深いデザイン
2020年6月8日、武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論の授業内にて、川上元美(かわかみもとみ)さんのお話を聴講した。川上さんがこれまで携われてきたプロダクトデザインの事例紹介を中心にお話いただいた。
技術でデザインを補完する
中には、1970年や80年代などの昔の作品も見られたが、いずれの作品も外見の美しさに加えて、素材や造形などでユーザーの機能性を追求している点に感心した。特に、壁掛けテレビのない時代に、テレビを突っ張り棒のような支柱で支えて壁に掛けるなどといった工夫は、技術をデザインで補完することで、ユーザーにとっての高い機能性を実現しているように感じた。
デザインの発想法
デザインの発想は、パッと浮かぶこともあれば、1、2年考えても思い浮かばないこともあるという。「デザインとはそういうもの」という言葉も印象的であった。そのようなデザインの特性を理解しているからこそ、常に好奇心をもって日々を過ごし、気になるものは自分の中のデザインの引き出しに留めておくという。
領域なんてない
近年のデザイン領域の拡大に連れ立って、川上さん自身も携わる仕事の領域が拡大しているという。現在80歳の川上さんが、なお自身の仕事の領域を拡大し続けているということに頭が下がる。この姿勢は、私をはじめ、日本のビジネスパーソンは見習うべきだと思う。歳を重ねたからといって進化を止めていいはずがない。変化の激しい時代であれば尚更だ。