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コバルトグリーンに浮かぶ跳ね橋

或る、神無月
辺りの日差しが
まだ痛く感じられる頃

微かな記憶を頼りに
其の場処へ辿り着く

身体に巻き付く南風(はえ)は
熱をはらみ
容赦なく水分を奪う

黄砂を含む熱気が
彼方のビルを陽炎に変化させる中

唐突に
観光船の汽笛が木霊し
ゆっくりと、跳ね橋が空へと手を伸ばす

微笑み、手を振る人々
会ったことも無い、知らない人達
周りの人々は、微笑み返しをし
手を振り返す

とても、奇妙で
それでいて、和やかな瞬間

コバルトグリーンの母なる海は
行き交う人々を
絶え間なく、映しだし
絶え間なく、送り、迎え入れて往く

きっと僕は
そんなこの場処に
帰りたかったんだ


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