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【時事抄】 プーチン氏の北朝鮮訪問が試す枢軸国の「勢力均衡」

昨年11月に100歳で死去したヘンリー・キッシンジャー博士は、70年代の米ニクソン政権とフォード政権で国務長官などを歴任し、米国と中国の国交正常化に大きな役割を果たしました。同じ共産主義を奉じながら、中国と旧ソ連は対立し、その間隙を突いてキッシンジャー氏はまだ国交のなかった中国に渡り秘密交渉をまとめ、米中の国交正常化に道を開いたスター外交官でした。

そのキッシンジャー氏は、複数の大国が均衡状態を保つことで、世界の安定が保たれるという「勢力均衡論」を掲げていました。主義主張や理想論とは一線を画し、各国の利害に立脚して現実的な視点に立って展開する外交だと理解しています。故・高坂正堯教授の著作で学んだ限りですが…

プーチン大統領が北朝鮮を公式訪問した影響について、日本経済新聞に掲載された秋田浩之氏の署名記事から考えてみます。

<要約>
国際会議では最近、ウクライナ問題、中東紛争、東アジアの軍事的緊張を1つの問題として議論するようになった。ロシア、中国、北朝鮮、イランが軍事協力を深め、個別の地域紛争が拡大して最悪の場合には次の世界大戦に発展するのでは、と連想する。

ロシアと北朝鮮の露骨な振る舞いが特に目立つ。ウクライナ侵略を北朝鮮が支え、ロシアは北朝鮮の軍議増強に助力する。プーチン氏の訪朝で関係は勢いづき、金正恩総書記を友人とみなすトランプ氏ですら最近、北朝鮮は危険だ、と知人に漏らしたという。

だが露朝の接近は軍事的脅威だけでなく、世界の平和維持に欠かせぬ2つの仕組みを破壊する。その1つは国連安全保障理事会だ。

核兵器やミサイル開発を続ける北朝鮮は、国連安保理の決議や制裁に違反している。常任理事国のロシアは、本来なら北朝鮮の行動を非難すべき立場だ。しかし、ロシアの対応は真逆だ。プーチン氏の行為は安保理への「死刑宣告」に等しい。

もう1つの破壊が、核拡散防止条約(NPT)体制だ。一方的に同条約から脱退した北朝鮮は、核開発に邁進している。このまま既成事実化して北朝鮮が核保有国として追認されれば、NPT体制は骨抜きだ。それは、核開発疑惑の渦中にいるイラン、世論の7割が核保有に支持する韓国、その他多くの国に影響が及ぶ。

中国は、プーチン氏の訪朝を不愉快に受け止めているはずだ。軍事力が充実した北朝鮮は、中国から親離れして独自行動を強める。中国の頭越しに米国との交渉する恐れも出てくる。

中露にも埋めがたい相違がある。衰退するロシアは米国主導の秩序を弱め、道連れにすることで安全を保持したい。一方の中国は、米国主導の秩序を変えたい点では同じだが、国際機関を壊すつもりはない。各機関の中枢に浸透し、中国色に染めることで影響力を強める戦略だ。中露の違いはいずれ亀裂となって広がっていくはずだ。

(原文1170文字→787文字)


北朝鮮の金正恩氏は昨年9月にロシアを公式訪問し、今年はロシアのプーチン氏が北朝鮮を訪問しました。中国 習近平氏は今年3月にロシアを公式訪問し、枢軸3国の交流が活発です。もちろん3国とも我々の目からも明らかな課題を抱え、各々の国益のための蜜月関係です。

今回のプーチン氏を招いた北朝鮮の行動を、中国はどう見ているのか気になっていました。北朝鮮の軍事力増強を中国は決して望んでいないはずだからです。その後、中央日報の記事ではありますが、やはりプーチン氏の訪朝を中国は望んでなかったという記事が出てきました。

米国と対立するこの3国にとっても、「勢力均衡」は関係安定の土台であり、揺れ動く微妙なバランスを世界中が注視しています。

中央日報
韓国の朝鮮語の日刊新聞である。1965年創刊。本社をソウル特別市中区におく。時事通信社、日本経済新聞社と友好関係にあり、東京総局を東京都中央区銀座の時事通信ビルに置く。

Wikipediaより

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