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【数学解説】東大生の頭の中|解法をひらめく思考プロセス - 2025年東大数学#2(理系第2問)
こんにちは。浦島たいやきです。
あなたも東大の入試問題が解けちゃうかも?な数学解説シリーズ、今回は第2弾として2025年理系数学第2問を解説していきます。これまでの記事も ↓ から是非ご覧ください。
問題の解答だけでなく、その解法を思いつくまでの思考プロセスにもフォーカスして分かりやすく解説していきますので、あなたも(元)東大生の頭の中をのぞき見してみませんか?
今回の問題(2025年理系第2問)
今回の問題は、この2月25、26日に実施されたばかりの2025年入試問題のうち、理系数学の第2問になります。
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【頭の中①】不等式の証明って…
2025年の第2問はとてもシンプルな問題でした。シンプルすぎてむしろ恐ろしさを感じるのは私だけじゃないはずです。逆に問題文が長いと、最初は面食らってしまうものの、状況さえ把握できれば誘導に乗るだけで答えまで辿り着けてしまうものです。
さて、(1)は不等式の証明です。不等式の証明の基本は、ずばり、≧0の形に直して左辺のグラフの形状を考える、これに尽きます。数学で丸暗記はあまり好きではない(もっと汎用的な考え方を身につけて応用を利かせたい)のですが、これは覚えてしまっても良いと思っています。
考え方としても、=が成立するところがあればそこがグラフ上の極小になるはずなので、微分したものの因数分解もうまくいきそうと想像できます。不等式の証明には平方完成や相加相乗平均を使う方法など色々なパターンもありますが、このグラフを使ったの証明法の特殊ケースである場合がほとんどなので、困ったらこの方法を使ってしまいましょう。
(1)の考え方と解答
では、実際に(1)を解いていきましょう。この問題では≧0の形を作るのも簡単なので、あとは左辺を微分して増減表を書ければグラフの形状が分かります。
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【頭の中②】極限もまずはイメージしてみる
問題は(2)です。いきなり極限を求めろと言われても、あまり見たことのない形の極限で、積分も計算できそうにありません。ぱっと見ただけではどうしていいかよく分からないですね。
こういった問題にははさみうちの原理が使えそうで、上からは(1)の式を使うのかなと想像できるのですが、その精度が十分なのか自信がないですし、下からはさむ関数にいたっては見当もつきません。
では、nをどんどん大きくしていったときに何が起こるのか、イメージを膨らませてみましょう。n も含めた積分される関数を f(x) とおくと、
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となります。数学的に厳密とは言えませんが、f'(x) が1/2x に近づいていくということは、n が大きくなると f(x) は log(x)/2 に近づいていくことが予想されます。実際に、n を変化させたときの f(x) のグラフを描いてみると次のようになります。
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f(x) が log(x)/2 にどんどん近づいていく様子が見て取れました。さらに良いことに、log(x)/2 は f(x) よりも小さそうなことも分かります。あとはこの大小関係を厳密に示し、上下それぞれの極限値が一致することを祈りながら計算を進めていきましょう。
(2)の考え方と解答
では、実際に(2)を解いていきましょう。先述のイメージのもと、
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という大小関係が使えそうということがわかります。これを用いて実際に積分計算を行ってみると、次のように極限値が一致することがわかり、はさみうちの原理から問題の極限値が求まります。
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右辺の極限値を求める際、微分の定義から(eでない)指数関数の微分を用いていることに注意です。丸暗記は好きではないと言いましたが、定義は覚えるしかないのでぜひ使いこなせるようにしておきましょう。(語学でいうところの単語)
最後に
第2問は誘導がほぼなく、解法を思いつくことができるかどうかという問題でした。しかし、状況を整理して何が起こっているかをイメージしていくことで、単なる「ひらめき」ではなく再現性をもって解答にたどり着くことができるようになると思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。これからも2025年東大数学の解説をはじめ、数学に関する記事を投稿していこうと思いますので、また見に来ていただけますと嬉しいです!