分かれています。Aパートでは長文を読んで、下線部和訳や空所補充、そして指定字数の内容説明に答える形式です。Bパートは自由英作文で、自分の考えを英語で論理的に表現する力が問われます。全体としては標準的なレベルといえますが、長文の分量が多いため、スピードと正確性が重要です。

🎈Aパート:長文読解(下線部和訳・空所補充・内容説明)

  • ポイント1:語句や表現の正しい理解
    a messy cocktail of ideas のように一見イメージしづらい英語表現が出てきます。直訳調にならないように、文脈に合わせて自然な日本語にする必要があります。「いろいろな考えがごちゃ混ぜになっている」というようなニュアンスを汲み取って訳す力が問われます。

  • ポイント2:文法知識と前後の文脈把握
    仮定法の would have chosen など、時制や仮定法が絡む表現が出てくると、つい戸惑いがちです。文脈の流れを追って何が「実際には起こらなかった仮定」なのかをチェックしましょう。空所補充でも、直前・直後の内容と文法的整合性が鍵になります。

  • ポイント3:内容説明問題(60字以内・100〜120字以内)
    本文の要点をコンパクトにまとめる力が試されます。特に100字以上120字以内の指定がある場合、何を削り、何を盛り込むかが勝負です。筆者の主張の要となる部分が散らばっている場合も多いので、メモを取りながら情報を整理すると良いですよ。

🎈Bパート:自由英作文

  • 課題テーマ:現代世界にとって最大の脅威は何か、それにどう対処すればより平和な世界が築けるか
    テーマが抽象的であり、「筆者の立場に寄せる必要はない」と指示されていることが多いです。つまり、あなたの意見や視点を英語できちんと論理的に展開できるかがポイント。

  • 書き方のコツ

    • 「結論(What is the threat?)」

    • 「理由(Why is it a threat?)」

    • 「具体例(How do we see it in the real world?)」

    • 「提案・結論の繰り返し(What should we do?)」
      このようなパターンで書けば、論理の流れがはっきりして採点者にも伝わりやすいです。英語の文法や語彙だけでなく、構成力や説得力も意識しましょう。

この大問Iは文章自体も国際政治や歴史の話題が絡んでいて、背景知識があれば読み進めやすいですが、知らないことがあっても本文中に手がかりは必ずあります。焦らず、文章全体の流れをつかむことが大事です。長く読み続ける集中力は慣れが必要なので、日頃から英文を多読するトレーニングを欠かさないようにしてください。

3. 今年のポイント

  • 💡自由英作文の比重
    ここ数年、自由英作文がほぼ定着しているので、英語でアウトプットする練習は必須です。例えば「時事問題」「社会問題」「身近なテーマ」などをとりあげ、自分なりに論旨を組み立てて英語で書くトレーニングを習慣にしておきましょう。

  • 💡日本語での記述力もおろそかにしない
    「内容説明」や「和訳」で要求される日本語表現は意外に難しいです。わかりやすく正確な日本語を書くためには、普段から文章を書く・要約する癖をつけておくことが大切。友達同士で添削しあったり、学校や塾の先生に見てもらうなど、ブラッシュアップをくり返すのがおすすめです。

  • 💡辞書持ち込みは安心材料、でも時間との闘い
    本学部では辞書が使える場合が多いですが、時間内にあれもこれも調べるのは不可能です。あらかじめ覚えるべき単語はしっかり覚え、あやふやなものだけを確認する程度にとどめるのがベスト。本文の推測読解ができるように実力をつけておくことが何よりの対策です。

  • 💡時間配分
    120分で長文読解(下線部和訳や内容説明など)と英作文まで仕上げるのは結構大変です。特に内容説明に取りかかると、どの部分を引用するか考えている間にあっという間に時間が経ちます。模試や過去問演習の段階で、時間を意識して取り組みましょう。「長文読解:○分」「自由英作文:○分」と大まかに決めておき、タイマーなどで管理するクセをつけると本番で落ち着いて対応できます。

  • 💡背景知識・世界情勢への関心
    出題文が国際政治や歴史に触れる内容が多いため、ニュースや書籍などで現代の国際問題にふだんから興味を持っておくと、読みやすさがぐっと増します。英字ニュースや海外記事を取り入れるのも良い練習になります。

4. まとめ

今回の慶應義塾大学文学部の英語試験は、例年通りの分量と難易度でした。長文読解はやや時間的なプレッシャーがありますが、文脈をしっかりつかむ読解力と、自分の言いたいことを的確に書く記述力を磨いていれば、十分に戦えるレベルです。

  • 🎯合格に必要な正答率の目安

    • 全体としては7割前後の得点をしっかり確保したいところです。下線部和訳や内容説明で大崩れしなければ、自由英作文で多少のミスがあっても挽回できます。ただし、自由英作文は差がつきやすいので、ある程度の完成度を狙いましょう。

  • 🎯今後の学習アドバイス

    1. 多読+要約練習:長文を早めに読める力をつけるために、ニュース記事や過去問などを使った多読は欠かせません。読んだ後には必ず要約する習慣をつけ、内容説明問題に慣れておきましょう。

    2. 記述式問題(和訳・内容説明)の添削練習:自分で書いた解答を第三者に見てもらいましょう。使う日本語や英文が読み手に正確に伝わるかどうか、客観的なアドバイスをもらうことが大切です。

    3. 自由英作文の論理構成を訓練:書く前に“結論・理由・例・再結論”のフレームを考える癖をつけ、論理的に筋道が通る構成を練習しておくと、本番でスラスラ書けるはずです。

    4. 試験当日の取り組み方:問題をざっとチェックして回答方針をパパッと決めると、混乱が減ります。長文読解のペース配分、自由英作文に残す時間を意識しながら進めましょう。万一難しそうに感じても、「まずは部分点を取る」という意識で、一行でも正確な訳や英作文を書ききることが大事です。

5.解答解説

ここから先は

21,384字

¥ 500

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?