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2024年度とほ宿総会に行ってきました!
年に一度、とほ宿主が集結
「とほネットワーク旅人宿の会」では、年に一度総会があります。会に加入した昨年に続き、二回目となるのですが行ってきました!
総会の会場「東大雪ぬかびらユースホステル」は、帯広駅からバスが出てはいますが、新千歳空港から特急で行くか、もしくは東京から帯広空港まで飛行機。どちらにせよかなり不便なので、昨年同様千歳空港まで飛びます。
昨年は当宿からいちばん近い小松空港から千歳まで飛んだのですが、ANAのみで1日1便しかなく、割引チケットもほぼありません。今年はJALのマイルが貯まっていたこともあり、中部国際空港・セントレアから飛ぶことにしました。
初日:11/10(日) 福井→名古屋
宿のお客さんを送り出し、いったん福井の実家に戻り、福井駅から高速バスに乗ります。名古屋まで3,600円です。
翌日の飛行機は13:10発なので当日移動でも良いのですが・・・名古屋に着くまでに交通トラブルがあったら今後の予定が全てパーなので名古屋に前乗りします。(それでも小松から行くのよりは安い)
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因みに一番早いのは新幹線と特急乗り継ぎですが、敦賀駅と米原駅の2度の乗り換えがあり、料金は7,240円です。ハピライン福井とJR普通列車の乗り継ぎだと3,450円ですが、最低3度の乗り継ぎがあり接続も良くないのでかなり時間がかかります。そのせいもあってか高速バスはほぼ満員でした。
バスは定刻より少し遅れて18時前に名古屋バスターミナル着。
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名古屋に来るのは3年ぶりですが、東京や大阪よりも街のつくりがゆったりしているし、独特の食文化があるし、好きな街です。地元民の自己評価があまり高くないような気がしますが・・
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栄の普通のビジホに泊まり、早めに就寝。
2日目:11/11(月) 名古屋→千歳→追分
栄から地下鉄と名鉄線を乗り継いでセントレアへ。
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羽田ほどではないにせよ、成田や関空ほど市街地から離れていないし、大きすぎて移動時間が長いということもないし、でも入浴施設など設備も充実。
デッキから飛行機が飛び立つのを見てるだけでも酒が飲める。先が長いので飲みませんが。。
定刻通り13時過ぎのフライト。北アルプスから秋田を経て函館の上を飛びます。窓際の席から下界を見ているだけでも退屈しません。
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着陸は少し遅れましたが、荷物受け取り含めても15時前には出てきました。電車乗るまで2時間以上時間があるので千歳空港内を探検します。週末にSnowManのライブがあったせいもあるのでしょうが、土産物屋スペースはもの凄く広いのに凄い人ごみでした。
それだけのブランドイメージが北海道にはあるということでしょう。むかし国鉄が安く長く旅できる周遊券売ったり、ホクレンのガソリンスタンドで小旗をライダーに配ったり、「北の国から」を放映したり、いろいろやったことの積み重ねだろうと思います。ローマは1日にして成らず。
その後追分駅まで移動し、昨年同様「旅の轍」の宿主・のみぞう氏に迎えに来てもらい、スーパーで酒と肴を買い、マニアックな温泉に浸かり、宿で軽く宴会しました。
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本番はまだまだこれからだというのに、大いに盛り上がりました。
昨年もここで飲んだのですが、鉄道模型のジオラマが設置したので少し狭くなりました。氏はもともと鉄道の行き先表示板「サポ」のコレクターなのですが、もう壁にかけるところが無いと思っていたら今度は鉄道模型です。鉄道趣味には終わりがないですね。
自分の宿では毎週お客さんと飲んでますし、福井の駅前でも(筆者は宿のある大野市と実家の福井市で二拠点生活しています)仕事やプライベートで飲み会がありますが、同じ立場で喜びや悩みを共有する宿主同士で飲むのは格別です。
3日目:11/12(火) 追分→帯広→糠平
この日は「旅の轍」から、総会の会場である「東大雪ぬかびらユースホステル」まで約200㎞を移動します。追分駅で三重・松坂の「笑旅」の宿主・レーコさんと合流。宿主4人で夕張→日高→日勝峠と進みます。
話題はやはり宿のこと。自分の好きなことを貫くのは簡単なことではない。でも貫き通す。人間は悩みながら生きる存在ですね。。
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順調に進み、昼前には帯広に着きました。途中、「クランベリー」で福井の知人への土産にクッキーを買いました。帯広には有名な「六花亭」「柳月」という洋菓子屋があり、それらに伍して生き残っているだけでもただモノではないと思います。
帯広のグルメといえば「豚丼」ですが、隣の音更にある「かしわ」という店でランチです。炭火焼で店の外からも何とも言えぬ良い匂いが漂ってきます。この店、本州にあったら大行列でしょう。
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14時前に「東大雪ぬかびらユースホステル」着。他の宿の人と相部屋です。
1人は礼文島の超人気宿「FIELD INN星観荘」の新山さん。この宿は営業期間が4月下旬~10月上旬と半年もないのですが、予約を取るのが超困難という大人気の宿です。新山さんは礼文町議会の議員さんでもあり、シーズンオフも多忙な日々を送られているようです。
もう1人は「とほネットワーク旅人宿の会」に加入する「ゲストハウスりん」のBOYさん。宿を初めて8年になるそうですが、これからは旅人と交流する宿にしたいということで加入されたそうです。
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翌日の総会を控えて、15時から運営委員と各地のブロック長が集い打ち合わせをします。私はオブザーバー参加ですが。。
ヒエラルキーとか経験年数とか一切関係無く、フラットな立場で意見をぶつけ合います。
夜はそのまま宴会・・・というか、ここでも「とほ宿」のあり方について議論しました。
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旅人宿の中には、こういう宿運営以外のことが苦手で「とほ宿」を敬遠するところもあるでしょう。しかし、単なるゲストハウスではなく、旅人たちが何度も足を運ぶような宿にするためには、宿主にとんでもないカリスマ性があるか、このような議論を重ねることによるアイデンティの確立が必要だと思うのです。単に安い相部屋形式の宿というだけでは単なる寝床になってしまい、近隣の宿と価格競争を繰り広げることになるのです。
みんな自分の宿と旅に熱い思いを持っています。色んな意見を聞きながら、自分の宿では接客とかオペレーションとかブランディングとかをこれからどうすべきかを考えていました。
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4日目:11/13(水) 糠平→三国峠→糠平
いよいよ総会当日です。13時スタートなので午前中はフリー。のみぞう氏、タニさんと標高1139mの三国峠まで行きました。眼下にはひたすら森林が広がります。北海道の大きさを実感。
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峠で、「天塩弥生駅」の富岡駅長に会いました。廃線になった駅があった場所に駅舎とほぼ同じ建屋を作り宿にしているという鉄道愛を注ぎ込んだ宿です。上川経由で来られたのですが、路面が凍結して怖かったとのことでした。
その後、少し戻って幌加駅跡のあたりを散策しました。もの凄い山奥なのですが、昭和29年の洞爺丸台風の時に大量の倒木が発生し、その運搬のためにこの先の十勝三股には3000人の住民がいたこともあるそうです。
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ここで「天塩弥生駅」富岡さんにまたお会いしました。「北海道は国策に翻弄されてきた」とつぶやいてました。一方的に地方から都会に人が集まり、田舎には廃墟が増える一方で都会は人口密集で生活コストが上がる。日本の発展の方向性は正しかったのでしょうか?
13時から総会です。
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17時に終わるころには外は真っ暗です。宿にも天然温泉がありますが、「糠平温泉ホテル」まで湯浴みにいきました。
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夜はまたもや宴会。こうやってあちこちの宿の人と交流して、お互いのことを知って、自分の宿の飲み会の場で他の宿のことを話題にします。宿泊予約サイト上で他の宿と価格や設備を比較して選ばれるのではなく、口コミでお客さんが宿のことを知って訪れるというスタイル。
今回は、総会も懇親会の場でも、リスクマネジメントというか「もしこういう状況になったらどうする?」という話が多かったです。答えのある話ではありません。お互いの体験談を情報共有して、自分の宿ならどうするかを考えていくしかないのです。
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「とほvol.33」に掲載されているのは49宿ですが、このたび新たに3つ宿が加わり(脱退宿はありませんでした!)52宿となりました!
1つは前述の「ゲストハウスりん」。
もう1つは、摩周湖近くのとほ宿「ましゅまろ」(筆者も泊まったことがあります)が営業を終了したのですが、それを引き継いだ「ゲストハウスYOLO」。オーナーさんは関西の60くらいの女性の方で、「人生一度しかない!」と一念発起して宿主になられたそうです。色んな人の思いがこもった宿が存続できて嬉しいですね。
https://www.instagram.com/yolo_youonlyliveonce2024
https://masyuko.or.jp/enjoy/gest-house-yolo/
もう1つは本州ブロック会議に来ていた、香川の「BB Lodge」の松島さん。
あらためて色々話をしましたが、私よりずっと若いのですが旅の経験が豊富でゲストハウス文化への思いが強い人ですね。
https://www.instagram.com/guesthouse.bblodge/
他の宿主もそうですが、学校出て会社入って結婚して家庭持ってマイホーム買って退職して・・だけが人生ではないとあらためて思いました。人間、「普通」であることに拘る必要は無いし、旅人宿というのは宿泊施設であるのと同時に、そう思う人たちの拠り所なのだと思いました。
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それにしても、とほ宿は全52宿中41宿が北海道にあるのですが、宿の経営には本当に厳しい土地だと思います。首都圏や関西から遠いし、年の半分くらいしか稼働できません。買い物とかするにせよ車の移動距離が長い。物価も安くはない。でも宿主も旅人も魅せられてやってくる。そのエッセンスを持って帰りたいと思いました。
今回、代表が「ぼちぼちいこか増毛館」の一休さんから「さろまにあん」の前川さんに交代しました。本当に昔から変わらない人です。
回転率とか単価とか収益を上げるような話題はほぼ出ないのですが、新しい宿主たちと話しているとどうしてもお客さんの人数が出ます。何だかんだいってお客さんがいないと宿は成り立ちません。でも一休さんは「大丈夫だよ!オレなんて最初の年は60人しかお客さん来なかったんだから!」と、励ましなのかどうかわからないようなことを言いました。私も1997年に行きましたが本当に大丈夫かなと思いました。でも2024年の今でも宿をやっていて、一休さんは小学生の娘さんを育てています。大事なのは収益よりも宿を続けていくという強い気持ち。
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この日は2時過ぎまで飲んでました。
5日目:11/14(木) 糠平→富良野→美唄→追分
長い旅でもいつかは終わりがきますね。車が出発するたびに盛大にお見送りです。
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音更で早めのランチです。のみぞう氏は車中で「インデアン!インデアン!」と連呼してました。道東のソウルフード。
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清水、狩勝峠を経て富良野に入ります。むかし逆のコースを自転車で走って、「ロッジあるぷ」という宿に予約しようとしたら満室で断られ、新得の「ドラム館」に泊まり、そのままハマって3回ほど行きました。
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昨年同様237号線を北上し、途中で左に折れて5㎞、昨日の総会にも宿主のトシさんが来ていた「旅の途中」に寄ります。
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宿からは大雪山系の素晴らしいビュー!
開所は20年前ですが、景色が良く、部屋の談話室から見えて、開発とかで景色変わる可能性が無く、1年通して美しい場所を選び抜いたとのことでした。
隣家まで500m。ウチの宿も「隣の家50m先ですから(遠慮なく騒いでください)」てドヤ顔してるけどスケールが違ういます(^_^;)
そしてバイク乗りに刺さる演出。「旅の轍」のみぞう氏、「いや〜(宿主の)トシさんの趣味がギュッと詰まった素晴らしい空間ですね!」とヨイショするも、「キミの宿ほどじゃないよ」てツッコまれてました(笑)
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そこから数キロのところにある「かみふらの道楽館」にも寄りました。
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コンセプトは「みんな、食べに来る、旅人宿」。実家が旅館で5歳から厨房に入っていたというだけあって、料理に対する絶対の自信が感じられます。
富良野・美瑛は有名な観光地でかつ激戦区。こういうとこで生き残ろうと思ったら突出したものがないとダメなんでしょうね。。
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宿主のソットさんは実家が旅館で、5歳の時から手伝いで厨房に立っていたということでした。
「かみふらの道楽館」を出るころにはほぼ夕闇。廃炭鉱の町を通り過ぎ、29㎞の日本一長い直線道路を走り美唄へ。
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美唄焼き鳥で夕食です。「もつ」と「精肉」が名物。いわゆる「ねぎま」ではなく、玉ねぎが挟まる。しょっぱくてビールが進みます。(のみぞう氏がハンドルキーパーを務めてくれました。)
のみぞう氏曰く、この焼き鳥の由来は、国が入植者に一つがいの鶏を与えたことから始まったそうです。内臓まで余すとこまで食べたことでしょう。
食い詰めて北海道にやってきた先人たちは寒さと飢えの中、与えられた鶏に卵を産ませただけでなく、肉も食べたい誘惑に駆られたことでしょう。それを堪えて繁殖させて鶏を増やし、いまの焼き鳥文化が残りました。必死で開拓した土地がいま「試される大地」になってるのには割り切れないものがありますが。。
今の自分も決してラクではない。しかし最初のうちはガマンして将来に対して投資せねばならない。そうすればいつか何かが残るだろう。そう思いました。
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その後風呂に入り、漆黒の闇の中を走って「旅の轍」に戻り、軽く飲んで寝ました。
最終日:11/15(金) 追分→千歳→関空→福井
のみぞう氏に追分駅まで送ってもらい、南千歳でタニさんと別れ、再び千歳空港に行き、「ラーメン道場」内の「けやき」でラーメンを食べて関空まで飛びました。(往路のセントレアよりも必要マイル数が少なかったので)
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途中大阪を通過しましたが、今朝までいた「旅の轍」の追分とは完全に別世界です。過密と過疎。この国のやってきたことは本当に正しかったのか?
総会は2度目ですが、前回知り合った宿主たちとSNSでつながってお互いをより知っていたし、前夜の運営会でアツい議論したし、お宿見学にも行けました。カネはかかったけど有意義な時間でした。
自分の宿はこのままでいいのだろうか?毎日毎日考えます。しかし答えはないのです。他の宿の実績と反省をとにかく聞きながら、自分があるべき姿を考える。「とほ」に入っているのは、集客のためということもありますが、自分の宿業における先生のようなものだと思っています。
この何年かは減る一方でしたが、今回新たに3件の宿が加入。廃業した宿を引き継いだり、一般的なゲストハウスから交流の宿を目指したり、とほ宿のヘルパーが自分の宿を持ったり。自分らしい生き方は実現できます!あんまり儲からないけどみんな何とかなってます♪
宿主たちと杯を重ねて、あらためてウチはまだまだだと思いました。でもどこの宿も最初はそう。大樹は最初から大きかったわけではないのです。これから歴史を重ねていくしかないですね。
こんなに長い旅をしたのは久しぶりです。9月に東京、10月に尾道と連続して旅をしたので腹いっぱいのはずなのですが、また旅に出たくてうずうずしています。。ウチのお客さんはそういう人たち。また宿主道に邁進するのみです。